第74話 ルーシア・リードブルグ
少し遅れましたが、ようやく投稿出来ました。
今回も光一達と新ヒロインのやりとりがメインの話です。
光一は、光一を含めた緋村パーティーは今、『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』に乗って南の大陸に向かうため遙か上空を移動し、丁度、下は大海原の海の上である。
ゲームではプレイヤーキャラは難なく手に入れた『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』を操作していたが、現実では高度な兵器を操作する技術など持っていない光一達では『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』を制御・操縦する事は並みの事ではない。
しかし、科学者の端くれでもあり技術者でもあるユリカ・アレンのおかげで、光一はユリカの指導の元、『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』を制御・操縦し、南の大陸に向かっていた。
『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』は今はコントロールパネルを使って入力した情報を元に、自動操縦で勝手に目的地に向かっているので、各々が自由に『天空要塞』内を探索、調べている所である。
そんな中で、光一は一応、『天空要塞』内のコントロール室に直結している司令部に設置されている玉座に座りながら南の大陸に行く事になった原因である『コーライジン』を必要としている少女、ルーシア・リードブルグと顔合わせした時の事をぼんやりと思い出していた。
光一がユリカの頼みを聞き、南の大陸に行く事になったので、村で多少の準備を整えたところでユリカが待ったを掛けた。
「南の大陸に旅立つ前に、もう一度友達の屋敷に寄っていきたいのですが。」
「友達?ルーシア・リードブルグって娘のところ?」
「そうです。」
ユリカのこの頼みに光一を含めたパーティーメンバーは別に異論はなかったので、
「別に構わないけど。」
「ありがとうございます。ルーシアの家はこっちです。」
ユリカは淡々と言うと自分の屋敷を出て村へと歩き出す。光一達もそれに続き、ユリカは村の奥の手前、村長の家の近くのユリカの屋敷より小さいが、それでも村の中では中々に立派な構えの屋敷だった。
ユリカは屋敷の玄関扉をコンコンと二回、ノックすると中からきちんとした身なりの50ぐらいの男が出て来た。
「おや、ユリカ様、先程ルーシアお嬢様を診て頂きました時にお忘れ物でもなされましたでしょうか?」
「いえ、これから遠方へ出かけて、しばらく帰ってこれないかもしれないから、ルーシアにもう一度会っておこうと思って。」
「そうでしたか。お嬢様が寂しがられるでしょうなあ・・・ところでそちらの方々は?」
「私の連れです。今回、同行してもらうことになりました。」
ユリカは光一達を振り返りながら答えた。
執事の男は光一達に笑顔を向けた。
「ユリカ様のご友人の方々ですか。では皆様、どうぞ中へお入りください。ルーシアお嬢様もお喜びになります。」
「ど、どうも。」
「お邪魔差します。」
「し、失礼します。」
「ありがとうございます。」
「失礼いたします。」
「失礼します。」
執事の進めにユリカは勝手知ったるという感じで、遠慮なく入っていき、光一は遠慮気味に一言、礼を言ってからおずおずと屋敷に入り、順に春歌、エリス、アニエス、ミリーナ、ミヤビと順に一声、掛けて屋敷に入り、ユリカの後に続いた。
ユリカはそのまま奥の部屋へと進み、目的の部屋と思われるドアの前に立つとドアをノックした。
「ルーシア、部屋に入るわよ。」
「ユリカちゃん?どうぞ。」
部屋の主の許可を得て、ユリカはドアを開けてルーシアの部屋へと入った。
「ユリカちゃん?また来てくれるなんてどうしたの?」
「私、しばらく遠出をする事になったの。」
「しばらくって、どれくらい?」
「分からない。南の大陸に行くの。この人達と一緒に。ルーミアにも紹介しておくわ。入って来ていいですよ。」
ユリカにそう言われて光一達もルーシアの部屋へと入った。
女の子らしい、あたたかい色調でまとめられた部屋で、部屋の右隅のベッドで、床から上半身を起こして迎えてくれた寝間着姿の色素の薄い灰色の長い髪をした、愛らしいが少し青白い顔をした少女がいた。年はユリカよりも少し上で春歌と同じぐらいである。しかし寝間着姿からも分かる様に意外と身体の発育は良いようで、それなりの身体の凹凸は見て取れた。
ゲームのイベントと同じようなやり取りだと思いながら光一はルーシア・リードブルグに名乗った。
「ど、どうも、緋村光一です。」
続いて春歌達もそれぞれ自己紹介した。
「こちらこそ初めまして、ルーシア・リードブルグです。こんなに多くの方々が尋ねてきてくださってとても嬉しいです。」
ルーシアは胸に軽く手を当ててお辞儀をしながら自己紹介をした後、そう続けて恥ずかしそうに頬を染め、口元に小さな手を当てた。
光一は最初、ルーシアの社交辞令かと思ったが、ルーシアの様子を見ると本心でそう言っている様なので、「い、いや、そんなに喜ばれるとこっちも気恥ずかしいものがあるな・・・。」と照れた様に答えた。
そんな光一の様子をアニエスは微笑ましく見つめ、ミリーナやミヤビもクスクス笑った。
ユリカですら無表情だが、優しい雰囲気になっている。
しばらくしてからユリカがルーシアに声を掛けた。
「ルーシア、喜んで。先程、言った様に私、彼らと南の大陸に行ってくるの。そこであなたの身体を治す『コーライジン』を手に入れてくるわ。」
「そ、そんな、私の身体の事なら気にしなくてもいいよ。南の大陸だなんて、そう簡単に行けるようなところじゃないんでしょ?それに南の大陸は危険なんじゃないの?」
「うん、普通ならばそうだけど、緋村さん達は比較的簡単に行ける方法を持っているから。それに緋村さん達はとても強いから。」
「ああ、だから安心していいよ。リードブルグさん。ユリカは僕達がしっかりと守って、ちゃんと『コーライジン』を手に入れて戻ってくるから。」
「そう、なんだ。だったら私が心配するのは余計な事だよね。ごめんなさい。」
「い、いや、謝られる事じゃないよ?!み、みんなもそう思うよね!?」
みるみる萎れた顔になって謝るルーミアに、光一は慌てて否定し、この部屋にいる仲間達に同意をすると、ユリカを除く皆が激しく同意した。ユリカ本人も自分のペースで同意した。
光一達の様子にルーシアも萎れた表情がいささか明るくなった。
「そうですか。緋村さん、皆さん、気を使っていただいてありがとうございます。ユリカちゃん、気を付けてね。南の大陸のお話、聞かせてね。」
「ええ、南の大陸の話も『コーライジン』も楽しみにしていてルーミア。」
ユリカは光一達の顔を見た。
「じゃあ、行きましょうか。」
ルーミアに対してそっけないのではないかと光一達は思ったが、ルーミアはユリカの性格をよくわかっているらしい。
「行ってらちゃしゃい。ユリカちゃん。」
そう言って手を振って見送ってくれた。瞳に寂しそうな影があったが、精一杯の笑顔を作っている。
ユリカもそうだが、ルーミアも春歌と比べて年齢がほぼ変わらないのに精神的に大人びていると光一は思った。
幼少の頃から一人、病と闘ってきたが故に、普通の人よりも精神が大人びてしまったのだろう。見た目が幼く吐かない様に見えるので、より痛々しかった。
光一はそんなルーミアの為にも、そしてユリカとルーミアとも春歌達と同じくハーレムの女にするためにも『コーライジン』を手に入れる気持ちをより強くするのだった。
「緋村さん。」
ルーミアとの出会いをぼんやりと思い出していたところに、ユリカが声を掛けて来たので、光一の意識は一気に覚醒した。
「どうかしたの?」
「もうすぐ、南の大陸に辿り着きます。」
ユリカの返答に光一は目を丸くした。
「もう、辿り着くなんて早いね。」
「空を飛んでいる上に、この『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』の飛行速度自体も早いですから。モニターに前方の南の大陸の映像を出しますね。」
ユリカはコントロールパネルを操作すると光一の前方にあるコントロールパネル室に設置させれている大型モニターに南の大陸の光景が映像に映った。
ユリカが要塞内の放送で春歌達に呼びかける中、光一は南の大陸の映像を見て、これから南の大陸で『コーライジン』を手に入れるための冒険と、その過程で出会うであろう吸血姫姉妹の事を考えて胸を高ぶらせた。
それから間もなくして光一達を乗せた『天空要塞スカイキャッスルmarkⅢ』は南の大陸へと入ったのだった。




