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ノームの牢獄

ピチャ。


冷たい水が、今日も顔を打つ。

目覚めの合図だ。

本当に奇跡としか思えない。この牢獄でもう15年だ。

いや、ここは異世界だったな。たぶん、一年の長さは違うだろう。

ただ、俺が石壁に彫ったカンレンダーじゃ、15年だ。


こっちの「一年」てのは何だか、よくわからんよ。

とにかく、一年中、気温も温暖で、大してかわらんから、季節の感覚はない。

しかし、そのお陰で、こうやって奇跡的に15年も俺は生き延びたんだろう。


異世界ね……。

ちょうど、俺が、ここに飛ばされる時に、そんなチンケな小説がやたら流行ってたのは知ってる。

俺の見てたネットの掲示板でも、

あーあんたネットてわかるか?そうかそうか。わかるか。

とにかく、俺の入りびたってた掲示板の2chてとこでも、そんな話はしてた。


まさか、そんなのが俺の身にふりかかるとはね。

初めは驚いたね。ただ……懐かしいな。その時は青空がやたら綺麗でさ。

俺も馬鹿なガキだったから、小躍りしたわ。

「……この展開、WEB小説で見たことがある!」

まるで物語の主人公にでもこれからなれるんじゃないかと思ったんだよ。


現実はこれさ。

偶然出会った人のよさそうなノーム達に連れられて、奴らの住処に入ったまではいいが、

天使気取りの美人詐欺師に奴隷契約をさせられちまった。

いや、あれは本当に天使なのかもな。何もわからん。なんせ、俺はここで何十年も働かされて

この世界のことなんて、さっぱりだからな。


ただ、ノーム語もようやく覚えて、親方に聞いた話じゃ、

「お偉い方」だそうで。ケッ。いいケツはしてたな。

なんでも、頭の中にまで入ってきて、そいつの言語も一瞬で解して、そいつがハマりそうな言葉を言うそうだ。そしてこのザマだ。

しかも、それだけじゃないそうだ。

なんでも奴らは「異世界への憧れ」てのを彼方此方で吹聴してまわるそうだ。

そうやって、ガキどもを誘惑して、機会を見てさらうのさ。

扉を開けるのは「本人」じゃなければいけないとか何とか……。まぁ親方も良く知らないらしい。

何言ってるかわからんか?


いや、良くわかるって?

……。ハハ!あんたもか!

俺が来たのは17のガキの頃だったけど、あんた、もういい大人だろw

それが異世界への憧れかwwww

馬鹿じゃねー……。いやーすまん。これから長いもんな。仲良くしようぜ。同じニッポニアの出だもんな。まぁこれもあの詐欺師の女が、同属ならまとめて扱いやすいと見て、ここに送ったんだろが。


畜生あの女。いつかブチ込みながら、内臓をひきずり出してやる!

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