第36話「信長とラノベに学べ②」
今回の、否。
今後もだ。
『評定』では各人から様々な意見が積極的に出て欲しい。
だが……
どちらにしても、まずは俺の政策全てを提案する。
とりあえず途中の質問は「不可」とし、ひと通り話しをさせて貰う。
これは居並ぶ部下に対し、ひとり「すっく」と立ち……
突き抜けるような甲高い声で一方的にバンバン話すと言われた信長のやり方に近い。
マッケンジー公爵を筆頭に、執務室に居並んだ一騎当千の精鋭9人を見やりながら……
俺は次々と自分の考えを発表して行く。
まずは金を稼ぐ手立て。
え?
金が一番大事だなんて、そんなの間違い、誤り?
それより国を憂う崇高な志、精神の方が大事?
大丈夫!
分かっているって!
勿論それらは必須。
しっかりした正しい理念が無ければ、配下を含め王国民はついて来ない。
当たり前に必須なのだが、まず先だつものは金!
金さえあれば、殆どの事は何とかなる、というのが俺の持論。
まあ愛と誇りくらいは金で買えないかな?
だがそのふたつでさえ、たっぷりと潤す事は可能なのである。
信長の大躍進もまずは父信秀から受け継いだ知多の海運がもたらす豊富な財力があったからだといえる。
俺は改めて、アルカディア王国最大の基幹産業である塩湖の再開発を掲げた。
これまで王国では、建国以来、この塩湖から埋蔵量豊富な岩塩を精製、良質の塩を生産していた。
この塩が莫大な外貨を獲得し、王国を根底から支えている。
だが俺が報告を受けた限り、まだまだ無駄が多く、とても非効率的でもあった。
そこで……
製塩設備の大幅なバージョンアップを図る。
生産量、利益の増大を図る。
塩の生産、輸送、販売を行う専門組織も改めて立ち上げる。
近い内に塩湖の生産をしている村へ、俺自ら視察に行く。
現場の技術者と良く話し合い、予算追加を伝えベストな改善方法を論じる必要がある。
王国の運営資金を稼ぐ為に塩湖の開発をメインではやって行くという事を重ねて強調する。
でも『これだけ』では駄目だ。
商人達の現組織を再編成する必要がある。。
いわゆる商業ギルドを立ち上げ、他の財源確保の手立ても広く探って行く旨も告げる。
次は人の手配。
現状で我がアルカディア王国は優秀な人材が絶対的に不足している。
外部から呼ぼうにも、アルカディアは大陸北に位置する辺境国。
ここまで来るのが大変だし、魅力的条件且つ高額なギャラも出せなかった。
このままでは……
優れたスキルを持った者など、到底確保出来ない。
そこで俺は、「ピン!」とひらめいた。
俺がひらめいた事とは……
灯台下暗し。
この西洋風異世界にはあるべきモノが無いのだ。
その事実を聞き、俺はすぐ両方作る事を決めた。
ラノベ世界ではお約束の冒険者&商業ギルドを。
その効果効能は、実のところ絶大なのである。
特に冒険者ギルドは、俺がマッケンジー公爵他に告げた、王国運営に必要なものをしっかりカバーしてくれる。
先ほども強調したが、まずは金……
各所から冒険者ギルドへは様々な依頼が入り、大きな雇用が生じる。
半永久的な雇用より臨時雇いの方が、依頼者にとって使い勝手が良いのは世の常。
冒険者ギルドの依頼は、けして血沸き肉躍るモノばかりではない。
家掃除、お使い、犬の散歩みたいな作業から、冒険のイメージ通り果ては命を懸けた山賊、魔物退治まで……
依頼は難度高低ありきの千差万別。
人手不足&治安悪化である王国の事情を考えれば、様々な依頼が枯渇する心配はほぼ無い。
またギルド自体の収入もバッチリ。
依頼料から利益分の仲介料を10~15%しっかり取るので運営に問題はない。
更に冒険者が増える事で、王国自体の収入増も期待出来る。
何故なら、この世界は総じて不景気らしい。
条件の良い仕事さえあれば国内外の来訪者が王都ブリタニアにどんどん増えて行く。
ギルドに新規登録した冒険者が生活の為に落とす金も含め、王国の経済も活発になるだろう。
問題は一般市民に対する冒険者の乱暴狼藉。
王都内の治安&ギルドの評判の低下を招く。
かつて信長は女性をからかう部下を、悪即斬とばかりに速攻で成敗したという。
俺も罪によっては、犯罪者へ容赦しないと決めている。
私見だが、俺は被害者の気持ちを断然優先。
自身が、狂犬のようなチンピラに刺され、理不尽に殺されたから分かる。
私利私欲に走って人をむごく殺した加害者など、人権は認めない。
王としての立場から、裁判くらいはしてやる。
だが、因果応報、目には目を、歯には歯を。
真っ逆さまに地獄へ堕ちろと考えている。
更に念の為、話はガラリと変わるが……
最初は冒険者ギルドへの依頼が少なければ、アルカディア王家や他行政自らの依頼を多くして雇用を強制的に発生させようと考えている。
こうして理想の職を求める人をたくさん呼べば良いだろう。
俺は冒険者ギルドの説明をしながら、これからの大きな手応えを感じていたのである。
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