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ゲームの世界に義妹と来たので、素敵な”出会い”を求めて僕らは二人、冒険に出る。  作者: 謎の生物
薬の貴重な材料と吸血姫姉妹を求めて南の大陸に冒険に出る。
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第85.5話 深夜、「トリア」家当主の間にて・・・

幕間なので今回は短いです。

 「ルルス」地方を完全に「トリア」地方の一部とし、その祝賀会のパーティーを領地内の有力者や隣接する領主達を招き盛大に開いていたトリア地方現領主ヴァレリア・トリア。


 にこやかに訪れた賓客をもてなしていたが、そこに一声、祝辞を述べてくる女性がいた。多くの来客の中でも一際目立つ美貌と一目でわかる最上級品の漆黒のドレスが良く似合っている長身美麗の美女だった。


 しかし、その肌は青白い上に、その瞳はヴァレリアやリムティスと同じく深紅に輝いている。


 ヴァレリアはその美女を見た瞬間、一瞬だけその深紅の瞳を細めたが、他の来客同様、にこやかに応じた。

 

 それから夜遅くまでひらかれたパーティーの後の深夜、ヴァレリアは当主の間で、自身は代々の当主だけが座る事が許される椅子に足を組んで座りながら、目の前の漆黒のドレスを着た長身美麗の美女ー来客に扮した”魔王軍四将軍”の一人であるアドミラ=フラメルの相手をしていた。

 

 「さて、パーティー会場の場でも言ったが、まずは「ルルス」地方を合併した事、おめでとうと言っておこう。」

 「それはどうも。ところであなたの方は目的は達せられたのかしら?」


 ヴァレリアの問いにアドミラは苦虫を嚙み潰した表情となり、


 「大まかに言えば達したと言えるが、細かく見れば駄目だったと言えるな。」

 「あら、そうなの?」

 「ああ、女神達に対するパフォーマンスで言えば、緋村兄妹に新型ドラゴンキメラをぶつけた時点で達したが、遥か格上の相手との戦闘データを取ると言う目的は達する事は無理だった。ああもあっさり倒されるとは、あるかもしれないとは思っていたが、実際に眼のあたりにするとへこむものがある。私の懐が痛むわけではないが、それでもあれ・・を生み出すのに掛かった時間と労力を考えたら、それらを全てドブに捨てた気分だからな・・・。」

 「・・・それはご愁傷様としか言いようがないわね。」


 気の毒そうに言うヴァレリア。


 「・・・まぁ、それは分かっていた事だから別にいい。いや、本当は良くないと思うのだが、上からもそれでも問題ないと言われているので、私がこれ以上、気にしても仕方があるまい。それよりこれから貴殿はどう動く?」

 「しばらくは内政に力を言えて地盤を固めるわ。「ルルス」地方を完全に我がトリアの一部にしたとは言え、まだ人心まで完全に掌握できたわけではないもの。あなた達はどう動くのかしら?」

 「こちらも今まで通りとしか言いようがないな。第一警戒対象だった緋村兄妹が、この大陸から去った以上、そこから先は他大陸担当の者の仕事であった。私の仕事ではない。とは言え、緋村兄妹が他大陸で勇者と共闘すると言う事態も是が非でも防がねばならないのも確かだが・・・。」

 「そう、ならばその最悪の事態、私が防いであげるわ。」

 「何?どうやってだ?」


 アドミラはヴァレリアの言葉に怪訝な表情になって尋ねた。


 「まだ、少し先の話だけど、私の足元が高まったら我がトリアの悲願、トリア王国の建国のために隣接している領主達を併合するための軍事行動を起こすつもりなの。その時に緋村達に手を貸す様に要請するわ。そうすればそれなりの期間、緋村達はこの大陸そして私の下に付く事になるから他の勇者達と共闘など出来るはずがないでしょう。」

 「・・・そういえば、トリアを王にする事が貴殿ら一族の悲願だったな。しかし、あの”カブキモノ”兄妹がそう簡単に応じるのか?聞いた限りだと単純に金銭や貴族の地位と言った権力では動かない気がするが・・・。」

 「大丈夫、あの兄妹の兄が求めているものは理解しているから、それを報酬にすれば頷くでしょう。」

 「ほう、すでに把握しているとは、ここはさすがと言うべきか。ならばその時は貴殿に頼もうか。ところで緋村光一が求めるモノとは何なのか問うても良いか?」

 

 アドミラも問いに、ヴァレリアは肩を竦めながら、


 「あの男は私が、正確には私と妹のリムティスが欲しいのよ。」

 「・・・色と言う訳か。しかし、それは貴殿らが「トリア」の者だからか?」


 アドミラは暗に光一が、「トリア」の当主と妹を手に入れて「トリア」の権力が欲しいからか?と尋ねたがヴァレリアは苦笑しながら、


 「いいえ、トリア云々関係なしに、あの男の好みの女達を手に入れて愛欲にまみえたいのよあの男は・・・。」

 「・・・要は性欲まみれと言う訳か・・・。まぁ、確かにそれならば貴殿に言う通りにできそうだな。分かった、その時はお願いする。」

 「ええ、その時はまかして頂戴。その代わりー」

 「理解っている。貴殿らがこの大陸で戦争を引き起こした時、介入はしない。」

 「理解してくれているのならば構わないわ。」


 アドミラの返答にヴァレリアは微笑を浮かべながら頷いた。


 「さて、後はその時になった時、緋村光一のモノにあるのが私達姉妹だけか、それともゼノや美鈴も求めてくるのかが問題なのよね・・・。」

 「・・・随分と好色なのだな・・・緋村と言う男は・・・。」

 「全くね。まぁ、その時はゼノや美鈴には悪いけど主従仲良くあの男に抱かれましょうか・・・。」

 「・・・貴殿も意外と酷い主人だな。」

 「あら、私は自分では良い主人だと思っているのだけど?」


 ゆけゆけと言い放つヴァレリアだった。

これで第6章は終わりです。

次からは新しい章に入ります。

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