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第37話「信長とラノベに学べ③」

 俺は冒険者ギルド設立の効用とメリットについて話している。

 居並ぶ9人の部下達へ。


 金の次には人材……

 様々なスキルを持つ冒険者達が来れば、こちらで探しに行かなくても依頼を通じて人材の発掘に繋がる。

 戦闘は勿論、他に文官的優秀なスキルを持つ者が居れば、本人の条件希望等確認の上、王国への正式採用も視野に入れる。 

 それにまだ誰にも告げてはいないが、俺はちょっとした『荒業あらわざ』を使おうと思っている。


 で、その次は情報……

 情報収集に長けたトーマスの配下を使い倒すのは勿論。

 国内外から来た様々な冒険者が、いろいろな吉報凶報、様々な情報をもたらしてくれる可能性が高い。

 また戦国時代の鉄砲のように画期的且つ新たな技術が入って来る可能性もある。

 

 最後は武力……

 冒険者間に強いクランが生まれれば、王国の専属傭兵として採用も可能。

 実戦経験豊富な冒険者は確実に戦力アップとなる。

  

 俺の想定では、冒険者の一番の仕事はこれまたお馴染み、『魔物討伐』である。

 今迄あまり触れなかったが、実はこの異世界、人を喰らう魔物が「うじゃうじゃ」居やがる。

 こいつらは人を襲い、農地を荒らす害獣。

 我がアルカディア王国の治安を大いに乱している。


 そもそも王国騎士や兵は『戦う者』として、大切な王国民を守る義務がある。

 もしも何かあれば間を置かず、迅速に討伐へ向かなければならない。

 だが現状は、騎士や兵の数が少なく王国全土へ手が回りきっていない。

 王都とその周辺にしか治安維持は行き届いていないのだ。


 そしてあからさまには言えないが……

 騎士や兵を出動させると、王国の金額的負担は大きい。

 皆さんはご存じだろう。

 兵器のお値段。

 最新型の戦闘機の購入や戦闘艦の製造費には億単位という桁違いな金がかかる。

 

 この異世界ではそこまで行かずとも結構な大金がかかる。

 自前の軍出撃より外部の冒険者達に依頼する方がずっとリーズナブルなのだ。

 また農民兼務の兵は農繁期には戦えない。

 そのような心配もしなくて良いもの。

 これも金で兵を買ったといわれる信長のやり方に近い。

 

 片や、『仕事』を奪われる形となる『公務員』の騎士や兵士達も死活問題だから躍起となるに違いない

 仕事振りもいつもよりずっと真面目になり、質もぐんと上がるだろう。

 

 これは武官だけではなく文官にも言えよう。

 だいたい不真面目で怠惰な公務員など、我が王国には不要。

 結果主義は微妙だが……

 冒険者と競争させ、王国全体のレベルアップにつながればいうことなしだ。

 それに、もし人員が余れば、他の人手不足の部署へも充てられる。


 そんなこんなで……

 更に俺は、かつて信長が行った政策も次々と発表して行く。

 

 塩湖以外の商業政策として商業ギルド主導で楽市楽座を行うと。

 え?

 貴方ったら、楽市楽座を知らない?

 仕方ない。

 じゃあ、一応、楽市楽座を説明しよう。


 楽市・楽座とは……

 絶対的な領主権の確立と新興業者の受け入れによる経済の活性化が目的。

 その為に近江の大名六角氏、織田信長の舅・斉藤道三。

 そして信長や豊臣秀吉などが行った商業政策なのである。

 

 既存の独占販売権、非課税権、不入権などの特権を持つ『座』と呼ばれた商工業者や組合を排除、自由取引き市場をつくり、領主の意にそぐわない既得権益を解体させるものなのだ。


 このような楽市楽座の実施により……

 既得権益の甘い汁を吸っていた寺社の勢力も大きく削がれた。

 日本の中世の社会的仕組みも大きく劇的に変わるきっかけとなった。


 閑話休題。 


 但し、アルカディア王国王都ブリタニアには幸いというのか、日本の寺社のように強力な既得権益を持つ組織、また商人の組合は無い。

 

 そもそも我が王家が決めた事ながら税金は他国に比べて高い。

 周囲を山と荒地に囲まれていて交通事情だって良くない。

 景気も悪いから新規の商人が来る理由が全く無い。

 これらのデメリットを一気に打破する為、俺は楽市楽座を行うのだ。


 また交通インフラの整備も信長に倣う。

 信長が造った当時の道路は広く真っすぐという規格外のものだったらしい。

 沿道には植樹までして景観にもこだわったという。

 

 俺も信長に倣う。

 塩を始めとした運送は勿論、商人や旅人が安全に通行出来るよう、幅が広く真っすぐ、しっかり整備した道路を造る。

 道路工事と共に、騎士や兵または冒険者を各地へ派遣、跋扈する賊や魔物共も退け、治安維持も行う。

 

 そして技術革新も怠らない。

 魔法を含め新技術の導入推進を宣言。

 剣と魔法の西洋風異世界らしく、新たな新魔法の開発をする。

 及び工業的な生産コスト安と効率化も狙う。

 冒険者ギルドを大いに活用、兵農分離もどんどん進める。

 先述したが……

 兵農分離は農繁期でも、騎士&王国軍将校が配下の農民兵に頼らず、自在に動ける軍を作るものだと補足説明した。


 以上を、一気に話した。

 俺の提案プレゼンテーションは終わった。

 

 だが、俺が話し終わっても……

 マッケンジー公爵は勿論、イシュタル、エリザベスは呆然としていた。

 目を大きく見開き、口をポカンと開けている。

 マイルズ兄弟、オーギュスタ、トーマス&ネネ夫婦、バスクアルも同様だ。 

 

 俺が話したのは、今迄このアルカディアでは、否!

 この世界では、例を見ない誰もやった事のない政策ばかりらしいから。


 と、いうわけで、俺が質問を許可しても、戸惑いと重い沈黙が執務室を包んでいた……

 

 しかし!

 突如、嫁イシュタルが俺の名を大きな声で呼び、質問の為に手を勢いよく挙げると……

 妹エリザベスも負けじと凛とした声で思いっきり手を挙げた。

 

 すると他の者も次々に手を挙げ、一気に!

 怒涛の質問が俺に浴びせかけられたのである。


 真面目な顔をしながら、内心俺はにやりとした。

 

 未知の政策実施には、当然不安があるだろう。

 しかし、このままでは……

 ガルドルド帝国の侵攻は勿論、経済の停滞により、アルカディア王国は確実に終わる……つまり滅びてしまう。

 そんな厭世的な閉塞感が満ちていたから。

 

 俺の政策は、この王国に刺激と活気を与え、そんな閉塞感を思いっきり打ち破れるかもしれない!


 明るい希望と大きな期待に満ちた各自の表情ではっきり分かる。

 チート能力『さとり』で彼等彼女の心を読まずとも。

 俺の政策を聞き、家臣9名も大きな手応えを感じていたのである。

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