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ガムカムカム
悲しい思いでばかりを、何度も何度も思い返している。
まるで宝物のように、後生大事に抱き締めている。
何度も何度ももうやめてしまえと、あなたは言った。
そんなことできないと、私はあなたから逃げた。
逃げてばかりいる私の人生を、馬鹿だとあなたは詰ったでしょう。
どうして前を向かないのかと、信じられないという顔をしたでしょう。
知らないのよ。
あなたはしらないのよ。
悲しい思い出が、どれ程甘い味なのか。
かんでもかんでも、いつまでも味が消えないガム。
紙にくるんで捨てたって、いつまでも後ろからついてくる。
思いだしている間は、私は一人じゃないのよ。
かつて失った好きな人たちを、何度も抱き締めているあげられるのよ。
あなたはそれを知らないから、
そんなに冷たく笑うのね