第52話 光一と春歌、魔動機カーリーと戦うとの事
リアルで仕事や他の用事などいろいろあったせいで投稿が遅くなりました。
我的に区切りが良かったので投稿します。
巨大な二足歩行の人型兵器が、見た目に寄らずそれなりの速さで王国軍に迫り、これを見た王国軍は兵士達の大半が血の気が引き大混乱となった。
王国軍の上層部や研究者などは古代兵器などで、こういう人型兵器の存在は一応把握してはいたが実物を見た事は一度もないのである。
故に末端の兵士達は存在すら知らないと言うのがほぼ9割方と言っていいだろう。仮に知っていたとしてもこんなのを相手にどう戦っていいか分からないだろう。
まず誰がどう見てもまともに戦って勝てるような存在ではないと理解出来てしまっているからこそ皆、血の気が引き大混乱となってしまっているのだった。
そんな中、光一と春歌は”魔動機カーリー”がこの場面で出て来たことにはいささか驚いたが、すでに何度もゲームとは違う展開を見て来た故に、ようやく耐性がついてきたのか、まぁ、こういう事もあるかとすぐに割り切り、「フリーダムファンタジープレイ」の”魔動機カーリー”の設定を思い出した。
”魔動機カーリー”、「フリーダムファンタジープレイ」では別の魔王軍との戦闘で出てくる魔王軍が制作した魔力で動く二足歩行の巨大な人型兵器である。
単機でドラゴンキメラを倒せる性能と言う設定だけあり、そのボスキャラとしても強さもドラゴンキメラ以上で接近戦、遠距離戦のどちらも威力の高い攻撃をし、ボスキャラの中でも間違いなく強敵の部類に入り、まず初プレイのユーザーでは倒せず、周回プレイユーザーを対象にしているボスキャラである。
「緋村さん!春歌さん!どうしたんですか?!こんな時にボーっとして!?」
”カーリー”の設定を思い出したところで、アニエスの叫びに近い声掛けで光一と春歌は意識を迫りつつある目の前の”カーリー”と戻した。
そしてアニエスに「何でもない。」と答えたところで、かなり接近してきた”カーリー”のボディの前にそれなりの大きさの円形魔方陣が展開され、それを見た瞬間、光一と春歌の目が強張った。
「春歌!!」
「はいお兄様!!」
光一の叫びに春歌は即答しながら、防御魔法を展開し、次の瞬間、”カーリー”の展開した円形魔方陣からいくつもの魔法弾が撃ち出され、王国軍全体を攻撃し、多くの兵士を吹き飛ばした。
”カーリー”からの最初の攻撃はやんだが、これだけで王国軍には決して少なくはない損害を与えており、逆にこの隙を突いて、勇者や上級冒険者達のパーティーに属する魔法使いや銃使いや弓使い、そして王国軍の魔法部隊の魔法攻撃や弓や銃などの狙撃部隊がスキルを使っての攻撃をしても、”カーリー”にそこそこの損傷は与えたみたいだが、機能が停止する程の損壊に至らなかった。
「まずいですね。」
”カーリー”のそんな状態をみて険しい表情で呟くアニエス。エリスもアニエスと似たような表情をしていたが、光一と春歌は何事もなかったような表情をしていたが・・・。
そこにシルビアーナの声が光一達に掛かって来た。
「緋村パーティー無事か?!」
光一達がそちらを見るとシルビアーナの他にもミリーナ主従、フォン=リンメイやAランク冒険者パーティーのレオンパーティー、Bランクのカリンカ、ライオットパーティーそして勇者のリゼットとライナーのパーティーまでいた。
王国軍の主戦力がこの場に集まった事になり、その大半はかつてアデス山脈の調査に赴いた時のメンバーだった。さすがは上級冒険者や勇者と言った精鋭だけあり、見たところ多少の火傷やかすり傷は負っていたが、それ以外の目立った外傷は無い様である。
シルビアーナやフォン=リンメイは光一と春歌に全くの無傷である事に安堵と同時に納得の表情をした。
「皆さん、揃いも揃ってここに集まってどうかしたんですか?」
「1つはそんな事はないだろうと思っていたが、お前達、正確には緋村兄妹、お前達が戦えないぐらいの負傷をしてないかの確認だ。それともう1つは」
「もう一つは?」
「お前達あの兵器と戦ってくれるか?あの兵器をどうにかできる可能性があるのは、この場ではお前達だけだ。故にあの兵器をどうにか破壊して欲しいのは本音だ。向こうもお前達を名指ししていたしな。」
「嫌だと言っても何とか無理矢理戦わせるくせに何を言ってるんですか・・・。」
「・・・確かにそう言われたらそうするしかないだろうな。ではあの兵器の相手はお前達に任せるぞ!その間、戦闘の余波による王国軍への被害は我々が防ぐので、お前達はこちらの事は気にせずにあれを倒す事だけに集中してくれ!」
シルビアーナの言葉に光一達は戦うために”カーリー”を見ると、すでに”カーリー”は腹部をところがスライドして砲身らしきものが出ており、凄まじい魔力が集まっているのが眼に見えて理解できた。
どうやら向こうは当たり前だが、殺る気マンマンの様である。
これを見て、この場にいた勇者達や冒険者達はざわめき始め、エリスやアニエスまで大慌てとなったが、光一はドラゴンキメラの時と同じ展開だなと思いつつ、ゲームの”カーリー”戦でもしっかりと自キャラを育成したプレイヤーは同じ方法で”カーリー”のHPを、いや”カーリー”戦以外でもそれが出来るボス戦ではこの方法でボスキャラのHPを削ったなと思いながら、
「春歌、リフレクションプレートを使って。」
「はい、お兄様。」
春歌も光一と同じことを考えていたのか、光一に言われ、すんなりと発動すると敵の魔法攻撃や跳び系の剣技や格闘技を反射する防御魔法「リフレクションプレート」を発動させた。
これを見た勇者とその仲間達は驚きの表情になり「正気か?!」「その魔法ではね返せる程度の威力じゃない!!」と各々が叫んだが、光一と春歌は魔法を取り消す気配がなく、シルビアーナやフォン=リンメイと言った、かつての冒険で光一と春歌の実力を知っている周りの者達は動揺も、動く気配もないので、思わず詰め寄ると逆にシルビアーナやフォン=リンメイがライナーやリゼット達をなだめすかした。
それでも納得しきれていない勇者達にシルビアーナは、
「緋村兄妹!信じていいんだな!?」
「・・・それはあなた達が決めたらいいですけど、春歌は間違いなくあの人型兵器の魔力砲を反射できる!そうだろ春歌?」
「はい、勿論ですお兄様!あれぐらいの威力ならば問題ありません!!」
「だそうです。後はあなた達で判断してください。」
光一と春歌の返しにシルビアーナ、いやシルビアーナだけでなくフォン=リンメイやミリーナと言った者達も苦笑しながらもこの場を動く気配はなく、シルビアーナは勇者達に「だそうだ。あの兄弟の”力”を信じられないと言うのであれば止めはしない。この場から退避したまえ。」と答えたので、勇者達は信じられないという表情で、シルビアーナを見、次に周りを見、最後に光一と春歌を見た。
誰もこの場から退避しないと悟ったらしく、ライナーやリゼット達も半分ヤケクソ気味にこの場に留まり、主に”カーリー”を睨みつけながらも、皆がこの場に留まる原因となった光一と春歌も睨むように見た。
その直後、”カーリー”の腹部の砲身から凄まじい光の奔流が放たれたが、春歌の「リフレクションプレート」に当たった瞬間、光の奔流はその場で止まり、”カーリー”の砲身から放たれるのが止まるまで、「リフレクションプレート」に放たれた全てのエネルギーが蓄積された。
それを見てシルビアーナ達は、笑みを浮かべたり頷いたりしたが、勇者達はあり得ないモノを見た様に唖然として表情となり、魔王軍陣営値側からも凄まじく動揺しているのが感じ取れた。
その直後、「リフレクションプレート」に蓄積されたエネルギーはそのまま”カーリー”に向かって反射され、”カーリー”は直撃を受けた。
わずかに時を戻して魔王軍側ではアインザックとキョウカを筆頭に今回の侵略軍の中枢を担う高位魔族達が、”カーリー”が王国軍を威圧し、その魔法兵装で蹴散らしていくのを見ながら、
「ほう、あれが”魔動機カーリー”の性能か、中々どうして悪くないではないか。」
「ええ、ええ、全くですわ。まさに人間達がごみの様に蹴散らされていきますわね。」
「とは言え、肝心の抹殺対象は今回の筆頭である緋村兄妹、次の勇者、他にも王族達は誰一人として殺すどころか大した負傷さえもさせていないな・・・。」
「・・・ここは”カーリー”の最強兵装である魔力砲を使ってみましょうか。並みの防御方法では防ぐ事は不可能な威力だそうですから。」
「・・・”だそう”か。ちゃんとしたデータが取れていないと言うのも厄介だな。」
「全くですわね。本来の戦闘対象は緋村兄妹が殺してしまいましたし、まぁ、だからこそその緋村兄妹にぶつけたのですが・・・。」
「このまま”カーリー”との戦いの果てに死んでくれたらよいのだが、ん?何だ緋村兄妹の妹の方が魔力砲に対して防御魔法を展開したな。」
「あれは見たところ「リフレクションプレート」の様ですが、まさかあれで”カーリー”の魔力砲を反射できると思っているのかしら?」
春歌の行動にキョウカは呆れた色を見せ、アインザックは「これで決着か。あっけないものだな。」と何の感慨も感じさせない声で言った。
しかし、二人の予想はすぐに翻させられる事となった。
春歌の「リフレクションプレート」は”カーリー”の魔力砲の一撃を受け止め反射したのである。
「こ、こんな馬鹿な・・・。」
「信じられませんわ・・・。」
この光景を見て大きく動揺する自軍の混乱を鎮める事も忘れるほどにアインザックとキョウカは呆然とした。
この場にいる敵味方関係なしに呆然と見ている中、自ら放った魔力砲の一撃を反射されて直撃を受けた”カーリー”だったが、機能停止になるまでには至らず、再び動き始めた。
しかしあちこちから煙を上げており、腹部の魔力砲の砲身に至っては完全に破壊されているのが王国軍の誰が見ても理解できるモノだった。
その姿を見て、勝てるかもしれないと希望を抱き、再び活性化し始める王国軍。そんな王国軍をよそに”カーリー”は再び王国軍そして第一抹殺対象である光一と春歌に襲い掛かるのだった。
今回、意外と書くのに苦戦しました。
どうにもやる気と物語の詳細が浮かばなかったので・・・汗




