こうぼうちょうのおてがるしきあつめ(僅か10秒で10億を稼ぐ漢!)
「ほなちょいと待っててな。直ぐに金を作るさかい」
そう言ってシステムウィンドウを操作するコウ。システムウィンドウからクラン共有のアイテムストレージからポチポチと適当に選んでように手早くマーケットに流すと即座に完売してあっという間に金を作り出したコウ。その直後、パタパタと慌てた様子で飛び込んでくる影。
「コウくん、今、何をマーケットに流したの!?」
いきなり大金がクランに振り込まれたのでお金の管理をしているパルマがすっ飛んで来たようだ。
「あ〜堪忍なパルマさん、ちょっとケーはんが画期的なレシピを見つけたから売ってもらおうと思っていらん装備をマーケットに流したんや」
「それならそれで相談して欲しかったよ。でもコウくんが流した装備は確かに私達が使っている装備の4世代落ちだけど出回っている装備より5%以上高性能なんだよ。それと売る相手だって選ばないといけないよ。今回1000万で流した100組の装備だけどその悉くをエインヘリアルが買っちゃったんだよ!同盟クランの敵を強化するような事をしてミケさん達にバレたらどうするの?」
「あのな、パルマさんや。そういう事はクランチャットで言うて欲しかったわ。ミケはんもシロはんも此処におるんやから」
「へ?」
漸く彼女はミケ達の存在を知って口に出した言葉に顔を青くする。
「コウくん?何を売ったのかな?かな?」
ミケさんが怖い。マジで怖いよぅと部屋のすみっこに集まってガタガタと震え出すケイ達3人。
「そないに心配せんでも他のメンバーが練習で作った装備やから『ケットシー』の装備と比べたら大したもんとちゃうで。それにエインヘリアルが買うんは想定済みや。だから売った装備はこれなんや」
そう言ってミケに売りに出した装備のカタログスペックを見せる。
「ゲーム内で残り6日、頑張って強化しても+2に出来るかどうかやで。まあやってくれる鍛冶士、付加術師のNPCやプレイヤーがおるかは分からんけどな」
「あ〜成程、そう言えば特殊砲弾はコウくん達と一緒に研究してたっけ?確かにこの装備なら逆に……」
カタログスペックを見たミケは納得して悪戯の準備をする子供のような表情でにコウにナイスと親指を立てる。それに応えるコウも中々に悪戯を成功するのを確信しているみたいだし、どうやら危機は去ったようだ。
「ほな代金を払おか」
ちょっと待ってください。そんな大金を此処で渡されても困るよコウくん。
「ちょっと待ってコウくん。ケイさんだっていきなりこんな大金を渡されたら困っちゃうよ。」
そうだそうだパルマさんの言う通りだ!
「だから先に商業ギルドに行って公認商会を立ち上げて貰って正規の手続きでレシピの購入って段階を踏まないとケイさんに迷惑が掛かるよ」
んぁれ〜?何だか思ってた流れからズレたぞ。いつの間にかお店を開く事が決定しているような雰囲気ぞなもし。
「そやな。ちゃんとした取引やったら他も同じ手順を取らな文句は言えんしな。ほな先ずは商業ギルドへ向かいましょかケーはん」
ま、待ってくれ!俺にはそんな金は無い!
「大丈夫。それは私やコウくんが貸すって形で出して後でレシピの代金から引いておくから、さあ行くわよ!」
こうしてひよことねずみはミケネコに確保、トカゲは訳も分からずその後をついて行くのであった。




