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麗爛学園 二月号

『黒い華』



「……好きだ」


――俺は何を口走っているのだろう。


口から漏れ出たその言葉を向けた相手は、今日初めて出会ったばかりの女の子だ。


黒く、清楚な長髪。パッチリとした目元に、微かに煌めくアイシャドウ。


薄く塗られたファンデーション、ほんのりと健康的に発色するチーク、ぷるりと光を反射するリップグロス。


化粧が禁止されている麗爛(れいらん)ではすっぴんこそ普通で、それは若干けばけばしく映ったハズなのかもしれない。


――だが、他校の制服に身を包む彼女は違った。


酸いも甘いも知り尽くし、憂いを含んだ瞳を、化粧が引き立てていた。


よく、宝石を原石のまま身に着ける人は居ないと聞く。


実際その通りな話であり、全く以て当たり前だと思った。


――宝石は、原石を磨かせて完成したモノを受け取る様な、高貴な雰囲気の人にこそ似合うのだ。


野に咲く麗しい花が似合う者が、背伸びをして宝石を着飾っても、それは台座の代わりにしかならないのだろう。


身分の差とか、貧富の差とかではなく……単に、『似合う』モノがみんな違って、彼女は――とても、化粧映えする顔だったのだ。


すっぴんの顔なんて知らない。けれど、それがイイ。まるで完璧な絵画を眺めている様で。


……結局の話、俺は何が言いたかったのだろう。


「……はい?」


――ああ、そうだった。


「……貴女が、好きだ……」


この、抑えきれなかった一目惚れの衝動を、言葉にしていただけだった。







「…………」


彼女は変わらず校門の前に立ったまま、口をポカンと開けている。


少し間の抜けた表情が、更にギャップを生んで、俺の気分を昂揚させていた。


「……急でごめん……でも……!!」


――今を逃したら、君にはもう二度と会えない気がして。


そんな言葉を、グッと喉元で抑えて、唾と一緒に飲み込んだ。


言いたかったのは、そんな言葉ではなくて。


「……こんなにかわいいって思った人、初めてなんだ」


この時を惜しむ様に、彼女への想いを紡いで行くだけでいい。


――彼女へ向って歩を進める。


薄々は分かっているのだ。その美少女が、今日と言う日、ここに居た意味を。


なんとなくは分かっているのだ。今日俺の手元に何も届いていない事の意味を。


――近付いて来る。時が、答えが――彼女の美貌が。


夕焼けを受けて、幻の様な煌めきを放つ少女が。


――すぐ傍に。








――こうして近くで見ると、その少女は意外と小柄だった。


平均的な男の身長の俺より、一回り程小さい。


ただし――緩やかに曲線を描く胸元はしっかりと存在を主張しているけれど、抱き締めたら折れてしまいそうな華奢な身体が、頭をくらくらとさせている。


錯覚じみた感覚が、アイドルとか、遠くで見ている存在の真実に触れた様で――秘密を追い求めている様で、心臓が高鳴った。


見開かれた目には、俺の姿が映っているのだろう。


――今は、その事実だけで満足出来ていた。


「…………」


彼女は何も言わず、背中に隠していたモノを見せて来た。


――限りなく、申し訳無さそうな表情と共に。


今日は冬のある日……二月十四日――バレンタインデー。


女子から気になる男子に、チョコレートを贈る日。


それに合わせて、想いも伝える事が多いのだと言う。


――そんなモノに縁遠かった、俺でも知っている事である。


だから、心の底ではどころか……意識せずとも分かっていたのだ。


それでも……その想いを口にせずには居られなかった。


――今の俺には、彼女がこの世全てのモノの中で、一番魅力的に映っていたから。








――悔いの無いように。


あのよく分からない新聞にやたらと書いてあった、その単語。


感化されたのか、それとも頭に刷り込まれていただけなのかは分からない。


――けれど、そんな風に生きられたら、きっと楽しいだろうと思えたのは、間違い無かった。


「あ、はは……そうだよな。バレンタインにわざわざ別の学校に来るってんだから……そりゃ、好きな奴は居るよな……」


心が痛い。別に女の子に告白して、振られるなんて行為は何度も繰り返していた。特別痛いワケじゃない。


――だけど、そうだな。


何故か、彼女に手が届かなかったと言う事実は、前よりも数段辛く感じた気がする。


それだけ真剣だった……なんて事は無いのだろう。


今日初めて出会った相手だ――県立高校の茶色いブレザーなんて、久しぶりに見たくらいだし。


――でも、何故か……いつもより、辛かったのだ。


現実を突き付けられたから? 高望みをし過ぎたから?


分からない。分からない。分からない。


「……名前だけでも、教えて貰えないかな?」


――俺は、何も分からないままで、この少女に恋をしていた。








「……お断りします」


彼女は清廉な声で、そう言った。


「……どうして? 名前ぐらい、教えてくれても……」


「……貴方の為です」


ばっさりと、切り捨てる様に。


「……大丈夫だよ、付き纏ったりしない。ただ、その……こんな美しい人に出会えたって、記念にしたいと言うか……」


「わたしを、記憶に残してはいけません。きっと後悔する――きっと、一生忘れられなくなる」


「……どう言う意味?」


「痛みは……辛い気持ちは、心に残りやすいのです。わたしを知れば知る程、貴方に突き刺さる楔は大きく、取り返しが付かないモノになる……痛みを味わってしまうかもしれない」


――どうやら、こちらに気を遣ってくれているらしかった。


その反則的な慈悲に、疼く心が抑えられなかった。


「……後悔したくないんだ。君の事が……もっと知りたい」


改めて、心を突き動かす言葉を口にした。


向けてくれた優しさを振り切ってでも、行ける所まで行ってみたい。


「…………はあ」


少女は、自らの罪を悔いる様に、憂う溜め息を吐いた。


その瞬間だったと思う。


――ガンッ!!


「……あ……?」


頭に強い衝撃が走って――そのまま――――。







―――――――


「……い……おい、大丈夫かー?」


「……う、あ……?」


――頭が痛む。頭痛と言うよりも、どこかにぶつけた時の様に、ジンと来る痛みだ。


身体を起こすと、肩を揺らしていた人物の姿が目に映る。


――ジャージに身を包んでいる、赤毛の少女が心配そうに見下ろしていた。


確かこいつ……一年生の問題児だった様な……? この前まで休学食らってたとか噂があった……生徒会の……。


「……あんた、なんでこんな所で寝てるんだ? そのコートは暖かそうだけどさ、流石に風邪ひくぞ?」


夕焼けに赤髪を揺らしながら、脚を動かして先を急ごうとしている。


ランニング中だったのだろうか。校門前で寝ている俺を心配してくれたのだろうか……?


――心配?


「……あの子は……?」


「あの子? あんた、一人でこの植え込みの所に座って寝てたんだぞ。バス待ちしてて寝落ちした感じか?」


「…………座ってた? 俺が……?」


――どうにも記憶が曖昧だ。俺は、確か……バレンタインに相変わらずチョコを貰えなくて……。


「あ、そういやあんた、チョコ落としてたぞ」


「……チョコ?」


ほい、と放り投げる様に渡されたのは、簡易的に包装されたチョコ。


どこかの店で売っている様なモノでは無くて、手作り感が漂っているそれを、俺はしげしげと眺めた。








「……ごめん、やっぱり見覚えないよ」


そう、俺は何も貰えなくて……夢を見ていた様な……。


「ふーん? それじゃ、そこに書いてある名前の奴、知ってる? アタシ、そんな奴知らないんだよなぁ」


確かこの子……生徒会の一員じゃなかっただろうか。彼女が知らな生徒の名前なんて、俺に分かるだろうか?


「…………俺の名前……だ……」


――そこに書いてあったのは、間違いなく俺の名前だった。


珍しい名字なのだ……同学年に、同じ名字が居ないぐらいに。


……本当に、俺宛てのチョコ……? 先輩と書いてある辺り……一年生から、だろうか。


「……一体誰が……?」


「んなもんアタシが知るか。自分で考えろボケナス」


――それにしても、この一年、かなり生意気である。初対面の人間に向かって……。


――初対面の人間に向かって、か。


人の事は言えないなと、強く思った。









「あん? なんだなんだ、アタシに惚れたか?」


「そんな訳ないだろ……そんな、出会って間もない人間に惚れるのは、夢の中だけで良い」


痛む頭をさすりながら、かわいらしい包み紙を開けてみた。


――なんか、チョコクッキー……にしては、黒い何かが入っている。


試しに口に含んでみたが……。


――がりっ、ごりっ……!!


「……あんた石でも食ってんのか?」


「…………固いし、苦いな……」


でも、何故だろう。凄く、安心する味でもあった様な気がした。


凄く、現実味がする味で。夢の甘さとは大違いだ。


「なんか、嬉しそうだな? 石好きなのか?」


「……まあ、石は嫌いじゃないけどね」


「ほー、珍しい。宝石とかか?」


「……いや、宝石もキレイだけど、そこら辺に転がってる、キレイな石を探してみるよ。分相応……って言うワケじゃないけど、自分に合った、キレイな石をさ」


「ふーん。ま、頑張れよ。次は、暴れ華に蹴っ飛ばされない様にな」


「……アバレバナ?」


粗暴な彼女の冷めた目線を気にせず、炭の様な何かを口に含み続ける。


――それは恋の終わりと、恋の始まりの様な味がした。









――――――


「……あれで良かったのか? アカリさん、思いっきり跳び蹴りを決めてたが……」


「良いんだよ。ちゃんと忠告はしたもん……それとも、ボクがあの人にこれ、渡して良かったの?」


「…………それは困る」


「ん、素直でよろしい」


「しかし、その制服どうしたんだ……? メイクまで完璧にして……」


「制服は拝島さんに予備を借りた。メイク道具は自前のがあるし」


「……左様で」


「それよりさあ、美少女を前にしてさ、何か無いの?」


「……お前、彼女って言うか、恋人居るだろう?」


「……そーゆー気分もあるんだよー。絹糸君は本当に分かってないなー、全く……」


「そんなもんか? 部長さんには、見せたりしないのか?」


「…………ちょっと、抵抗ある」


「それはまた、どうして?」


「…………この姿で、もし好きになられたら、や、かなって……」


「……自分に嫉妬か。随分とまあ、お前らしい理由だな」









「自惚れてると思う?」


「いいや……お前のそれは、周りの人間が築き上げた『自信』だよ。誰もがお前の美貌を認めたんだ……触れれば、壊れてしまう幻想だとしてもな」


「…………絹糸君」


「おっと……お前、本当に良い香りがするなあ……」


「…………」


「……やな事、思い出させちまったか。ごめんな」


「……ううん……でも、慰めてくれる?」


「構わないが……それこそ、部長さんに甘えるべきじゃないのか?」


「…………華蓮の前だと、どうしても……『わたし』で居られないから」


「……ああ、そうか……」


「……わぷっ……チョコ、溶けちゃうよ?」


「我儘言うな。これ以外に思い付かん……それに、チョコも欲しいが、俺は……」


「……ちょっと、隙間開けて?」


「こうか……? ん、お前何やってるんだ……?」


「何って、チョコの箱開けてるんだよ」


「俺にくれるんじゃな…………」


「……んー」


「…………お前なあ」


「……んっ……んー」


「…………誘った、お前が悪いんだからな…………んっ、むっ……」


「……んふっ、ちゅっ、んんっ……♪」









『黒い華』 終









『モノクローム・フラワーズ』




「……話は良く分かったよ」


偽りの華の蜜月を目撃され、ボクは再び正座をさせられる――と思っていたが、彼女は強要しなかった。


それどころか……涙をうっすらと浮かべて、ベッドに座るボクに寄り添ってくれている。


未だに甘く、ほろ苦い味が残っている口を開いた。


「……ごめん。浮気とかじゃなくて……」


言い訳がましいそんな言葉に、華蓮は首をふるふると振った。


「……違うんだよ。私、自分の事ばっかりで……翼くんの事、考えてあげられなかったな、と思って」


「……ごめん」


もう一度、同じ言葉で謝った。


けれど、込めた思いは全く違っていて――。


「……こんな恰好だけど、抱き締めてもいいかな……?」


――気を遣ったつもりが、逆に気を遣わせてしまったのだ。それが、どうにも申し訳無くて。


「当たり前だよ……」


ボクは茶色のブレザーに袖を通したまま――どう見ても女の子にしか見えない姿のままで、小柄な彼女の肩を抱いた。


「…………」


黙ってうつむく彼女が、何を考えているかは分からない。


――そして、彼女が今『どちら』で居るのかも、分からなかった。








「翼ちゃん……」


「……っ」


――リコに呼ばれ慣れたその敬称が、心を高鳴らせた。


――ああ、やっぱりと言うか、まあ、分かっていた事だけれど。


「……華蓮『さん』」


……ボクはもう、この存在の虜になっているのだ。


何をされても、何をしても。


愛を囁いても、愛で耳を湿らされても。


――心が、勝手に跳ねてしまう。溺れている――夢の様な、ここに居る彼女に。


「……えいっ」


「……わっ……」


――ぼすん、と柔らかいベッドの上に押し倒される。


この世のモノとは思えない程美しい『少女』が、口元を綻ばせて見下ろしていた。


「……はう……」


だらしなく、吐息を漏らす。


綺麗過ぎる、美し過ぎる、あまりにも心を締め付けるその狂おしい程の愛しさが込み上げる。


――いつもと違って、自分が……。


「……かわいい。『私』の翼ちゃん……ちゅっ……」


――『わたし』が、かわいがられる姿勢で、心も自然と……。


「……んっ、ふっ……ちゅうっ……」


頭が蕩けて行く――もう何も考えられなくなうぐらいに。


着けているだけのウィッグを撫でられても、神経が通っているかの様に心が快楽を覚えて、湿った声が漏れてしまう。


「……んっ、ぷあっ……やっ……!!」


「……いけないんだ。男の子なのに……おっぱい触られて、気持ち良さそうな声あげちゃって……」


「い、言わないで下さい……」


顔から火が出る程恥ずかしい……けれど、彼女に責められて、確かな快楽を……。


「……成る程、アンタらはどっちも攻めになれるのか。そりゃあ便利だなあ」


「「っ!?」」


唐突に聞こえた声が、耳から脳へ冷や水を撃ち込んだ。


――ゆで上がっていた頭が急速に冷えて行く。


ボク……なんて恥ずかしい姿を……!!








「お、お母様……!?」


「ただいま華蓮ー。いやー、夕食前におっぱじめてると思わなくてさー。おかげでいい百合を見れたよ」


眼福眼福、と満面の笑みを浮かべている勅使河原さんから隠す様に、ボクは服装の乱れを正した。


「百合って……私達、女の子じゃないのに……」


そう言いながらも、華蓮はかわいらしい頬を真っ赤に染めて、手を胸に当てて息を整えている。


「よく言うよ。アンタ、身体はしっかり興奮してたのに一切男らしい気持ち出してなかったじゃん。随分器用なマネ出来るんだねえ」


「そ、それは……まあ……翼くんは、トクベツだから……」


確かに、ボクもずっと華蓮は彼女に見えていた。ボクだから……その言葉の意味する所を、全て理解していたわけではないけれど。


それは安心でもあり、なんだか少しだけ残念でもある様な……複雑な心境だった。


「それに対して、アマネ君は随分流されやすいねー。まるで心がそのまま触られてるのかってくらいに敏感だ」


「……えっちな感じで言わないで下さいよ」


「いやいや、女装してえっちな事してた奴には言われたくないよ」


「……ぐう……!!」


本当にぐうの音しか出ないぐらいの正論だった。


「……ああ。だからこそ、その姿で華蓮に会えなかったワケだ……男である事を望まない華蓮に、男役を引き受けさせない為にも」


「…………」


華蓮は気付いていたらしい……何も言わず、ただ目を閉じていた。









「……はい」


沈黙を破ったのは、他でも無いボクだった。


どこかで溜まっていた、愛されたい乙女心の様なモノが暴れてしまって……必要以上に勇士と絡み合ったのは、ボクの落ち度に他ならなかったから。


「……ま、後は上手くやんな。まだ飯時には早い……翠のご飯は美味しいが、仕込みに時間がかかるのが難点だな」


勅使河原さんはひと仕事を終えた様に、伸びをしながら部屋から退室した。


気まずい雰囲気の中、華蓮がボクの肩にしなだれかかって来る。


「……私は分かってるよ。翼くんが、私に気を遣ってくれてたから、あんな大胆な行動をとったんだって」


「華蓮……」


「でもね……やっぱり、相談して欲しかったって気持ちも強いかな。恋人だから……不満があるなら、教えて欲しかった……解決出来るかは、怪しいけどね」


苦笑する華蓮を久しぶりに見て、ボクはなんだか懐かしい気分になった。


それは強がりをする時に見せる表情で……彼女が、痛みを堪えている時にする表情だった。


「愛してくれるのは、とても嬉しい。思わず、自分を忘れるぐらいに……思わず、あなたを見失ってしまうぐらいに」


でもね、と華蓮は痛みを吐き出すように、一粒の涙を零した。


「私は……あなたにも、幸せになって貰いたいんだよ……」


人はそれをエゴだと呼ぶのかもしれない。


――ああ、きっと彼女は自分自身の事をそう呼ぼうとするだろう。


やっと、彼女が求めていた言葉が、分かった気がした。








「……華蓮は優しいんだね……皮肉とかじゃなくて、ボクは……ボクだけは、その優しさを、心の底から信じられる……信じたいって思えるんだ……」


「……っ!!」


せき止めていた何かが溢れ出る。それは感情か、涙か、怒声か。


――きっと、何もかもなのかもしれない。


「おいで、華蓮……今度は、ボクが受け止める番だよ」


「……もうっ……!! バカバカバカぁっ!! なんで私じゃなくて、絹糸君の所に行っちゃったのさぁ!!」


涙を撒き散らす彼女を優しく抱き留めながら、その温もりに意識を傾ける。


――温かい。まるで心そのものに触れているかの様だ。


ボクらはきっと、全てにおいて似ているのだろう。


ただ、彼女の方が我慢強くて。きっと、それぐらいの差はあって。


だからこそ、ボク達はこんなにも違う存在として、愛し合っている。


――佐奈先輩と作ったらしいチョコケーキの味は、どれだけ甘いのだろう。


聞いてしまっていたのだ……夕食の後に振舞われる予定だと。


密かに期待しながら、ボクはその鉄砲水が止まるのをひたすらに待っていた。


かつて彼女が待ってくれたのと、同じぐらいなら、待てると思う。


根拠の無い自信が、何故か心には灯っていた。







『モノクローム・フラワーズ』 終






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