めがみのせつめい(ど、どうしよう?アイツの親しい後輩ちゃんに会っちゃったよ~。カイちゃん、ヘルプミー!)
「さて『獣の装い』について説明しましょう。その前に私が説明を終えるまでそこの筋肉鶏と根暗鼠は正座していなさい。まーちゃんはそのお馬鹿さん達を見張ってなさい。放置するとまた騒ぎを起こしますからね」
そう言うと天照の隣に居た狼がカルニマータを足蹴にして転がしながらヴィゾーヴニルに牙を見せて奥へと追いやって行く。その時、
「痛い、まーちゃんと歩けるから蹴らないで!」とか「わ、我を食っても旨くないぞ。だからマカミ、噛み付くの止めんか?」等と聞こえてきたがきっと幻聴だ。マカミ、あぁ真神か。つまりは狼の神格化の化身だからああいう事も出来るって訳か。それよりもこんな急展開なのに誰も騒がないのは何故……いつの間にか岩に腰掛けたユラさんと若干回復して地面に座る事が出来るようになった俺とルーカさんだけになっている。
「これでやっとお話が出来ますね。貴方達が選ばれた『獣の装い』は『子鼠の装い』が第一霊装、『雛鳥の装い』が第十霊装なっています。そして第一から第十二までがオリジナル、それ以降をレプリカと呼んでいます。しかし、レプリカと言っても性質の違いだけでほぼ同一の物なので正しい呼び方とは言えませんね。
オリジナルナンバー12種はそれぞれの辺縁の獣の性質を使える汎用性、それ以降のレプリカナンバーは単一の獣の性質のみ使える代わりに制約が甘いのです。
オリジナルの特性が最も出ているのがケイ、貴方の『雛鳥の装い』なのです。鳥類は空を飛ぶもの、地を掛けるもの、海を泳ぐものと色々なものがいます。つまり、成長によっては何処へでも行ける単独で行けるようになるでしょう。しかし、動物の基本は群れを形成するものです。一人で困っている時は周りを見るのですよ。そうすればきっと手を貸してくれる者がいるでしょう」
天照はそう言って笑顔を見せる。しかし、そのバックでは筋肉と根暗の阿鼻叫喚が聞こえていて台無しだ。
「もっと詳しいことは貴方達が成長した時にお話しましょう。では今回の外界の侵略者の事を説明しましょうか。これについては説明を必要とする者が此処に居る三人だけでは足りませんから残りも呼びましょうか」
天照がそう言うと五つの魔法陣が現れて残りの強制参加者が呼び出される。
「うわっ、なんすかコレ?変な筋肉とちんまいのが現れたと思ったら次は美人ってどんなクエすかコレ?
あれ?そこに居るのはもしかしてゆー先輩じゃないッスか?ゆー先輩、アタシの事、わかります?アバターは殆ど弄ってないから大丈夫だと思うんすけど?」
「えっと、さっちゃん?はち君とよく一緒に居た一個下の水泳部だった?」
「そうッス!ゆー先輩もこの『PWO』やってたんすね。あ、知ってます?実はセンパイもゲームをプレイしてるんすよ」
「あ、うん。その私はシロちゃんの招待初回ロットプレイヤーだから」
「え〜だったらなんで会いに行かないんすか?センパイも絶対に喜ぶのに」
どうやらあの二人はリアルで知り合いらしい。




