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第48話「新体制発進!①」

 この世界の林佐渡こと、元宰相ガマリエル・オライリーとその息子バッド。

 彼等親子が俺に臣従を誓ってから1週間経った……

 

 それに丁度、前回の評定から1週間が過ぎている。

 頃合いと見た俺は、配下とした全員を集めた。

 再び合同会議、つまり第二回目の評定を行う事にしたのだ。

 

 会議の場所は、またも王宮のとある一室。

 隣左右それぞれ数部屋を完全に無人化し、厳重に人払いをした。


 これは、ふたつの意味がある。

 外部に会議内容が漏れないようにするのは勿論、王宮に入り込んでいるスパイをあぶりだす為である。

 オライリー達の謀反が露見し、潰えたのは、当然裏で糸を引いていたガルドルド帝国側にはとっくに伝わっているだろうし。


 スパイの選別は、結構困難である。

 いくらチートな『サトリの能力』を俺が持つとはいえ……

 膨大な数にのぼる王宮内の人間、全員の心を、いちいち覗いてなどいられない。

 だから、こうしてわざわざ目立つように『会議』を行えば、帝国が何らかのアクションを起こす可能性がある。

 不審な行動をする者をチェックすれば、おのずと標的は絞られるだろう。


 今回の会議から、先日のメンバーに加え、ガマリエルとガレスを加えた。

 元々、この合同会議の意味とは……

 いずれ王となる俺が治める、アルカディア王国新体制のお披露目、そして各自が担う仕事の情報を共有する事だ。


 という事で、居並ぶ部下全員の前で、俺は重々しく言い放つ。


「皆の者! 俺は何度でも言うぞ! 国を動かすにはまず金、そして次は人だと。改めてしっかりと認識するように!」


 言い切ってから……

 俺はふと、実際に信長はどのように会議、つまり評定を行っていたのかと考えた。

 良くある小説やドラマでは、一方的に喋りまくり、家臣の意見など殆ど聞かない。

 そのイメージは本当かもしれないし、後世の創作かもしれない。

 果たして、どこまでが本当だとも思う。


 俺は信長大好き人間だから、前回の評定ではそのやり方を踏襲した。

 だが今回以降は、彼とは少しだけ違うやり方で行おうと思う。

 

 ちなみに、部下各自へは、いきなり担う仕事を告げてはいない。


 なにしろ、全員が初体験となる仕事が多い。

 いくら強者揃いといえども、未知への不安があるに違いない。

 だから俺は、現代日本人が得意とする『根回し』をしっかり行っていた。


 え?

 今時、根回しなんて、非効率?

 古臭いし、時間の無駄?


 まあ、そう言わないでくれ。

 確かに、時間がかかり過ぎる問題はあるが……

 儀式ばったところを排除し、要点をまとめ、効率良く行えばメリットの方が遥かに大きい。


 うん、準備は用意周到に、しかし一旦発進したら実行は、超が付く迅速に!

 が良い方針だと思う。

 ここは信長ではなく武田信玄の言葉を引用しよう。

 動かざること山の如し、はやきこと風の如く、だ。


 え?

 俺も節操がない?

 信玄の方針を引用するなんて、信長マニアの風上にも置けない奴だって?


 いやいや!

 つまらない先入観を持たず、良いと思うものは、即座に取り入れる柔軟性は大事さ。

 それが日本の伝統を凄く大事にしながらも、海外の知識や慣習を寛容的に受け入れた信長の長所でもある……筈。


 という事で、この会議は一方通達。

 半分が儀式と半分が確認に過ぎない。

 時間だって早く終わる。

 1時間あれば、余裕だろう。


「膨大な情報を収集し、しっかり見極めて取捨選択。必要なものだけに金を使い、更に大きな金を生み出す。その為に必要な人材を、身分を問わず登用し使う」


 俺はまず大きな方針を述べる。

 そして、具体的な政策を部下へ示す。


「再び、皆へ言い渡す、国家運営で最も重要なのは金。つまり財力」


 俺はそう言うと更に話を続ける。


「我がアルカディア王国経済の根幹は岩塩を生み出す塩湖である。それ故、塩湖への街道を整備し、周辺の治安向上を目指す。塩湖の管理村ラークスの治安を向上させ、生産設備の最新型への移行、迅速な生産量の増加を目標とする」


 ここまでは、部下達から、質問や申し入れはなし。

 何故なら、根回しにより、事前に話が通っているから。


 ならばと、個別に命令を下して行く。

 話の流れで、身分など関係ない。

 つまり順不同だ。

 その証拠にまず声を掛けたのは、


「この仕事を命じるのは、バスクアル・バンデラスだ!」


「は!」


「お前と子分共は塩湖への街道を迅速に北上、大至急のラークス村入りを目指せ。到着したら守備隊として村へ入り、村民達が安心して塩の生産に注力出来るように対応するのだ」


「は、アーサー様から、一番大事な仕事を任されるとは光栄の極み。バスクアル、了解致しましたっ!」


 バスクアルは素直に元気よく返事をした。

 初対面の際、俺に見せた尊大さは微塵みじんもない。

 その理由は、はっきりしていた。


 騎士のゴヴァンやガレスほどではないが……

 傭兵隊長のバスクアルも『力』を信奉するタイプ。

 

 俺とゴヴァンふたりだけで、ゴブリンの大群を蹴散らした話を、トーマスあたりから聞いたのも影響しているのであろう。

 ちなみに先ほどから目的地として名前が出ているラークス村とは……

 塩湖のすぐ傍にある、岩塩の採取と加工を生業とする者達が住む村だ。


 ここで俺は、バスクアルへ釘を刺す。


「だが、覚えておけ! 重要な仕事だからこそ大きな責任を負え! 部隊の秩序を厳しく保て!」


「は!」


「ただでさえ、お前達傭兵は王国民から評判が悪い!」


「……は!」


「良いか? 俺は抜き打ちでお前達を視察する。もしお前の部下共が命令違反は勿論、やたらと羽目を外したり、ラークス村村民へ不埒ふらちな行いをしたら、死罪も含め、重罪を課す!」


「…………」


 あまりにも厳しい俺の言葉を聞き、バスクアルは唇を強く噛み締めたのであった。

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