きょうかいのけんせい(教会の剣聖)
「ハァ、もうああなったエレンさんには逆らえないし酒をエレンさんの好みに仕上げるしかないよね。
ウィーグラフ殿はそろそろ気が済みましたか?」
「貴様を挽き肉に変えるまで気が済むか!」
「そうですか。じゃあ、ちょっと待ってて下さい。
直ぐに済ますので」
そう言うとマルクスが目を閉じた。その段階で
「私が良いっていうまで地面から足を上げて絶対に降ろさないで!」
エレンが慌てた様子で言う。
「は?」
「いいから黙って従いなさい。こんなところで死にたく無いでしょ。ほら、お嬢ちゃんをしっかりと抱いているのよ!」
有無を言わさずに従わされました。
次の瞬間にその言葉の意味がはっきりと目にする事が出来る状態で解る。それはマルクスが踵打ち鳴らした時に発現した。
それは彼を基点として放射状に拡がっていく。先ずは地面、続いて壁、最後には天井までが凍りつく。ただ一ヶ所、俺達が座る長椅子を除いて。
「バカッ!それをやるならやるって言いなさいよ。此処には幼い子も居るんだから!」
「あぁ、そう言えば道具屋のお嬢さんとケイ君も居たんだったね。
うん、ちょっと仕事の方に集中してたから頭から抜けてたよ。でも、エレンさんが居るんだからどう転んだって問題にはならないって信じてたよ」
し、仕事?今までのは演技だったってことですか勇者様?
「ふふん、そんなの当たり前でしょ?
それよりもミードを完全にカチンコチンにしてないでしょうね?」
こんな時でも貴女はブレないんですね女王様。
「勿論、エレンさんの好きな所々がシャーベット状になってるよ。
ん~あれ、氷結結界から三人も逃しっちゃったのか。タイミングがちょっと早かったかな?
まあいいや、所詮は即席でやった魔法陣だし、俺の術式じゃ時間を掛けないと完璧には程遠いね。
やっぱり、剣士は剣士らしく剣で片をつけようか。
というわけでエレンさん、抜剣許可くれない?」
マルクスがゆっくり歩いてエレンの元にやってきて蜂蜜酒の瓶を渡し、腰の剣の柄を撫でながら言う。
「何が、というわけで、よ。
アンタに天剣の抜剣許可なんてこの程度のカス相手に降りる訳無いでしょうが。
取り敢えず、その腰の鈍で対処しなさい。私はそれを肴に一杯やるんだから。でないと呑む間もなく直ぐに終わっちゃうじゃない」
何か知らないけど仕事とやらすらテレビで観る野球中継のノリなんですけどこの女王様。
「ナマクラって、一応はこの都市に居る騎士団長さんが持ってる中で一番の業物っていう話で借りた物なんですけど?」
「あぁ?何、借り物でやろうとしてるのよ。私が言ってるのはアンタが撫でてるソレの事を言ってるの。
第一あんな見る目の無い、上級騎士にもなれないポンコツの成金バカが業物の一級品なんて持ってる訳ないんだから借りてこないでよ」
「うーん、剣聖に使って貰えれば箔が付くからって押し付けられたから持ってきちゃったんだけど、言われてみれば色々と造りが甘いから多分俺が使うと耐えられないね。
後、このコの使用はあの方に天剣と同列扱いにされてるから今回は許可が出ないと使えないんだよ。だから許可が欲しいな」
何?危険なの?と言うか救世主様って封印指定の生物だったんですね。




