第34話 天使アニエスの頼み事
メリークリスマス!!
今回も切りのいいところまで書けたので、投稿致します。
でもクリスマスイヴに投稿できるだなんてなんかいい事あるかも・・・。
天使アニエス、ゲーム「フリーダムファンタジープレイ」において世界を創造した創造神の一人で、勇者と敵対したルートで条件を満たした場合、戦える真ボスの一人でもある女神の命を受けて港町「シスコ」を含むこの辺り一帯の守護を命じられた上級天使の1人で勇者側つまり勇者をサポートするか、勇者に代わって魔王を倒すルートもしくは勇者も魔王も倒すルート限定で、パーティーキャラとなりヒロインにもなるキャラである。
パーティーキャラになった場合、上級天使という設定だけあり、総合能力は高いが仲間になる前のイベント等の活躍と比べたら弱体化しているのではないかと感じるぐらいに強力なユニットになるわけではなく、シルビアーナやメルディスよりもそこそこ上ぐらいである。
とは言え「フリーダムファンタジープレイ」の仲間になるキャラの中では強い部類に入るので、あまり育成しなくても、強い武器や防具を装備させたらエンディングまで十分、活躍できるユニットなのも確かではあった。
しかしゲーム「フリーダムファンタジープレイ」においてアニエスのイベントクエストを起こすにはプレイヤー自らが、アニエスに関わるイベントを回収しなければならず、今の様にアニエスから接触してくる事はなかった。
どうもこの世界に来て、そこそこのゲームの展開以外の体験を積んでいるとはいえ、まだゲームのイベント以外の展開が起きて驚いている時点で、ひょっとしたら自分と春歌は適応能力が低いのかもしれないと思う光一だった。
とは言えずっと無言なのもどうかと思い、光一はまず思った事を口にした。
「まさか、この地域の伝承の守護天使がわざわざ声を掛けてくるとは思いませんでした。ちなみにどうして僕達が神刀「破邪」と「三精霊王の杖」を持っていると分かったんですか?」
「・・・我々、天使が神造兵器の出すそれぞれの波動を感じ取れないわけがないでしょう。この「シスコ」に入る前から、その「破邪」と「三精霊王の杖」の存在を感知していましたよ。」
アニエスの返答に、光一、春歌もだが内心でそういえばそんな設定もあったなと思い出しながら「なるほど」と頷いた。
「それで、天使様はどうして私達のところにわざわざ会いに来られたのですか?」
続けて春歌がアニエスが自分達に接触してきた理由を尋ねると、
「単刀直入に言います。あなた達の力を私に貸していただきたいのです。」
アニエスは光一、春歌、エリスの順に顔を見回しながらそう返してきたのだった。
「粗茶ですがどうぞ」
落ち着いて詳しい説明をしたいと言う事で、天使アニエスに案内されて光一達は「シスコ」の果てにある少し寂れた小さな教会に招かれた。
そこにはこの教会を任されていると言う春歌と同じぐらいの10代中頃と思われる緑色の長い髪をしたシスター、メイ=アノールと数名の子供達が歓迎してくれた。
この教会は女神とこの地を守護する天使アニエスも祭っており、同時に孤児院も兼ねており、子供達はその孤児院の孤児達だとアニエスが説明してくれた。
そして教会の応接室に通された光一達は、腰を落ち着かせるとメイから紅茶を馳走してもらったのである。
メイの入れてくれた茶を飲みながら、目の前のメイの情報を脳内で引っ張り出す光一。
メイ=アノールは天使アニエスのイベントクエストに入るための重要なキャラで、アニエスとは別にイベントクエストもあり、パーティーに加える事もできれば「フリーダムファンタジープレイ」に登場する数多くのヒロインの一人でもある。
とは言えユニットとしての能力は高くなくほとんど回復と神聖補助魔法要因で、能力を限界近くまで上げる事により、蘇生魔法なども習得できる程度である。
まぁ、話の流れでメイ=アノールは「シスコ」の果てにある少し寂れた小さな教会を一人、(正確にはアニエスも関わっているが)運営しているのもほぼ左遷と言う形でこの教会に赴任した経緯もあり、神官としての能力はさほど高くないのが事実である。
その代わり性格は穏やかで、少し抜けているが清らかな心の持ち主である。
メイ=アノールの情報を脳内から引き出したところで光一は、口につけていた茶器を置いてアニエスの方を見て尋ねた。
「それで僕達の力を貸してほしいというのはどういう事なんですか?」
「率直に言うならば共闘して欲しいのです。今の「シスコ」の状況はご存知の様に魔王軍、海賊、シーサーペントと多くの敵が攻め込んできているので、不甲斐ない事この上ないのですが正直、私の力では守護しきれなくなってきているのです。このままでは必ず私は必ず敗れ「シスコ」は壊滅させられてしまいます。」
『?!』
ハッキリと負けると断言するアニエスに絶句する光一達。
「で、でも天使様がお破れになるだなんて敵はそんなに手ごわいのですか?」
エリスが動揺を抑えながら尋ねると、アニエスは「はい」と頷いて説明してくれた。
それによると魔王軍は攻めてきたのは一部隊だけなのだが、その一部隊が空が飛べる翼種からなる飛行部隊で、部隊長はアニエスよりは劣るがそれなりのレベルの悪魔だそうである。これだけでも厄介なのにその上、シーサーペントも思った以上に獰猛な上位種で、こっちもアニエスではいささか荷が重いのが事実なのだそうである。
挙句にその混乱に乗じて攻めてきた海賊もその勢力もさる事ながら、船長自身もそれなりに強い力を持った魔族だそうである。
シーサーペントを除く魔王軍の部隊長と海賊の船長は一対一ならば勝てる相手なのだが、そこに部下と言う数の力が加わってアニエスは苦戦を強いられているそうである。
アニエス自身も、この数の力をどうにかしようと思案はしていたのだが、如何せん今の「シスコ」にいる人材ではシーサーペントは当然の事、魔王軍はおろか海賊を相手に戦うにも力不足というのが現状の様である。
どうやら「シスコ」の事態は光一達や世間の皆様が思っていたよりも悪い様である。
そんな現状に打開策を見いだせないアニエスが悩んでいた時に、神刀「破邪」と「三精霊王の杖」の波動を感じ、それが「シスコ」にやって来たので、接触を図ったみたいである。
確かに神刀「破邪」と「三精霊王の杖」を所持している時点で、並みの使い手ではないのは確かであるので、アニエスの選択も間違ってはいないだろう。
「故にこの「シスコ」を、そしてこの街に住む民達のためにあなた達の力を貸していただきたいのです!」
熱意をもって頼み込むアニエスに、気圧されながらも、
「あ~、まぁ、共闘するのは良いんですけど、僕達も出来れば報酬は頂きたいんですけど。」
そう返す光一にアニエスは「なるほど、それも確かにそうですね」と頷き、報酬は何が良いかを尋ねてきた。
何でも天使勢でも上位に存在であるアニエスが女神や最上級天使達に報告をしたら、そこから報酬が発生し、教会を通じて支払われるそうである。
「あ~、まぁ、エリスや春歌もいるので金もそこそこ欲しいのですけど、僕個人としてはあなたが欲しいんですよね。」
『は?』
光一の突然の言葉にアニエスだけでなく、一緒に聞いていたメイも目を丸くして驚いた。ついでに言うならエリスもである。春歌は光一の目的を知っていたので、驚きの声は上げなかったが、面白くなさそうな表情になったいた。
そんな彼女達を前に、光一は「シスコ」を訪れた目的を話し、そのまま冒険をしている目的も話した。
光一が言い終えると、それを聞いていたメイは何とも言えない表情となり、アニエスに至ってはいささか侮蔑の色が出ていた。
「・・・よもや神刀「破邪」を持つ者がこんな”カブキモノ”だったとは・・・。」
嘆かわしいと言わんばかりにこめかみに手を当てて言うアニエス。光一達は自分達は”カブキモノ”ではないと返すが、アニエスはそれに対して反応せず、しばらく頭痛でも抑える様にこめかみに手を当てたまま動かなかったが、
「・・・まぁ、報酬の希望は聞きました。「シスコ」に迫っている災いを払ってくれた暁には、一応、あなたのパーティーに加わってよいか女神さまに尋ねてみましょう。」
「あ、はい、お願いします。」
そう返したアニエスに対する光一の反応に、内心ではまぁ、絶対、そんなあほな許可は下りないでしょうけどねと呟いたが、声に出す気はなかった。
なんだかんだ言って教会の運営にも携わっている天使様は、場の空気も読めるのだ。
「と、取り合えず、これで私と共闘してくださると言う事でよろしいでしょうか?」
「あ、はい、僕はそれでいいです。春歌とエリスもいい?」
「私は御使い様が了承したのならば・・・。」
「いいも何ももう決まっちゃったじゃないですか・・・。」
光一の問いにエリスはあっさりと、春歌は少し不満そうにしながらもアニエスの依頼を受ける事に了承したのだった。
「私の頼みを聞き入れてくれた事、心から感謝します。共に正義をなして「シスコ」を守り抜きましょう!!」
力強く宣言するアニエスに、光一達、少なくとも光一は内心、いや、別に正義をなすつもりは全くないんですけどと突っ込んだが、声には出さなかった。
光一も何だかんだ、こういう時の空気は読めるのだ。
こうして緋村光一は、「シスコ」に来たもう1つの目的、アニエスの自分のパーティーとハーレムに入れるために必要なフラグ、ゲームで言うところのイベントクエストを起こす事ができたのだった。
ここのところ1週間ぐらいで投稿できているような・・・。
今年はもう1話ぐらい投稿できるかな・・・。




