ぞくようじょがむかえにきたよ(救世主様、貴方は一体?)
「それでロマリア教導国の天騎士、それも十剣人が一人、それも剣聖の称号をお持ちのマルクス卿がどうして彼をお探しに?」
ん?なにその天騎士って?
んん?十剣人ってなに?
んんん?け、剣聖?
まぁそれらは後で教えてもらうとして、やっぱり神官のヤツの言葉にはトゲがあるな。
「いや、その娘、道具屋のメリル嬢がウチに彼を探しに来ましてね、色々あって一緒に探す事になったのです。
次に蓮華教の寺院にもいらっしゃらなかったので此方に来たの偶然ですよ。
だからそんなに変に勘ぐらないで下さいよ。今回のメインのお仕事はちょっと護衛任務の指導というか補佐と言うかそんなところですから異端狩りとかでは無いですって。
それとですね、私のことを変な風ににバラさないでくださいよ。彼が混乱してるじゃないですか。私は説明って得意じゃないんですから。
自分の経歴については偶々(たまたま)天剣を複数所持出来るチャンスが有って天騎士なんて大層なものになってるだけですし、剣聖の方だって先代剣聖の弟子の一人であっただけですから大した事はないんですよ」
俺の膝の上に陣取っている幼女を軽く撫でてから、神官を暴露にも困り顔ながらも穏やかに説明する。
ナニコレ?やっぱり神官が一方的に騎士様に負の感情を持ってる?
しかし、立場上は出せないから言葉でチクチクとやっているが効果が無い。それどころか茶髪の件でフォローされてしまって余計に立つ瀬が無い。
どうも救世主様は恨み辛み、妬み、やっかみの類いの遇いに慣れているようだ。
神官の視線が更に鋭くなってきた事にやや困ったと更に眉を八の字にしながら頭を掻く騎士様。
その時だった、バーンと言うデカイ音と共に扉が開くと同時に門番をしていた重装神殿騎士の二人が中に飛び込んでくる。
何事かとそちらを見ると救世主様と同じく20代中盤くらいでやはり救世主様と同じファミリア教会の騎士服を纏った美人が蹴り終わりの体勢で立っている。
それを見た救世主様は頭を掻いていた手を額に当てて天を仰ぐ。
「ねぇ、マルクス。高々、人を一人探すのにどれだけ時間を掛けてるの?」
「まあまあ、エレンさんちょっと落ち着こうよ。此処は他所様の神殿なんだから暴力は駄目だよ」
ありゃ、救世主様が下手に出てるよ?
「あぁ?もしかしてコイツらの事を言ってるのマルクス?
なんかシスターや女の子、ついでに私の事をねちっこい視線で見てきたからイラついたから蹴ってやったわ。
そしたら左のが「有難う御座います」とか気持ち悪い事を言ってきたから始末しときなさいよ根暗神官」
「ちょっとちょっと、エレンさん。この神殿の神官長のウィーグラフ殿に失礼な事を言わないで。
蟀谷に血管が浮き出るくらい怒ってるじゃないか。それといくら気持ち悪いからって他所様の騎士を蹴っちゃ駄目だよ。
やるならウチのおバカさんにしときなさい」
あ、身内なら良いんだ。
「はぁ?そこのジメジメした神官はマルクス、アンタのすっとぼけたところにキレてるのよ多分」
「え?ウィーグラフ殿に何か失礼を働いた?えっと、心当たりが無いんだけどなぁ。
エレンさん、分からないから教えてくれるかい?ちゃんとウィーグラフ殿に謝罪しないといけないから」
「だ~か~ら~そう言うところが神経を逆撫でてんよ。マルクス、このキノコの生えそうな神官に初めて会ったのが何時だか分かる?」
「それはこの都市に来た時だから10日程前だよ」
「はい、外れ~♪正解は20年近く昔にアンタにけちょんけちょんにやられた一人で~す」
「18年2ヶ月と14日だ!貴様ら、私にケンカを売ってるのか!なら買ってやる!」
あ~あ、ついにキレちゃったよ。




