1/321
ぷろろ~ぐ(prologue)
「な、なんじゃこりゃー!!!」
ロンバルディア王国の王都ミラーノの中央広場の噴水の前で人目も憚らず絶叫する一人の男。つまりは俺の事なのだが、どうしてこうなった?
始まりは『Phantasm world online』の第三期ロットで漸く予約が取れた事、その第三次参入プレイヤー特典でURを引き当てたせいだ。
俺、鳥羽 圭介はゲーム好きの三十路手前の平凡な会社員だ。このソフト『PWO』はこの業界の鬼才、黒木 一真が手掛けている事もあり、どうしてもやりたくてオープンβテストに応募するがあえなく落選、初回ロットも販売予約30秒で即完売、第二期ロットの予約では嫌味な先輩にくだらない事で説教をカマされたせいで間に合わずに涙して「滅びろ、クソ野郎!」と怨嗟を込めながら先輩を呪う事、一ヶ月。第三期ロットでは何とか予約が取れた。
本日、漸くソフトが届く。この日の為に有給を取り、この手に掴んだ『PWO』のパッケージをニタニタしながら開けてソフトをダイブギアにインストールして装着したところから物語は始まる。