くろねこさんのきりふだ(な、何てモノを呼び出すんだよ!)
「そ、そんな馬鹿な、何で、何でセンパイが居ないのにバアルが顕現化してるの?それもセンパイの分体と似た姿で。ホント訳が分からないよ?」
驚きのあまりキャラ付けが飛んでしまっているサーちゃん。バアル?先程までキティちゃんのリュックだった両目が金色の黒猫の上の名前を見ると『滅殺のバアル』……ま、まさか、『GSO』の鬼畜BOSS『滅殺のバアル』か!ソロモンクエストのBOSS戦の戦闘前に選べる最高難易度のExtremeモードの時にBOSSをソロで倒す事が出来ればその名を冠する本物の装備と倒したBOSSを顕現化して使役する事が出来るがそれは『GSO』の話。それに実際にExtremeモードのバアルをソロで倒せたのは過去に一人だけ。それ故に何度も運営に難易度が高過ぎるから下げるように多くのプレイヤーから要望を出されたが実際にクリアした者が居ると退けられた曰く付きのBOSSの名だ。でも此処は『PWO』の中だぞ?何であの『GSO』史上最強最悪とまで言われた魔神が此処に居るんだよ?
「王の尾よ、我は我が王より姫方に襲いかかる脅威が多大だった場合にのみ排除せよとの命を受けて、先程我が王により姫の荷物に放り込まれて紛れていたのだ。それとこの姿は活動するには姫の魔力をたっぷりと吸ったこの依り代を選択した所謂憑依顕現と言うやつだがおかしかったか?それと我は一人だけでは無いぞ。他の者も出て来るが良い」
その言葉にハルルちゃんのポーチ、キッカちゃんのウエストポーチ、ネネネちゃんのトートが光り、やはり黒猫さんの分体ようだが目の色が異なる黒猫が現れる。
「ふん、私が任されたハルル嬢に手を出せばこの『鏖殺のアガレス』が始末してやったというのに生かしておくなんてバアルは甘いわよ」
「む、何も考えていない訳ではぞアガレスよ。姫方の贄に丁度良いかと思ってな。我等が倒してしまえば魂を喰らってしまうので姫方の糧にならんだろう?」
「あの小者は既に別の世界のモノに侵されているから糧にはならないよバアル」
「そういうものなのかヴァサゴ?」
「ヴァサゴの言う通りだよバアル」
「ガミジンも言うのならばその通りだな。アガレスよ、すまなかった我の思い違いであった許せ」
「いやぁぁーアガレスにヴァサゴ、ガミジンまで居るー!」
髪を振り乱して錯乱するサーちゃん。その後ろでブツブツと何か呪詛のようなものを呟き始めるハッチさん。
ひぇぇ『鏖殺のアガレス』って弾幕系シューティングゲームかよってくらいに撃ってくるあの『鏖殺のアガレス』か。それにヴァサゴとガミジンって未来視持ちの『確殺のヴァサゴ』と超高速移動の『轢殺のガミジン』だろう?うわぁソロモンクエスト最難度の一桁ナンバーが4柱だと怖い怖すぎる。小さくなってガタガタと震えていると
「ケイお兄さん、大丈夫?」
姫ちゃんが声を掛けてくれるが未だに身体が動かない。何故なら俺は…




