おしょくじです(美味しいですよ?)
「ケーさん、大丈夫ですか?」
煤けているケイに声を掛けるルーカ。
「へへっ、これだけの肉があれば3〜4食分くらいにはなるかなぁ?ちゃんと臭み抜きしないとね。さぁアリーさん先ずはコイツを木に吊るして血抜きするから手伝って!」
駄目だコイツ、聞いちゃいない。今は手に入ったお肉に夢中だ。 斯く言う私もお肉と聞いてケーさんのお手伝いに向かう。
「は〜い、今行きまーす!」
呼ばれて嬉しそうにロープを引っ張って吊り上げるアリーさん。私はその後ろでロープを別の木に括り付けて固定する。
「よーし、上手く吊るせたぞ。はい、アリーさん、続けて此処に水を流し込んでね」
ケーさんが何やら胸の部分を開いて指差している。私は18歳未満なのでグロテスクカットが働いていて見えないが心臓が有るのだろう。あれ?アリーさんは大丈夫なんだろうか?
「問題無い。彼女の設定は既に変更済みだ」
おい、他の人に散々心を読むとかバケモノかとか言いつつ自分も出来るんじゃない!
「何か批判されたような気がするがルーカさんのネズミフェイスも結構雄弁だよ?」
ガガーン、な、なんだってー!
「はいはい、ルーカさんには後で干し肉作りを手伝って貰う予定だからね。しっかりと英気を養って下さいね」
ちょっと、何をさせる気ですか?
「いや普通に風魔法で乾燥させて貰うだけだよ。ルーカさん、確か風と土の2属性の魔法を使えるでしょ?臓物系は此処で鍋の材料になってもらうけどね」
おぉ、使える物何でも使っちゃうんですね。そう言えばこんな所で血抜きとかしたら敵が寄って来るんじゃないでしょうか?
「それならアリーさんの『威圧』のスキルで基本的には雑魚は近寄って来ないし、あの尻尾がああいう風に大抵の敵はやっちゃうようだし」
ケイの指差す方ではアリーに血抜き中の狙ってきたウルフ系のモンスターがアリーのシッポに瞬殺されている。やられたウルフはケイが簡易解体を使って肉、爪、牙、毛皮にされていく。ちゃっかり討伐系の納品アイテムの牙を集めているケイ。
「どうもあの尻尾だけが弱体化していない本物の『幼竜の装い』みたいで俺の鑑定や看破じゃ読み取れないんだよ。装備者であるアリーを害成す存在を感知してオートで動くみたいだよ」
この短時間にケーさんはアリーさんのシッポの特性を調べていたようですね。ケーさんがテキパキと調理して鍋にしていく。
「はい、二人共。お兄さん特製の熊のカレー風味胆鍋だよ〜」
お、お兄さん?ギロッ。ひぃ、ケーさんのひよこフェイスが睨んでくる。アリーさんは何も感じていないのか美味しそうにパクパクと鍋を頬張っている。ケーさんの推測だとあのシッポが莫大なカロリーを消費しているからそれを補う為にあの食欲が働いているみたい。でもあれだけの食料は何処に入ってるんでしょうか?と彼女の細い腰を見てしまう。
「ほへ?なんです?美味しいですよ、ルーカさんも食べましょう」
うぅ、なんでしょうこの人?




