第53話 ”魔動機カーリー”戦、決着
今回は何とか期限内に思っていたところまで書けて投稿する事ができました。
春歌の「リフレクションプレート」で魔力砲の一撃をそのまま反射され、相応のダメージを受け、最大の兵器が使えなくなったとは言え、ドラゴンキメラを倒すコンセプトで建造されただけあり”魔動機カーリー”の脅威が完全に去ったわけではなかった。
再び王国軍に対して無数の魔力弾を放ち、王国軍の一般の兵士達を攻撃していく”カーリー”。
しかしダメージが効いているらしく、先程放った時に比べて威力が落ちており、放たれた数もいくらか減っており、今度は王国軍の魔法使い達が展開した防御魔法で防がれて先程と比べて被害は少なかった。
そして先程と同じ王国軍の銃や弓、魔法使いと言った遠距離攻撃が出来る部隊の攻撃によって、最初の時よりも損壊を受ける”カーリー”。
やはり反射された魔力砲の一撃は”カーリー”に思った以上のダメージを与えた様である。
このままでは埒が明かないと思ったのか”カーリー”は数歩下がると背中に手をやり、背中から出て来た柄のようなものを握り締めて勢いよく引き抜き腕を元の位置に戻すと同時に柄から大きな両刃の刀身が出て来た。
これには再び絶句し一気に沈黙する王国軍。
そんなに王国軍に対し、”カーリー”は再び数歩、王国軍に向かって歩行するとそのままの勢いで持っていた大剣を光一と春歌に目掛けて振り下ろした。
”カーリー”のこれらの一連の動きを光一達の間近でみていたシルビアーナとミリーナの王女姉妹、ライナーとリゼット、それぞれの勇者の仲間達、それにギルドマスターであるフォン=リンメイにレオン、カリンカ、ライオットの「グームリー」上級冒険者パーティー達はこの光景を見て全員が同じことを思った。
『終わった。自分達だけでなく王国軍も終わりだ・・・。』
そのうちの一人、リゼットはとっさに目をつぶったが、次の瞬間、くるであろう衝撃とそれによる痛みが来ない事に疑問に思い、思わず目を開けてみると、信じられない光景がそこにあった。
何と光一が手にした「破邪」の刃がある方を上にして、刃がない刀身の下に右こぶしを当てて”カーリー”の大剣に「破邪」を食い込まして、その一撃を見事に受け止めていたのである。
「う、嘘だろう・・・。」
「こんな事が・・・。」
「相も変わらず信じられない奴だ・・・。」
光一のこのあり得ない光景に、これを見ていた王国軍の兵士は勿論、かつてアデス山脈でドラゴンキメラと対峙した時に共に行動していた驚愕の表情になっている。
無論、光一のこの非常識な現実離れした能力を見るライナーやリゼットはおろか、一緒に見ていた天使であるウェンディアナとセフィリアですら目を見開いている。そんな中、
「ぬううう、うっだらああああ!!」
光一は全身の力を込めて「破邪」を押し出し、”カーリー”の大剣を押し返してすぐ近くに落とすのだった。
これにより”カーリー”の大剣の一撃は不発に終わったのだった。そして光一はすぐさますぐ近くにある”カーリー”の大剣に向かって「破邪」を振り降ろし、大剣を半分ほど半ばで切断してしまった。
これで”カーリー”は剣を失う事となった。
そのまま光一は「飛翔剛波」を放ち、直撃を受けた”カーリー”はその威力に数歩後退した。
それを確認してから光一は春歌も含め、この場にいる主な者達に確認を取った。
「みんな無事!?」
「はいお兄様!」
「私も問題ありません御使い様!」
「私も怪我などは一切負っていませんよ緋村さん。」
光一の問いにまずは春歌、エリス、アニエスのパーティーの3人がすぐさま返した。それにつられてかシルビアーナ達も、
「わ、私もミリーナ達も無事だ!」
「私も負傷はしていない。他の冒険者達もだ!」
「私達も問題ないです!」
「・・・これと言った怪我はない。」
シルビアーナを始め、フォン=リンメイ、リゼット、ライナーと返してきた。どうやら主だった面々はこれと言って問題無い様である。
それを確認して光一は再び”カーリー”に目を向けると、”カーリー”は再び動き始め光一達へと向かって動き出そうとしていた。
そんな”カーリー”を見て、どう戦おうかと思案した光一は何気に”カーリー”の全体を見回してみると、腹部の魔力砲だった部分が、先程よりもより破損が酷くなっており、若干、内部が見える様だった。
どうやら先程の光一の放った「飛翔剛波」が腹部の損壊をより酷くした様である。
だが、これを見た光一はパッと閃き、春歌を見て叫んだ。
「春歌!”カーリー”の腹部の損壊した砲身部分に向かってシャイニングレーザーを放って!!」
光一にいきなり言われて春歌は一瞬、何を言われたか分からないようなキョトンとした表情になった後、混乱したような表情になったが、光一の「春歌!早く!シャイニングレーザーをあそこに向かって放て!」
と言う命令に、考える前に身体が動き、光一の指さす方、”カーリー”の腹部の損壊した砲身部分に向かって光系魔法の初歩魔法であるシャイニングレーザーを放った。
”カーリー”に向かって突き出された「三精霊王の杖」の先端から放たれた輝く白色色の細いレーザーが、”カーリー”の腹部の損壊した砲身部分を貫通し、そのまま動力炉なども含めて内部を破壊して背中を貫いて空の彼方へと続いて行った。
次の瞬間、内部から大爆発が起こり、”カーリー”は吹き飛んだ。
その大爆発は、王国軍はおろか光一や春歌も腕で顔を防ぎながら、何とか目視出来たほどであった。
更に爆発の時に散らばった”カーリー”だった部品の一部が魔王軍だけでなく王国軍にも降り注ぎ、小さい部品でも負傷者が多数で、大きい部品に降り注がれた運のない者はそのまま命を落とした者達もいた。
”カーリー”が立っていたところにはそこそこに大きいクレーターも出来ており、その爆発の威力を表していた。
しかし、間違いなく王国軍、そして光一と春歌は”魔動機カーリー”を打ち破ったのは確かであり、光一と春歌は無傷であり、王国軍もそれなりの損害を受けたのは確かだが、まだ十分に魔王軍の陣地に攻め込む余力はあった。
一方で魔王軍は”カーリー”が想定したよりも遥かに少ない損害しか王国軍に出せずに破壊された事に、士気はどん底に落ち、戦える状態ではなく、もはやこの度の勝敗は決まったも同然だった。
「このまま魔王軍の陣に攻め込み、敵の総司令であるアインザック将軍を討ち取るぞ!!」
王国軍総司令は負傷した兵を下がらせ、光一達やシルビアーナ、フォン=リンメイ、ライナー、リゼット達を含め、残った兵達をまとめ、そう味方を鼓舞して士気を上げ、撤退し始めた魔王軍へと向かって兵を突撃させる。
もっとも勝ち戦と思われるので、ここは総司令が手柄を上げたいと思ったのか、光一達を始めとしたシルビアーナ、フォン=リンメイ、ライナー、リゼットと言った主だった戦力の要となる者達を後ろに回されたが・・・。
このまま王国軍が、逃げる魔王軍を追撃し、刈り取るかと思いきや、魔王軍からダーン、ダーンと2発の銃声が響いたと同時に、春歌が先日、魔王軍を蹴散らす時に使用した爆発系最上級魔法「ギガンティックボム」と思わしき大爆発が王国軍に発生し、その兵力の三分の一以上を一気に吹き飛ばした。
思わぬ事態に一気に勢いが止まり、突撃も止まる王国軍。
そこに「あははははは!!」と狂ったような笑い声を上げながら魔王軍から一人の少女が大きく跳躍し、混乱する王国軍を通り越して総司令や光一達がいる王国軍の後方に着地した。
その姿を見てこの場にいるほとんどが絶句した。
赤と黒の色合いをした見ただけで最上質と思われるいささか露出が高いドレスとブーツを身に纏い頭にティアラを付けた長い黒髪をした美しい顔立ちをした女性と言うより、まだ少女と言える見た目をした女が、その見た目に全く似合わない凶悪な大型の回転式拳銃を両手に持って立っていたのである。
「クスクスクス、随分と調子に乗っているご様子ですが、残念ながらここまでですわよ。あまりにもオイタが過ぎたので、私自ら仕置きに来ましたわよ。」
此度の戦いにおいて光一達の前に立ちはだかった最後の強敵は、ゲームのイベント同様に見る人が見たら腰を抜かしそうな禍々しい凶笑を浮かべながら、凄まじい死の気配を漂わせた魔王軍査察官キョウカ=アーミだった。
”魔動機カーリー”を倒して、終わったかと思ったら、今度はキョウカちゃんが立ちはだかりました 笑




