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第35話「信長とラノベに学べ①」

 異世界へ旅立ったアーサー王子の跡を継いだ俺が……

 この世界の父、クライヴ・バンドラゴン王から譲位される時期が迫った。

 遠くない日に新王となる。

 また本格的に政務を行う態勢が徐々に整いつつある。

 

 王としての実権は既にある。

 だが、肩書きも含め正式な王となれば「いよいよだ」という感がある。

 

 今更ながら「まさか?」と思う。

 前世では愚図でのろまの亀、コンプレックスの塊だったブタローが、一国の王となるのだ。

 

 女性には全く縁が無かったのに、美しく若い嫁も貰った。

 超可愛い妹にも慕われ、両手に花。

 最高の生活を送っている。

 後は、この戦国乱世を無事に生き残り、ロキから与えられたチート人生を全うするだけ。

 

 しかし!

 本番はまだまだこれからなのだ。

 やるべき事がたくさんある。


 ……現在俺は、アルカディア王国を動かす金儲けの方法を考えながら、優秀な人材確保に邁進まいしんしている。

 

 懐刀ふところがなたで腹心中の腹心マッケンジー公爵こと平手政秀を筆頭として……

 エリックこと前田利家、弟ゴヴァンこと前田慶次、トーマスこと羽柴秀吉、バスクアルこと蜂須賀小六など優秀な人材が加わり、家臣の陣容も徐々に整って来た。

 

 一方、投獄したオライリーこと林佐渡は勿論、謹慎中のシードルフこと柴田勝家以下譜代貴族の奴らはまだまだ使えない。

 だから、王国運営に必要な頭数は絶対的に不足しているけど。


 人材が足りない分、俺は帰蝶こと嫁イシュタルとお市こと妹エリザベスを存分に使う事にした。

 マッケンジー公爵へ伝えた通り、ふたりは『出来る子』なのだから。

 

 巷から出る、古くさくてうるさい声や根拠のない反対意見は全てシャットアウトする。

 女性だから駄目だとか、若輩だから経験不足で必ず失敗する等、つまらなくくだらない理由はゴミ箱へ「ぽいっ!」なのだ。

 

 ちなみに信長は帰蝶やお市を政務には使わなかった。

 信長の生きた時代では、あつれきが生じる為、女性管理職の採用が難しかったのか、もしくは彼女達に政務の適性が全くないと判断したのか、理由は分からない。

 

 俺は熱狂的な信長信者。

 だが、柔軟性や空気を読む臨機応変さは持っている。

 第一、ここは中世日本ではない。

 この世界の人間とは、全然違う価値観を持つ転生者の俺は、男女身分問わず使える者は使う。

 その上で、この西洋風異世界の状況に上手く合わせてやって行く方が良い。

 

 そもそも信長が失敗したという部分をわざわざ踏襲するつもりはない。

 ないものねだりや無理は基本的にしない。

 全ては俺と愛する家族、大切な仲間がこの世界で生き残る為だ。

 加えて、幸せな人生を送る為に。

  

 閑話休題。

 

 マッケンジー公爵との打合せ直後……

 俺はイシュタル、エリザベス両名に対し、『宰相補佐』へ就任するよう告げた。


 そもそもふたりの対立は、『俺への恋愛感情』が全ての原因なのであるが……

 

 え?

 リア充、大爆発しろ?

 お前など、砕け散ってしまえ?

 

 うん!

 至極、尤もな意見だ。

 自分自身、いい加減にしろ、爆発しろって思うよ。

 しかし幸せに浸ったままじゃいられない。

 現実的に何とかしなければならない。

 生き残る策を講じなければならない。

 

 現段階で、イシュタルとエリザベスを実の姉妹同様に仲良くさせるのは困難だ。

 理由は俺を巡る感情的な部分。

 

 高貴な王族とはいいながら、所詮ふたりは嫁と小姑……

 まだまだお互いに、心のしこりが残っている。

 なので、俺は一計を案じ、茶の湯風朝食を摂った上で、個別に宰相補佐の『辞令』を伝えた。

 

 そもそも、この異世界ははっきりとした男尊女卑である。

 だから、さすがにふたりとも、そこまでの重責を担うとは思っておらず……

 結構なサプライズ。

 大いに吃驚していた。

 だが、『宿命のライバル』が同じ職を命じられると聞いて、どちらか片方が断るわけなどなかった。


 翌日……

 早速俺は会議……

 すなわち『評定』を行う事にした。

 メンバーは宰相マッケンジー公爵、嫁イシュタル、その部下オーギュスタの主従。

 妹エリザベスに、騎士エリック、ゴヴァンのマイルズ兄弟、そして取り立てたばかりの平民トーマスと奴の妻ネネ、そして傭兵隊長バスクアルである。


 評定の実施を伝えた際、マッケンジー公爵達へは出席するメンバーを事前に伝えてあった。

 

 なので……

 イシュタルとエリザベスに改めてメンバーの陣容を伝えたところ、 

 「取り立てたばかりの身分が低い新参者を、このような重要会議に参加させるのはいかがなものか?」と両名は珍しく、揃って同じ懸念を見せた。

 こんなところで気が合うなんて皮肉なもの。

 だが、結局は俺に従ってくれた。

 

 ちなみに、オーギュスタを評定に参加させたのはイシュタルの副官を確定させる為、一見関係ないネネを呼んだのは、トーマスを評定に集中させる為である。

 

 特にネネ。

 あの邪神ロキがこの異世界を俺の為の『信長風』として凝りに凝った設定をしているのならば……

 トーマスこと秀吉は、我が妹エリザベスことお市へ熱い横恋慕をする筈だから。

 正妻ネネが奴の横に居ては、さすがのトーマスも下手に色目など使えないと俺は見たのだ。

 

 それにネネは単なる『ブレーキ&監視役』だけではない。

 先日話をした限り、トーマス同様、ネネ自身も結構な切れ者だと俺は見た。

 何せネネの役回りは後の『北政所きたのまんどころ

 イシュタルに副官オーギュスタが居るように、同じ女性同士、エリザベスの忠実な補佐役にしても良い。


 マッケンジー公爵同様、宰相補佐のイシュタルとエリザベスの両名にも辞令を告げた際、俺の方針の大筋は事前に伝えた。

 政務の基本も合わせて。

 

 富国強兵の旗印の下、金、人、情報の3つを重んじ、アルカディア王国にとって有効な施策を考え、適宜実行して行くと伝えたのであった。

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