もこもこさんにじじょうをきく(モコモコさんに事情を聞く[へぇ?そうだったんだ。])
「また君か?本当にトラブルによく巻き込まれるな。先程の連中は最近この国にやって来たようだが何か襲われる心当たりは無いか?」
エリック兵士長がやれやれと言った雰囲気で俺にそう言ってくる。
「さあ?商業ギルドの公認商店として認められたので今は開店準備中をしているところにいきなり開けろと言って店先で暴れ出したので外に出ていた仲間に頼んで衛兵さんを呼んで貰ったんですよ。
そうだ、コレを持って帰って下さい」
そう言ってケイがエリックに大きな包みを渡す。
「コレは一体?」
「こんな時間に来てくれた御礼です。今度店で出す弁当の試作品なんですが渡り人に好評な物が入ってます。まあ美味しかったら今度は購入して貰えばって言う宣伝ですね」
「抜け目がない渡り人だ。しかし、夜食を用意して貰えたのは助かる。メシを食わせに行かせると夜勤なのに如何しても酒を飲もうする阿呆も居るからな」
「なら眠気覚ましの薬草茶もつけておきますね」
「本当に有難い。この件については任せておいてくれ。暫くはこの辺を衛兵に巡回させる」
「有難う御座います。ではよろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げてエリックを送ったケイが店内に戻ってくる。
「それで落ち着きましたか?」
ケイは先ず1杯目は具の無いスープ、次は細かく切った具の入った物と徐々に固形物を増やしてやりながら空腹値を下げてやっていたモコモコさんに声を掛ける。
「あの、その、有り難う御座います。お陰で助かりました」
「それは良かった。見ての通り此処に居るのは『獣の装い』に呪われた神の玩具にされているプレイヤーです。宜しければ話を聞かせてくれませんか?」
もう巻き込まれる事が確定しているのなら対策を早急に打たねばと思い、話を聞くケイ。
「あっ、そうだったんですね!私はパーシー、『仔犬の装い』の所持者です。私は犬神様によし先ずは悪党を倒して来いと送られた先で返り討ちにあって捕まりエミリアの地下闘技場に剣奴として売られるところを逃げ出して来ました」
「え?私はてっきり羊の人かと思ってました」
驚きの声を上げるルーカ。その後ろでコクコクと頷くアリー。まあそうだろうね。俺も看破で『仔犬の装い(マルチーズ)』と見なければラムの人、アリーさんに気をつけて!など下らないギャグを思い浮かべていただろう。と言うか、本当にオリジナル装備担当神は碌で無しばっかりだな。天照様と月読様に通報しておこう。




