↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの世界に義妹と来たので、素敵な”出会い”を求めて僕らは二人、冒険に出る。  作者: 謎の生物
素敵な”出会い”を求めて冒険に出るまで
PR
13/92

第12話 緋村兄妹、ユーリ村で奮闘するとの事。

何とか8月いっぱいで書き上げれました。

 光一と春歌が村人達を護衛しながらユーリ村の出入り口に辿りついた時には、村の出入り口は倒壊した建築物で塞がっており、村を覆っている柵もところどころが破壊されていた。

 遠目に村の中が見えるが、村人達が住む家はほとんどが火の手に包まれてり、畑なども派手に荒らされていた。

 そして犠牲者と思われる村人の亡骸もいくつか見える。

 

 「トナさん?!」

 「親父ぃぃ!!」

 「婆さんんん!」


 村人の亡骸を見て、自分の身内や知り合いと分かると皆、悲しみと絶望の声で叫んだ。中にはショックでへたり込んでしまった者もいる。

 そんな中、光一と春歌はミリナとミヤビの姿を探したが、村の出入り口付近からでは見つからず、どうやら村の奥に行った様である。

 取り合えず壊れた柵から村の中に入り、一番近くにあった燃えている家2件に春歌の一番弱い水魔法を掛けて火を消して村人達をそこに待機させた。


 「先に来たミリナさん達の安否も気になるので、僕達は村の中を調べてきます。皆さんはここで待機していてください。」

 「ええ、分かったわ。君達も気をつけて。」


 村人一同の代表として診療所の助手が肯定して光一達を送り出してくれた。

 光一と春歌が村のあっちこっちで上がっている火の手を消火しながら村の中を進んでいると、コボルトと思われるモンスターや、普通の狼よりも大きい狼のモンスター、ウルフと言ったアデス山脈へと続く麓の森に生息しているモンスターの亡骸があちこちに転がっている。

 そして本来ならばアデス山脈に生息しておりこんな麓の村で見ることはないモンスターの亡骸があちこちに転がっている。

 どれも綺麗に両断されているので、間違いなくミリナとミヤビの仕業だろう。

 ミリヤ達と合流するために王都「グームリー」へと続く村の出入り口側へと進んでいると、ジャック一家の家と思われる倒壊した家へと来た。


 「お兄様、フィオちゃんは無事なのでしょうか?」

 「・・・分からない。一応、中を確かめてみようか。」

 「・・・はい。」


 光一と春歌は倒壊したジャック一家の家の中を覗いてみると家の中に大きなトカゲのモンスター、リザードがいた。

 その近くにはジャックとフィナとフィオの遺体があった。それを見た瞬間、光一の中で何かがキレタ音がした。


 「?!邪魔だ!さっさとくたばれ!!」


 光一は思わず「破邪」を抜いてリザードを一刀両断にしてリザードの亡骸を倒壊した時に出来たと思われる壁の穴から外へと蹴飛ばした。

 その間に春歌がジャック達の遺体を調べているとジャックとフィナは頭から血を流しており、モンスターにやられたのではなく、家が倒壊した時の落下物か何かが頭部に当たって亡くなったみたいだった。

 しかしこれならば「オール・リバイバル」を掛ければ二人とも蘇生できるだろう。少しだけ溜飲を下げた春歌はフィオの遺体にも手をやると、まだ微かだが息があった。


 「?!お兄様!フィオちゃん、まだ息があります!!」

 「何だって?!春歌、リカバリーを掛けてあげて!!」

 「はい」


 春歌が上級回復魔法リカバリーを掛けるとフィオの容態は安定した様だった。取り合えずホッと安堵する光一と春歌。

 間もなくして意識を取り戻すフィオ。


 「うんん、冒険者のお貴族様?」

 「・・・貴族じゃないけど、冒険者の僕達だよ。」

 「フィオちゃん、大丈夫?まだどこか痛む?」


 光一と春歌とのやり取りの間に意識がはっきりしたのか、光一と春歌の顔を見て「うわあああん、お兄ちゃん!!」と光一に泣き付くフィオ。

 しばらく光一に抱きついて泣き腫らしてフィオが落ち着いたのを見計らって村に何があったのか尋ねる光一と春歌。

 フィオ自身もあまり詳しくはその時の状況を理解していないが、夕方、日がくれた頃にいきなり全身が岩をくっつけたような外見をしたドラゴンのような大きなモンスターが村のド真ん中に降り立ち、暴れた後、アデス山脈へと続く麓の森からモンスターの集団が村を襲撃してきたみたいなのである。

 フィオの家はドラゴンが暴れた時に倒壊し、家の中にいたフィオ達は巻き込まれてしまい今の惨状になった様である。


 「ね、ねぇ、お兄ちゃん達、お父さんとお母さんは?」


 フィオは不安げに両親の安否を尋ねると春歌は目をそっとそらし、光一は首を横に振った。それを見てフィオは愕然とした表情になり、再び泣き崩れた。

 光一としてはフィオの気持ちが落ち着くまで宥めてあげたかったが、ミリヤ達の事や他の村人の事も気になるので、春歌に対象者を眠らせる初歩魔法「スリープ」をフィオに掛ける事を小声で頼んだ。

 春歌は頷くと「スリープ」をフィオに掛け、取り合えずフィオの身体を、倒壊した家の状態を見て、これ以上崩れる事はないだろうと思い、またモンスターがうろついている外よりは家の中の方が安全だろうと思い家の床の上に横たえた。

 

 「・・・後で春歌に蘇生させてもらうけど、両親の仇はとるからねフィオちゃん。」


 フィオの寝顔を見ながら光一は呟くと春歌を連れて外に出た。そして王都「グームリー」へと続く村の出入り口側を目指して、襲撃による倒壊などで道を塞がれて回り道をしながらも進んでいく。

 途中、ミリヤ達が見逃したのであろうモンスター達に遭遇したが、全て光一が一刀の元に斬り捨てた。

 そして村の出入り口が見えたところで前方にミリナとミヤビを見つけた。二人の近くには生き残りと思われる村人が6人ほどいる。二人と剣を引き抜いて村人を守る様に背中を向け合ってモンスター達と対峙しているのだが、モンスターの数はまだそこそこいた。

 しかしどれもミリナとミヤビの力量の前には雑魚なので問題はないと思えるのだが、一体だけ他のモンスターよりも数段強いと思えるのがいた。

 全長4メートルほどの巨大な熊のモンスターで、光一と春歌は「フリーダムファンタジープレイ」でアデス山脈へと続く麓の森に登場した森のモンスター達ののボスであるビッグベアだと見てすぐに分かった。

 それでもミリナとミヤビならば、どちらかが一対一で戦ってもそこそこの苦戦はしても勝てる相手ではある。

 とは言え今のこの状況、アデス山脈に生息するモンスターと麓の森に生息するモンスターの混同の集団に森のボスモンスターであるビッグベア、そして生き残った村人を守りながらではミリナとミヤビでも苦戦は免れないだろう。

 

 「ミリナさん!ミヤビさん!」


 二人の名を叫びながら数体のモンスターを斬り捨てながらミリナ達の元へ駆けつける光一と春歌。


 「緋村さん!春歌さん!」

 「緋村殿、村の方達は?」


 ミヤビの問いに、光一は村に最初に目に映った火事になっていた家を春歌の水魔法で消火してそこに待機させておいた事を伝えた。

 それを聞いて取り合えず安堵する村人達。ミリナもミヤビもそれで良いと思ったのか光一の対処に何も言わない。

 そこに頭上から大きな叫び声が響いた。

 この場にいる全員が上を見ると、ドラゴンと思われるモンスターが低飛行で飛んでおり、そのまま村の出入り口から外に出た少し先に降り立ち、そのまま村の出入り口を破壊しながら村へと進入し、囲んでいるモンスター達の付近で止まり、威嚇する様に叫んで光一達に顔を近づけた。

 全身が岩をくっつけたような外見をした全長6メートルほどのドラゴンで、フィオの言っていたドラゴンだろう。

 「フリーダムファンタジープレイ」でアデス山脈に登場するモンスターで一番強いロックドラゴンと光一と春歌はすぐに分かったが、このモンスターまでも麓の村を襲撃しかも森のボスまで従えてる時点で、森の生態系が崩れているのは確かである。

 明らかにアデス山脈に何かが起こっているのは確かである。

 ゲームの「フリーダムファンタジープレイ」もアデス山脈に続く麓の森に入ってアデス山脈に生息するモンスターに襲われて、最後はロックドラゴンと戦うイベントとなり倒すと一旦終了となり、数日後にアデス山脈に調査に出かけるというイベントクエストが起こるが、村が襲われる展開はない。

 ゲーム通りならばアデス山脈に起こっている異変の原因も分かるが、こうゲームにない展開が起こるとアデス山脈の異変がゲーム通りという自信は光一と春歌には、もはや持てない。

 何はともあれまずはこの目の前のモンスター達に誅罰・・をくださなければならない。

 ロックドラゴンはミリナとミヤビでも一対一で戦った場合、苦戦は免れない相手である。ましてやビッグベアやその他多数の雑魚モンスター、それに村人達まで守りながらではミリナとミヤビ・・・・・・・ではかなりの劣勢と言えた。事実、二人とも手に握る剣を強く握り締め表情が強張っている。

 だがすぐに二人ともお互いの顔を見合わせた後、頷き光一と春歌に指示を出した。


 「光一さん!春歌さん!村の人達を連れて避難してください!!」

 「ここは我々が何とかする!村の者達を頼む!!」


 しかし光一も春歌も動く気配が見られず、光一は睨む様に周りを見渡している。その様子にミヤビが怒声を発した。


 「何をしている!村人達を連れて早く逃げろ!!」

 「悪いがそれはできない。フィオちゃんのためにも僕達はこれからこの化け物共を一匹残らず誅罰をくださなければならない。」


 光一の言葉にミヤビだけでなくミリナも自分の耳を疑った。


 「ふさけるな!こんな時に何を世迷言を言っているのだ!!」

 「そうです。あなた達の手に負える相手ではありません!おかしな事は考えずに我々の指示に従ってください!!」

 「いいから黙ってみていろ!!!」

 「「?!」」


 光一に一喝されて思わず一瞬固まって沈黙するミリナとミヤビ。その瞬間に光一は両手で「破邪」を天に掲げる様に構えた。次の瞬間、「破邪」の刀身が激しく輝き、光一はそのまま左手で「破邪」を逆手に持ち直して大地に突き立てた。

 次の瞬間、突き立てた「破邪」を中心に村の3分の1を飲み込むほどの蒼の輝きを放つ魔法陣のようなものが形成され、そのまま蒼の光が激しく放出された。その光を受けたモンスター達は身体を切り裂かれた。

 魔法と剣技スキルが中レベルで習得できる範囲攻撃技「魔攻陣まこうじん」で威力自体は高くないが魔攻陣の技量レベルが上がれば、上がるほど高まるもので、光一の魔攻陣の技量レベルは最大値故に、その威力もそれなりに高く、魔攻陣が発動し終えた後、生きているモンスターはロックドラゴンのみとなっていた。

 そのロックドラゴンも満身創痍であり、翼はもがれ、岩のような身体のあちこちに大きく傷が入って欠けていた。

 もはや戦う力もなさそうに見えたが、最後の力を振り絞ったのか大きな叫び声を上げた後、光一に向かって突進してきた。

 光一は「破邪」を再び両手で掴み気を込めて刀身を輝かせて、刀身を右腰に差している鞘を対になる様に左腰に持っていき、そのまま勢いよく遠心力をつけて頭上へと持っていきそのままロックドラゴンに向かって「破邪」を振り下ろした。

 「飛翔斬」の発展技である「飛翔剛波ひしょうごうは」で、剣から放たれた強力な気の一撃を受けてロックドラゴンは粉々に砕け散った。

 こうして「ユーリ村」を襲ったモンスター達は瞬く間に全滅した。この光景を村人達は勿論の事、ミリナとミヤビも信じられないという唖然とした表情で固まっていた。




 モンスター達を全滅させて取り敢えずは生き残った村人達と薬草の採取から戻ってきた者達が、顔を合わせてお互いの無事を確認し合い、最初こそ喜んだが、すぐに村の現状と犠牲者ですぐに悲痛の表情に変わった。

 そして今は生存している村人達と共に光一達もミリナ達も村人達の遺体を村の一箇所に集めていた。もっともミリナ達は先程の光一の思ってもいなかった強さに警戒心を抱いているのか、やや強張った表情で光一を監視と言うほどでもないが、注意深く見ていたが・・・。

 フィオもいくらか前に目を覚ましていたが、両親の遺体を見てまた泣き出し、泣き終えた今は何も言わずに黙々と村人達の遺体を運ぶのを手伝っていた。

 全ての遺体を一箇所に集めて、村人達が沈鬱な表情で火葬の準備を始め様としたところで、光一が村長代理(村長は亡くなった。)に待ったを掛けた。


 「あの、すみません。火葬の準備を始める前にその遺体全てに妹のある魔法を掛けさせていただけませんか。」

 「はぁ、なんのために!?」

 「結果がどの様になるか分からないので、断言はできませんが、何人か蘇生できると思うので。」

 「なんだと!?」


 光一の言葉にここにいる全員がざわついた。ほとんどの者が信じられないというか猜疑の目で光一を見ている。ミヤビが何かを言おうとした時に、ミリナがそれを止めた。ミヤビが何故止めるのかと尋ねようとミリナを見て、それを止めた。ミリナは物凄く真剣な表情で光一と春歌を見ていた。まるで見定める様に・・・。


 「それは本当かね?」

 「全員を蘇生するのは遺体の損傷具合もあって無理ですが、何人かは蘇生できると思います。」


 村長代理は睨みつける様に光一をしばらく見たが、やがて大きく息を吐いて魔法を掛ける様に頼んだ。

 光一が頷いて春歌に魔法を掛ける様に言おうとした時、フィオが声を掛けた。


 「ねぇ、お兄ちゃん、お父さんとお母さん蘇るの?」

 「断言はできないけど、損傷具合からい見て恐らく蘇生できると思う。」

 「お願い!お父さんとお母さんを蘇らして!!」


 フィオの心からの頼みに光一は頷いて春歌に魔法を掛ける様に言った。春歌が「オール・リバイバル」を発動させて春歌を中心に大規模な魔方陣が現れ、それが輝いたと同時に村人達の亡骸に光が注がれていった。

 「オール・リバイバル」の発動が終わると、まもなく村人の遺体から何体かがぴくりと動き、意識を取り戻して起き上がった。その中にはジャックとフィナもいた。

 この光景をミリナとミヤビも含めて絶句しながら見ている中、フィオは「お父さん!お母さん!」とジャックとフィナに駆け寄ってフィナの中で泣きじゃくった。

 ジャックとフィナは最初、何が起きたか分からない表情をしていたが、フィオの様子を見て、フィナは優しげな表情で、ジャックは困った表情で娘を宥めた。

 それを区切りに蘇生した村人達に、生き残った村人達が駆け寄って無事を喜んだ。だが一方で光一の言った通り、全ての村人が蘇生した訳ではなく、損傷が激しい遺体は蘇生する事なく、その遺体を見て再び涙する者もいた。


 何はともあれ、遺体の半分ぐらいは蘇生できたので犠牲者が減った事は確かだった。

 その後は蘇生できなかった者達の遺体を火葬して、その冥福を祈った。それからは村の復興のための作業へと進む事になるそうだが、ここから先は国のする事であり光一達にで出来る事はなかった。

 ミリナ達も今回の村が被害にあった事を報告するので、それにより何らかの復興支援がなされる様である。ちなみに何らかの復興支援がなされると聞いて光一は、以外にこの世界でもそういうライフネットがある事に内心驚いていた。そういうのがなさそう感じの世界に光一は思っていた様である。

 本来ならば光一達やミリナ達に夜も20時くらいになっていたので、村の宿屋で礼をしたかった様なのだが、宿屋も倒壊しており無理なので、光一達やミリナ達はこのまま「グームリー」に帰る事となった。

 村長代理(村長は蘇生しなかった。)はミリナ達に丁重に礼を言い、光一達には文字通り涙を流して感謝の意を示し、光一達がフィオの依頼を受けるために持ってきた依頼書に、今回の光一達に追加で依頼した薬草採取時の護衛と補助の事を書し、村を守った事も記して光一達に返した。

 フィオを始め、ジャック一家や他の村人達からも強く感謝されて見送られながら光一達とミリナ達は村を出た。

 その間、ミリナが睨むと言わなくも強い視線で光一と春歌を見ていた事をあえて無視して・・・。




 しばらく「グームリー」を目指して歩いていた光一は足を止め「それで僕達に何か用ですか?」と後ろを振り返った。春歌もそれに連なって足を止めて後ろを見ると、ミリナとミヤビが敵と対峙するような表情で距離を開けて立っていた。

 どちらもいつでも剣を抜ける様に構えており、尋常ではないのが見て取れる中、ミリナが尋ねた。


 「あなた達は何者ですか?」

 「?何者ってただの新米冒険者ですけど?」

 

 光一の返答にミヤビは「ふざけるな」と声を荒らげて言った。


 「貴殿のあれだけの剣技と言い、彼女の蘇生魔法と言い、どうみても並みの使い手ではあるまい!そんなのが新米冒険者だなんて信じられるか!答えてもらおう貴殿らは何者だ!?」

 「そんな事言われてもねぇ。ね、春歌。」

 「そうですねお兄様♪」


 光一と春歌の言動にミリナとミヤビは更に表情を強張らせた。


 「あくまで言うつもりはないという事ですか。」

 「ならば力づくでも」


 そういってミリナとミヤビは剣を抜こうとした瞬間、瞬時に間合いを詰めながら抜いた光一の「破邪」の刃がミヤビの首筋に当てられており、ミリナには春歌の「三精霊王の杖」の3つの宝玉がついた方を突きつけていつでも魔法が撃てる状態にしていた。


 「「!??」」


 ミリナとミヤビは今の自分達の状況もそうだが、光一と春歌のその技量の凄まじさにも驚愕せざるを得なかった。

 そんな中で光一が気楽気に言った。


 「どうやら、あなた達が僕達をどうこうするのは無理でも、僕達があなた達を殺すのは造作もない様だね。」

 「クッ、こんな事をしてただで済むと思っているのか?」

 「それはマーハード王国の兵士だから?それとも王国のお姫様と親衛隊隊長様だから?」


 光一の言葉にミリナとミヤビは驚きの表情になった。


 「我々の事を知っていたのですか?」

 「まぁ、一応は・・・。」


 全くの自然体で何でもない様に答える光一にミリナいやミリーナは肩の力を抜いて剣からも手を離し、ミヤビにもそうする様に命じ、ミヤビも苦虫を噛み潰した表情で従った。


 「おや、脅すのはやめたの?」

 「あなた達には色々な意味で敵いそうにないので、これ以上は問いません。」


 ミリーナのその言葉に光一も春歌も彼女達から武器を離して「じゃ、僕達はこれで帰らせてもらいますよ」と踵を返そうとしたところで、ミリーナが待ったを掛けた。


 「お待ちください。1つだけあなた達の名前を教えてください。」

 「?緋村光一ですが。」

 「・・・緋村春歌です。」


 光一と春歌の名乗りにミリーナは「緋村光一、春歌」と呟き「あなた達の名前はしっかりと覚えました。また必ずお会いする事になるでしょう。」と言ってミヤビを連れて光一と春歌の横を横切って颯爽と「グームリー」へと続く道を歩いていった。


 その様子を光一は何ともいえない表情で見つめた。春歌は何処となく不安を感じたのか、そっと光一の手を握った。

 こうして光一と春歌の薬草採取の補助と護衛の依頼は、本人達の思っていたものとは違う流れで進み、終わったのだった。

 ようやく8月も終了。暑さもマシになったみたいで、少しホッとしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。