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第49話「新体制発進!②」

 下手をすれば『死罪』と聞き、バスクアルの顔は引き締まった。

 事前の根回しの時点で、既に伝えてはいるが……

 改めて全員の前でそう言われると、歴戦の強者とはいえ、さすがに緊張するのだろう。


「良いか、バスクアル! 今回の仕事は王家の信用問題にもなる。逆にお前達が真面目に勤め上げれば、褒賞は大いに弾むぞ」


「は!」


ちまた蔓延はびこる傭兵の悪評を失くし、逆にぐんと高評価にするチャンスであるのだぞ!」


「は、はいっ!」


 直立不動で、青ざめ強張った表情で返事をするバスクアル。

 さあて、これでよしと。

 話をどんどん進めるぞ。


「次っ! ガレス・シードルフ伯爵!」


「ははっ!」


「お前はまず俺に刃向かった貴族どもを説得し、懐柔かいじゅうせい。今後は俺にそむかず絶対の忠誠を誓えとな! さっさと支度をしてガマリエルと共に向かえ!」


「ぎょ、御意!」


 ガレスは、やはり緊張からか少し噛み、「従う」と答えた。


 こいつとガマリエルを含め、反乱を企てた貴族家のうち……

 子息令嬢を人質に取っている家は、多分命令に従うだろう。

 それに、こうしてふたりが許されている事実も大きくプラスに働く筈だ。


 しかし!

 俺は敢えて厳しく言い放つ。


「聞け、ガレス。もしも説得に応じない奴が居たら、財産全てを没収の上、家族全員国外追放だと伝え~い!」


「…………」


「……それでもあらがうというのならば、王国軍により容赦なく討伐し、無残な死・あるのみだ! これが最後のチャンスだとも重々伝えいっ!」


「は、はいっ!」


 こんな重い役目をいきなり告げたら、誰でも躊躇し、臆するだろう。

 ガレスとオライリーが、俺の暗殺を企てていた中心人物だったとはいえ、だ。


 だから俺は、事前にガレス達に役目を告げ、ちゃんと了解を貰っていた。

 だから、話自体は次の指示が本題なのである。


「良いか、ガレス! 貴族共を説得したら、速攻で別の仕事にかかれい! お前と貴族どもが持つ全ての力を結集し、王都から塩湖までの道を、一気に広く綺麗に整備するのだ」


「は、はい!」


 前述したが、これは信長の行った道路整備にならったもの。

 しかし、この命令にはいろいろと含みがある。


「見栄えも良くせいっ! 美しい樹木を植え並木道として整備し、休憩用のベンチも用意するのだぁっ!」


「ははっ!」


「基本的な建設費用は、今回のペナルティとしてお前が持て!」


「は、はは~っ!」


 ガレスは俺の話に納得し、大きく頷いた。

 費用が持ち出しなら、不満は出るのに?

 と、思う方が居るだろう。


 これにも仕掛けがある。

 事前に根回しした際、『ある事』を伝えてあるのだ。


 一応、騎士の遠征費や道路資材は奴ら持ち。

 だが、道路建設を実際に行う土木作業員の賃金は、俺が全て負担すると。

 で、あれば一方的な処罰にはならない。

 落としどころとしては、ベストだろう。

 

「完成した新たな街道は、ソルトロードと名付ける! 完成したこの新街道を使い、ラークス村より岩塩をばんばん運ぶのだ!」


「は!」


 ソルトロードとは……つまり塩の道。

 シルクロードを文字ったのは、お約束だ。


「それと、心しておけ! 工兵隊として単に街道を整備するだけではないぞ。お前達騎士は本来、王国民を守るべき『戦う者』だ!」


「は!」


「だったら! 戦う者として、しっかり責務を果たせ! 街道の周囲に跋扈ばっこする賊や魔物を平らげ、治安も向上させるのだ。先日、俺とゴヴァンがやったようにな!」


「御意! 喜んでっ!!」 


 やはりガレスは真っすぐで、意気に感じる男。

 柴田勝家そのものだ。


「ははははは! 敵と戦うと聞いて、声に張りが出て来たな? 先行したバスクアルが多少は掃除してくれる筈、お前達の仕事は相当楽な筈だ」


「かしこまりましたぁ!」


「よし! 工事の手が足りない分は人を雇え! せこく賃金を抑えるとか、絶対に惜しむな! その分ぐらいは俺がバンバン出してやる!」


「は、はいっ!」


 皆の前で俺が公言するのは、ガレスを安心させる為。

 俺は「にやり」と笑い、更に言う。


「それに良く考えろ! 道路工事と戦闘はお前達騎士団の肉体の鍛錬、実戦訓練にもなる、その上、賊や魔物を倒せば、王国民にも大いに喜ばれる。いわば一石三鳥! 良い事ばかりだ!」


「は!」


「ガレスよ! 全王国民に信頼される、精強なアルカディア騎士団を作る為にも心して行えよっ!」


「ははっ!」


「次! ガマリエル・オライリー!」


「は、はいっ!」


「お前はガレスと共に貴族どもを説得した後、改めて商人としての仕事に邁進せよっ! 具体的には岩塩販売ルートの確立、新規事業の提案、準備、起業を迅速に行うのだっ!」


「は、はい!」


 ガマリエルは商人になる事を一旦了解したものの、まだ『未知の仕事』への不安があった。

 そこで俺は事前に話をし、王都在住の商人で有能な者を数人召し抱え、ガマリエルの副官として付ける事にしたのだ。

 プロの?商人が自分の補佐についてくれれば、不安も大幅に減少するだろうから。

 案の定、その申し入れをしたら、ガマリエルはとても喜んでいた。


「ガマリエル! 段取りが、まとまったら、俺と爺へ報告だ! 即、実行に移せ!」


「は!」


「不明な点を含め、何かあれば、すぐ相談しに来いっ! しっかりバックアップしてやるわい!」


「御意!」


 俺の目を見て話すガマリエルは、ガレス同様、気合が入っていた。

 息子バッドへの影響もあるし、商人として前向きに頑張ってくれるだろう。


 俺は安心し、次は可憐な妹へ、視線を向けたのである。

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