第四話 これが僕達の愛モンスターです。
仕事の忙しさや、暑さもあり、書くのに時間が掛かりました。
「まさかいきなり全てが「フリーダムファンタジープレイ」通りではないという事を実感する事になろうとは・・・。」
春歌を抱きかかえて、あの場から逃走し、スキル「超加速」の効果が切れるまで走った後、取り敢えず逃げきったので、春歌を降ろしてため息をつきながら言う光一。
「で、でも、この世界はゲームではないとはっきりと認識できたのだから、そう考えたらこれはこれで意味があったのでは!」
自分の魔法が原因の春歌の焦りが入ったフォローの言葉に光一は「・・・そうだね。」とだけ返した。
その光一の様子に罪悪感が湧いたのか「申し訳ありません。お兄様」と謝る春歌。
「い、いや、春歌が悪いわけじゃないよ。さすがにあの「シャイニングブラスト」も想像以上だったし、あれを第三者が見て大騒ぎする事に考えが及ばなかった僕も悪いし・・・。
たぶん、どこかでまだゲーム通りの認識があったんだと思う。そう思ったら春歌の言うとおり、この世界はゲームではないとはっきりと認識できたのだから、これはこれでよかったと思うよ。」
春歌をフォローして光一はこれからどうするかを考える。
そして、思ったよりも南に来てしまったので、いっその事バーンサイド王国を抜けて南にあるマーハード王国の首都「グームリー」を目指してみようかとふと思いついた。
「ねぇ春歌、思ったよりも南、それもマーハード王国近くに来てしまったから、このままマーハード王国に行って首都「グームリー」に行ってみない?」
「はぁ、マーハード王国ですか?別に私は構いませんが。」
春歌も了解してくれたので光一は、このままバーンサイド王国を抜けてマーハード王国の首都「グームリー」を目指す事にした。
「取り敢えず、マーハード王国には入れたな。」
あれから体感で20分ぐらい歩いて光一達はバーンサイド王国とマーハード王国の国境の砦に着き、マーハード王国に入るための手続きをしてマーハード王国へと入国して光一が何気に呟いた。
道中でゲーム世界の様にモンスターなどに襲われるかと思っていたが、何事もなく国境の砦に着いたので、拍子抜けしたのは確かだった。
入国に必要な手形などは、すでに光一達のアイテムリストの貴重品リストの中にあったので、それを取り出して見せたら問題なく通れた。
もっとも光一達の格好はパッと見た限り旅人や冒険者には全然見えず、砦の役人を始め、周りの通行しようとしている者達からも妙な目で見られたが・・・。
ちなみにこの手形、入手するならばそんなに難易度は高くないが、若干の手間と労力は掛かるので、こういう貴重品を最初から所持しているというのも便利と言えば便利である。
そして国境でバーンサイド王国とマーハード王国の名前を確認して、この世界が間違いなく「フリーダムファンタジープレイ」の世界であるとも理解できた。
「でも首都「グームリー」まではまだ結構、距離がありますよね・・・。」
「まぁ、それはね・・・。」
さすがに国境を越えたらすぐそこと言うわけではない。
ゲームの「フリーダムファンタジープレイ」でも首都「グームリー」まで行くのに1つの村と1つの町を越えなければならなかった。
そうである以上、この世界も「フリーダムファンタジープレイ」と同じ距離はあるだろう。
「こういう時、乗り物があったら便利なのに。」
「さすがにそれは無理だよ春歌。まぁ「フリーダムファンタジープレイ」ではの乗り物もいくつかあったけど僕達はそれを所持していないし・・・」
光一の言うとおり「フリーダムファンタジープレイ」では、古代の遺物という設定で戦車やヘリコプターなどが登場し、そして二足歩行の大型人型兵器や大型戦艦などもアペンドディスクによって追加され、挙句に日常で使われる自動車やバイク、トラックなども更なるアペンドで追加されたぐらいである。
もっともさすがにここまで来ると、ファンタジーの世界観ぶち壊しという事で、不評を買ったが・・・。
二人がとぼとぼと首都「グームリー」を目指して歩いていると、その横を行商と思われる馬に引かれた荷車が通り過ぎていく。
それを見て春歌が何気に呟いた。
「・・・乗り物ではなくてもあのような馬などがあっても便利なのでしょうね。」
「移動する上では便利だろうね。そういえば僕達は「フリーダムファンタジープレイ」では乗り物はイベントや遺跡のダンジョンをクリアして3つくらい入手して、フィールドを掛け巡ったけど、馬などは一度も入手しなかったな。」
「私達は使役スキルを覚えてからは、気に入ったモンスターを使役して、召喚魔法を覚えてからはそのモンスター好きな時に召喚して、それを馬代わりにして、フィールドを掛け巡っていましたからね。」
そこで春歌はふと思いついた。
「ねぇ、お兄様、せっかくだし私達が使役したモンスターも、召喚できるか試してみませんか?」
「・・・それでうまく召喚できたら、それを馬代わりにしようというわけ?」
「え?・・・まぁ、それは・・・。」
光一に図星を指されて春歌はごまかす様に笑った。
「まぁ、別にいいけど、じゃあ人目につかないところに行って試してみようか。」
光一も案外、春歌の提案に乗る気だったので、内心では歩いて行く事に気乗りがしなかったのかもしれない。
そして、少し歩き、森の通り道に入ったところで、前後に人がいないことを確認して森の中に入り、そのまま道なき道を歩くと、開けたところに出た。
「ここなら問題ないな。さっそく召喚できるか試してみよう。」
周りを見渡して、問題ない事を確認して春歌に言うと、春歌も「はい」と頷いた。
二人とも召喚魔法を使おうと念じた瞬間、二人の目の前にそれなりに大きい魔法陣が描かれ始め、そのまま念じ続けると、やがて魔方陣が輝いて段々と何かが出てきた。
やがて光一の前には、引き締まった凄まじい筋肉を持ち、ところどころから赤い魔力を放出している全長6~7メートルはあると思われる身体に、3つの犬の頭部を持った4足歩行の犬型モンスターが出てきた。
「フリーダムファンタジープレイ」で出てくる最上級モンスターの一体である「ケルベロス・ロード」だった。
春歌の前には全身を見ただけで強固と思われる白い鱗に覆われ、ところどころに白い羽毛のようなものもある全長10メートルはあると思われる身体に大きな4枚の羽を持った龍がいた。
この龍も「ケルベロス・ロード」と同じく「フリーダムファンタジープレイ」で出てくる最上級モンスターの一体である「ライトニング・ホワイトドラゴン」だった。
どちらも使役した時は下位モンスターである「ケルベロス」、「ライトニング・ドラゴン」だったのだが、その後育成して今の上位モンスターにしたのである。
このまごう事なき最上級モンスターが2体も出て来た事でその存在感、威圧感は半端なモノではなく、事実、この2体が出てきた瞬間、このあたりのモンスターを含めた動物達は、一目散に逃げ出した。
しかし光一と春歌に全く効果がなかった。
「おお、問題なく出てきたぞ春歌。」
「はい、そうですねお兄様♪」
実に嬉しそうにはしゃぐ二人。
光一はそのまま「ケルベロス・ロード」に近寄って「お手」と命じた。
すると次の瞬間、片手を出す「ケルベロス・ロード」。
見る者が見たら、卒倒する光景がそこにあった。
春歌も「ライトニング・ホワイトドラゴン」に近づくと、「ライトニング・ホワイトドラゴン」は身体を倒し、春歌に顔を近づけた。
そして春歌になでられると嬉しそうに啼いた。
光一達に、この魔獣達が従っているとはっきりと解る光景だった。
「よし春歌、これで馬の代わりは確保できた。これで「グームリー」の付近までいくぞ!」
「はい、お兄様!」
そして光一は「ケルベロス・ロード」に跨り、春歌は「ライトニング・ホワイトドラゴン」の頭の上に乗った。
「いざ出発!!」
光一の掛け声と共に2体は大きく叫ぶと「ケルベロス・ロード」は駆け出し、「ライトニング・ホワイトドラゴン」は翼を羽ばたかせて宙を浮き、低空飛行で飛翔したのだった。
次はもう少し早く書き終えれたらいいのになぁ~。




