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第24話「口入れ屋藤吉郎への宿題①」

 俺と部下の騎士エリックは……

 栗鼠りすのような愛くるしい顔立ちの少女が、店主を務める店を訪れていた。

 看板には下手な文字で『よろず&口入れ屋』と書いてある。

 中二病の俺はそれだけで、この少女がどんな店をやっているのか分かる。


 まず、よろずやとは、漢字で万屋。

 よろずとは全てのもの、もしくはあらゆるものという意味。

 すなわち商品の種類を問わず、何でも扱っている小規模な店の事をそう言うのである。

 分かり易く言えば、現代のコンビニである。


 そして、口入れ屋とは人材あっせん業。

  ご存じない方も多いかもしれない。

 だが時代小説には良く登場する。

 旧き時代の奉公人の周旋・仲介を仕事とする人の呼称である。

 

 俺の前世で言えば、派遣会社が近いかもしれない。

 中二病的ラノベでいえば、冒険者ギルドかな。


 さてさて少女の店は狭く、掘っ立て小屋みたい。

 雰囲気はというと、口入れ屋も兼ねている事から、やはりどことなく怪しげだ。

 そして軒先には。雑多なものが置かれていた。


 可憐な少女は、俺とエリックへ笑顔を向ける。

 

「うふふっ、お店へ来てくれてありがとう。私はネネ・ビーン、気軽にネネと呼んでね」


 ん?

 ネネ?

 ねね?

 

 むう、ねねって?

 もしや……羽柴、もとい、後の豊臣秀吉の奥さんの名前じゃないのか?


 ああ、分かった!

 これは、何か特別イベントがありそうだ。

 

 あのロキが仕込んでいるとしたら、何かが起こる。

 まあ、良い。

 とりあえずこの子の話を聞いてみよう。


「ふっ、お前はネネというのか? 俺はアーサ……いや、アーロン・パーシヴァル、こっちはリックだ」


「ええっ! リ、リックゥ、私がぁ!?」

 

 迷ったが、俺は偽名を名乗る。

 エリックへも唐突に偽名を振ったが、どんくさくて咄嗟とっさに対応出来ない。

 俺は目で合図した。

 「話を合わせろ」とエリックを促すと、『ネネちゃん』に話しかけたのである。


「おい、ネネとやら、よろずとは何でも揃う店だ。そして口入れ屋とは紹介、斡旋を生業なりわいとする店だろう? 両方兼ねているのか?」


「ええ、ウチはよろず&口入れ屋。アーサー様の仰る通り、頼まれたものなら何でも手配する。それと強そうなおふたりなら、稼ぎの良い仕事の口があるからどんどん紹介するわ」


「ほう! 稼ぎの良い仕事か? それは気になるな」


「でしょ」


「だがよろずやの方も気になる。そこまで言うからには良い売り物があるのだろう? まずそれを先に見せて貰おうか?」


「うふふ、了解、アーロン様」


「おお、どんな商品か、楽しみだな」


「うん! ウチで扱っている商品は全部素敵よ。但し……」


「但し? 何だ?」


「だけどね、見かけはどんなにボロでも心は錦というじゃない。商品の真の価値を見抜ける人が最後には勝つのよ。私はそう信じているの」


 ネネちゃんは俺の顔を見つめながら意味深な事を言う。

 何やら、なぞかけをしているようだ。


「成る程、ボロは着てても心は錦。つまり見かけなどより中身が大事だという意味か?」


「ええ、その通りよ。ちなみに、ここにある商品は全て金貨1枚でいいわ。凄くお買い得でしょう? さあご覧になって! 好きなのをどんどん買ってくださいな」


 ネネちゃんはそう言うと、商品棚を指さした。

 様々な雑多な物が置かれていた。


 ここでストップをかけたのがリックことエリックである。


「こらっ、女! 何を言っている! アーサー王子、い、いやアーロン様は買うなどと、ひと言も仰っていない」


「うふふ、まあまあ、いいじゃない。貴方と違ってアーロン様はとってもお話が分かる御方のようですよ」

 

 エリックの奴、馬鹿!

 折角偽名を名乗ったのに台無し。

 俺の名をまともに呼んで……これじゃあバレバレだ。 

 

 しかしネネちゃんはリックの『失言』にも吃驚せず、微笑みながらじっと俺を見つめる。

 この時ロキから授かった『サトリ』の能力が発動し、俺はネネちゃんの意図、すなわち本音を理解する事が出来た。

 こうなったら彼女の提案へ乗ってやろう。   


「いいよ、リック。ここにある商品で一番良いものを買おう」


「え、ええっ!? こんな怪しい露店の商品を買うんですか? 金貨1枚の価値も無い物ばっかりですが」


 エリックの言う通りかもしれない。

 俺の目の前の商品棚に並べてある商品といえば……全て中古品らしい。 

 それも使い古した傷だらけの兜、地味な真鍮の指輪、たくさん錆びの浮いた鉄の短剣……はっきり言ってガラクタばかり。

 どれもこれも金貨1枚の値付けなんてとんでもない。

 

 しかし俺はネネちゃんの作戦を知っている。 

 じゃあ、逆手を使ってやれ。


「ネネ! はっきり言おう。ここにあるのは金貨1枚の価値もないものばかりだ。その分サービスが付くのは当たり前だと思うが……


「サービス?」


「そうだ。足りない分はお前が身体を使ってエッチなサービスでもしてくれるのか?」


 俺が居た現代地球の日本なら絶対に許されない発言だが、ここは異世界で俺はこの国の王子。

 悪代官並みのセクハラ攻撃も全然許されるのだ。

 

 しかし、このネネちゃんも中々の『つわもの』である。

 「キャー、エッチ、貴方は最低よぉ!」などとは絶対に言わない。


「私が身体でエッチなサービスねぇ……うふふ、そうですね、分かりました! 良いですよぉ」


 俺と入れ替わる前のアーサー王子なら絶対に言わない禁句なのだろう。

 この子は華奢な少女の癖に凄い度胸だ。

 

 逆に堂々たる体躯の逞しい騎士エリックの方がすっごく動揺している。

 あは!

 顔が真っ赤だよ。

 こいつ、みかけによらず『うぶ』だ。


「エエエ、エッチなって!? ア、アーロン様! そ、それは相手の弱味につけ込む悪逆非道な要求ですよ!」 


 しかし俺は首を振る。

 

「いや、俺はそうは思わない。この子のいうサービスとはお前の考えているよこしまなものではないのさ」


 すると、ネネちゃん。

 大きく頷いた。


「うふふ、さすがですね! 私が提供するサービスはエッチなんて安いものではありません。アーロン様の仰る通りですよ」


 ネネちゃんこそ、さすがだ。

 セクハラ発言の裏にある、俺の意図をしっかりと見抜いていた。


 話が見えず、ついていけない展開にエリックは戸惑う。


「ネネとやら! お、お前!?」


「アーロン様! 私がエッチなサービスをする代わりに、私の愛する夫が知恵と勇気で数十倍、いえもっともっとサービス致しますわ」


「な、な、何ぃ!!! わ、私の!? 愛する夫ぉ!?」


 可愛い美少女が既婚であると聞き、エリックは更に驚いてしまった。


 まあベタな展開だ。

 ここまで来ればネネちゃんの愛する夫が誰なのか、はっきり分かる。

 と、俺が思った瞬間。

 

 ネネちゃんが、店の奥へ「お前様!」と叫んだのであった。

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