プロローグ 夏の終わりは突然に。
諸君らは、真っ赤に染まった空を見たことがあるだろうか。
夕焼け?ノンノン、そんな生易しいモンじゃない。例えるならばトマトジュ…もとい血の色だ。
なんでこんな話するのかって?そりゃあもちろん、
今まさに私の眼の前にその光景が広がっているからなのだ☆
…とか言ってる場合じゃねえ!!
あまりの衝撃に脳が展開したへんてこな語りを振り払って、俺は視点を左右に向けた。
寂れた商店街に疎らに点在する人々は決まって空を仰いでおり、その表情が意味するのは驚愕、不安、恐怖、興味、その他諸々。この状況を理解できる者などいるはずもなかった。
どうする…?
今までなんてことない夏の空だった空間の一部が、円形に切り取られたように真っ赤に染まっている。
円の直径は1km程だろうか。それなら、走って青空の下へ辿り着くのにもそれほど時間はかからないだろう。
これ以上おかしなことが起きる前に逃げた方がいいんじゃ…。
気づくと、額を脂汗が伝い、心臓の鼓動はかつてないほど速まり、足が微かに震えていた。
よし、逃げるぞ…!
そう決意し、俺は一目散に駆け出…せなかった。
まるで重力が何倍にも膨れ上がってしまったかのように俺の足は地面に縫い止められ、ついには腰を抜かしてしまった。
俺はここに来てやっと、全身が恐怖に支配されていることを悟った。
くそっ!動け…動けよ…!
念じても念じても俺の体は立ち上がるどころか震えを増すばかりだ。
そして次の瞬間。
ふいにブォンという大きな音がした。ラ◯トセーバーみたいな音だな…と、呆れるほど呑気な思考を一瞬巡らせる。
音の方向に目をやると、俺の頭上3mほどの場所に魔法陣が浮かんでいた。
魔法陣。それ以外に形容する術が思い付かないほどに魔法陣然としたそれが、他の通行人の頭上にも現れていくのを俺はただ呆然と見つめていた。
そしてそれらは白く輝き始め、その下の空間を真っ白に包んでいき………
………………………。
お初にお目にかかります。
小説をまともに書くのは初めてなので、拙いところが度々見受けられることと思いますが、頑張って書きましたので、この次も読んでくださると嬉しいです。