表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/92

第47話 天使達のちょっとした報連相

 今回は気が付いたらアニエスがメインの話になっていました。不思議だ・・・。

 フォン=リンメイの必死の説得(光一と春歌からすれば余計な事)によって、勇者も参戦しているマーハード王国軍と魔王軍の戦いに参加する事になった光一と春歌だが、司令部は光一達がフォン=リンメイが言うほどの戦力になるとは思っていないらしく、フォン=リンメイが去った後に来た兵の指示は魔王軍と戦う時は戦端で参戦する事になっているが、それ以外の指示どうみても戦力ではなく雑用係であり、働く内容も兵達の食事を作ったり、届けられた物資の運搬作業やテントの設置などがメインだった。

 それ故、光一達は来たその日から色々な雑用をする事になったのだが、


 「まさか、ギルドマスター直々の強制依頼でここに来てする事が、本来ギルドで受けるつもりだった依頼でするような事をする事になるとは思いもよりませんでしたねお兄様。」

 「あ~、まぁ、確かにそれは激しく同意だけど、最前線に送られるよりはいいんじゃないかな?」

 「・・・それはそうですけど、なんか釈然としないんです。」


 荷物を検査しながら面白くなさそうに言う春歌に対して宥める様に光一が言うとむくれた様に返す春歌。 だがそこにエリスが反論する様に言った。


 「でも私は春歌さんの言う事も一理あると思います!あのギルドマスターは御使い様を無理矢理この戦いに参加させておきながら、こんな扱いでは失礼だと思うんです。そもそも御使い様が戦えば魔王軍なんて一蹴されるのに!アニエス様もそう思いませんか!?」

 「・・・まぁ、春歌さんやエリスさんの言われる事も否定はしませんよ。・・・ところで光一さん、もし最前線で戦った場合、あなたは魔王軍を敗走させて王国軍を勝たせる事は出来ますか?」


 アニエスの問いに光一は作業している手を止め、アニエスを見るとアニエスも真剣な表情で光一を見ていた。

 春歌とエリスも手を止めて光一を見ている。


 「・・・まぁ、今戦っている魔王軍を敗走させられるかは分からないけど、王国軍の不利な状況をいくらか変える事は出来ると思うよ。」

 「?!そうですか。」


 断言する光一に春歌は嬉しそうに頷き、エリスは驚きながらも畏敬を込めた目で見つめ、アニエスは一瞬、驚きの表情になるがすぐに元の表情に戻って一言そう返すと再び作業を始め、そんなアニエスをしばし見た後、光一達も作業を再開した。その後、しばらく誰も話す事なく黙々と作業をするのだった。



 

 「少しいいかしら。」


 光一達が作業をこなしていると女性の声が掛かって来たので、そちらを見るとアニエスと似た法衣のような服を服を着た二人の女性が立っていた。

 1人は水色の長い髪を後ろで一つにしばっており、主に赤をメインにしたアニエスと似た法衣のような服を服を着ており、その上から軽装備の鎧を身に着けた中々にバランスの取れた身体つきをした見た目20代前半ぐらいの女性で、もう一人は茶色の髪をショートカットにした見た目10代後半で、アニエスや相方と同じ緑をメインにした法衣のような服を纏っており、ところどころ防具を身に着けた平均的なスタイルをした女性だった。

 彼女達を見て「あなた達は!」とアニエスが思いがけないところで知人になったような驚きの表情になった。

 ゲームのビジュアルを何度も見ているので、光一と春歌は目の前の二人が誰かしっていたが、それはあえて言わずに「知り合い?」と尋ねると「え、ええ、まぁ」といささか歯切れの悪い反応を返すアニエス。

 そこに水色の髪の女性が答えた。


 「私ももう一人の娘も彼女とは同じ教会の所属・・・・・なので、面識はあるけど挨拶と多少、一言二言、会話をしたぐらいで、それ以上の交流はないのよ。ああ、自己紹介が遅れたわね。私はウェンディアナ、こちらの娘は「セフィリアです。」よ。」

 「どうも、緋村光一です。こっちが妹の「春歌です。」、そしてこっちのエルフが」

 「エリス・ビーデル・フォートウッドです。」

 「そして知っていると思いますが、最後が」

 「アニエスです。お久しぶりです。シスターウェンディアナ、シスターセフィリア。」


 光一が自己紹介し、それぞれにも振っていくとそれぞれがそれぞれで自己紹介をし、その様子を見ながらウェンディアナとセフィリアの設定を脳内で引っ張り出していた。

 ウェンディアナはライナー・ヴォールと共に戦う最上級天使で、アニエスよりも階級は上となる。ゲームでのユニットの性能は最上級天使と言うだけあり、非常に高いモノであるが、どのルートもしくはプレイをしようとプレイヤーの仲間になる事は絶対にないキャラである。

 これはライナー・ヴォールとウェンディアナ以外の他の仲間にも言えるが、勇者達はストーリー上、共闘するシーンはあってもパーティーに加わる事はない。

 後に追加された18禁アペンドでもウェンディアナを含む勇者の仲間達との18禁シーンは魔王側ルートになった場合の凌辱シーンだけで、純愛による18禁シーンはない。


 セフィリアは、この世界において勇者となっているリゼット・アマラールと同じくシールティア王国内のある地方都市付近にいる天使だが、階級的にはアニエスよりも下の中級天使で、アニエスの後輩に当たると言う設定である。こちらはゲームにおいて勇者側ルートもしくは勇者も魔王も倒すルート限定でパーティーキャラに加える事もヒロインにする事も出来るキャラである。

 中級天使と言うだけあってユニットとしての性能はアニエスよりも下で、総合的にミリーナよりも少し下である。

 故にセフィリアはパーティーキャラ兼ヒロインとなる天使達の中では一番弱いのである。

 余談だがリゼット・アマラールもゲームにおいてはパーティーキャラ兼ヒロインとなるキャラで、ユニットの性能はセフィリア同様にミリーナよりも下で、しっかりと育成した上に装備も整えないと終盤は厳しいのである。

 ちなみにライナー・ヴォール自体も基本性能自体は、実はミリーナよりも少し上ぐらいで、ユニットの性能を見るだけならばシルビアーナやドラクニアナイツのカズイクルやメルディスの方が上なのである。

 

 「で、あなた達は何の様で来たのでしょうか?」

 

 光一の質問にウェンディアナが答えた。


 「あ、いえ、様があるのはそちらのシスターアニエスなの。まぁ、ギルドマスター殿が援軍を連れて来たと聞いたから、ちょっと挨拶をと言うのもあるのだけれど、なので少し彼女をお借りしてもよろしいかしら。」

 「僕達は構いませんよ。ねぇ、二人とも?」


 光一がそう、春歌とエリスに尋ねると二人とも頷いたので、「どうぞ」というと「ごめんなさいね。」とウェンディアナと一礼して、アニエスについて来る様に視線で促すとその場から離れ、セフィリアも「作業中ごめんね。」と一礼するとウェンディアナの後に続いた。

 「すいませんが少し離れます。」とアニエスも光一達に一言詫びると、二人の後に続いたのだった。


 


 「久方ぶりねアニエス。」

 「あ、はい、お久しぶりですウェンディアナ様。」

 「ホント、久しぶりですよアニエス先輩。」

 「ええ、そうですね、セフィリアも元気そうで何よりよ。」


 ウェンディアナに連れられて人気がないところに来たところで、まずはウェンディアナにそう挨拶されてアニエスも返し、セフィリアともまずは再開の言葉を交わした。


 「で、本題に入るけど、あの”カブキモノ”兄妹としばし行動を共にしてどうかしら?彼らは私達の”脅威”になる?それとも”希望”になる?」

 「さすがにそれはまだ何とも・・・行動を共にしてまだ1週間も経っていませんし・・・。」

 「で、でもアニエス先輩、あの”カブキモノ”兄妹の兄の方は先輩に、その、自分の女の一人になる事を求めたんですよね?だ、だったら身体を交わして感じた事もあるんじゃ・・・?」

 「いえ、私も正直、すぐにでも閨に呼ばれると思っていたんですけど、未だそういう気配はありませんね。それ以前に彼、緋村光一はまだ一線を引いているところが感じられるので・・・。」

 「・・・あら?そうなの?あなたが守護している地での脅威を払うのに力を借りる代わりに、自分の女の一人になる事を求めて来たのだから、あなたが行動を共にした時点で、すぐにそういう関係になったと思ったのだけれど・・・。」

 「そうですね。それは私も意外です。」

 「意外といえばあのような”カブキモノ”兄妹が神刀「破邪」と「三精霊王の杖」を所持しているというのも意外です。」

 「・・・まぁ、彼らは神刀「破邪」と「三精霊王の杖」をそれぞれ使いこなせるだけの技量があるのは確かですから。」

 「・・・技量があるだけに厄介なのよ。挙句に”カブキモノ”だから余計、始末に負えない。」

 「・・・まぁ、今のところ行動を共にした限りでは悪い人間ではないと思いますよ。逆にその力を平和のため民達のために使う人でもないですが・・・。」

 「そう、まぁ、今現在いる4人の勇者の内、ここにはいない残り2人も世界や人々のために戦う性格の人間ではないから、その”カブキモノ”の緋村と言う兄妹をあまりどうこう言えるわけでもないんだけど・・・。」

 「えっ?!そうなのですか!?」


 どうやら、勇者全員の事を詳しく知っているわけではないのかウェンディアナの言葉に、アニエスは驚くとウェンディアナはため息をつきながら肯定した。


 「ええ、一人は俗にいう復讐鬼よ。まぁ、彼の身に起きた事もあり理解も出来るし、世界や人々のためではなく自分の恨みを晴らすためとはいえ、積極的に魔王軍と戦い、結果的にライナーやリゼットと同様に世の平和のために貢献してくれているから、女神様を始め熾天使様方も強くは言えないわ。問題はもう一人よ。」


 そこで一度、区切り、アニエスを見て続けた。


 「貴族のバカ息子で、勇者でありながら魔王軍とほとんど戦う事もせず、逆に勇者である事を笠にして民達に対して色々とあくどい事をしているそうよ。正直、何であんな男が勇者なのか女神様を始め私を含め知っている者は皆、首を傾げるわ。」

 「そ、それほどですか。」

 「そんなんだから勇者の中でもダントツに弱いんですよ先輩。」

 「・・・そんなんだから緋村兄妹が”カブキモノ”でもさほど驚きはないと言う訳。まぁ、もっとも私も長く生きているので、色んな人間を見て来たけど、戦場にタキシードにマント、フリフリのついたドレス姿で戦おうなんて人間は初めて見たわね。もっとも過去、着ぐるみ姿やコック服やスーツ、挙句にはほぼ全裸なんて言うのもいたので、驚きはしないけど・・・。」

 「「えっ!?」」


 苦笑しながら言うウェンディアナの最後の言葉には、アニエスだけでなくセフィリアもおかしな言葉を聞いたという表情になった。

 しかしウェンディアナはそれを無視して、締めくくった。


 「とにかく、アニエス、あなたは緋村光一が魔王側になびかない様にしなさい。本当は私達側につく様にしなさいと言いたいけど、”カブキモノ”は基本、他者の意見なんか聞かず、己が道を突き進む連中だから、こちらの味方になる様に言ったところで逆にへそを曲げる可能性もあるから・・・。」

 「はい、ウェンディアナ様。」

 「先輩、先輩なら出来ますよ♪」

 「・・・まぁ、先程言ったバカ勇者よりはましそうだから、まだいいのかしらね・・・。」

 

 憂いの表情になって、ため息をつきながら言うウェンディアナを見て、アニエスは最後の勇者はそんなに素行が悪いのかと、その勇者についている天使やその他の仲間達を気の毒に思ったのだった。




 「お帰り、あのシスター方の用事は終わった?」


 戻って来たアニエスに、光一達は作業していた手を止めて、アニエスを見て尋ねると、アニエスは「はい、ちょっとした連絡のようなものでしたから。」と返すと光一は「そーなんだ。」と返して、興味がなくなった様で、再び作業を開始した。

 

 「アニエス様、戻って来たばかりで申し訳ないんですが、こちらを手伝って欲しいのですが・・・。」


 エリスの言葉にアニエスは「あ、はい、わかりました」と答えて足早にエリスの元へと寄り、作業を手伝い始めた。

 作業をしながら、アニエスはウェンディアナとセフィリアのやり取りを思い出し、”カブキモノ”の光一と春歌と行動を共にするのは最初、内心では憂いしかなかったが、先程聞いたトンデモ勇者に比べたら、自分はまだましなのかなと何気に思ったのだった。

 そう思うと、少しだけ光一の事が好きになれそうな気がした。

 そんなアニエスの心境の多少の変化など光一達が分かるはずもなく、光一達は暫くの間、黙々とそれぞれの作業をこなすのだった。

 やっぱりアニエスは「シスコ」で仲間になった時は、光一と春歌の事を内心では良い感情は無かったと言う事ですなwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ