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第10話「舐めるな、黒幕! 林佐渡」

 俺アーサーと、マッケンジー公爵、騎士エリックの3人は、馬に乗ったままアルカディア王国王都ブリタニアの街中を一気に駆け抜け、王宮へ到着した。


「開門《かいも~ん》!!! アーサー第一王子と他2名、帰還《きか~ん》!!!」

 

 年齢に似合わないマッケンジー公爵の、張りのある大音声。

 慌てた門番が、王宮の正門を力一杯左右に押し開く。


「も、も、門を開けろ~!」

   

 きしむ音と共に門が開けられ……

 俺達は、馬を勢いよく城内へ乗り入れる。

 

 マッケンジー公爵は俺に出来る限り急ぐよう促す。


「若! 奥方イシュタル様がずっとお待ちかねです。ささ早く、お支度を」

  

「で、あるか!」


 俺は信長の口癖を言い放つ。

 

 ああ、くううう。

 このセリフ、ず~うっとず~うっと言ってみたかったから……

 すっごく気持ちが良い!


 と、陶酔していたら、


「若、お急ぎ下さい!」

 

 再び促された俺は現実の世界へと戻り……

 御付きの騎士であるエリックに馬を預け、自室へ向かう。

 

 ……部屋には俺付きの侍女達がスタンバイしていた。

 着替えなどは自分でせず彼女達にして貰うというのが習慣らしい。

 扉を開けると、いきなり反応して襲い掛かる侍女達

 ―――四方八方から手が伸びる。


 俺はあっという間に外出用の服を脱がされ、身体を拭かれ、香を塗りこめられた。

 まるで、ロボットに組み立てられる商品のようである。

 

 つらつら考えていると……

 侍女達から謁見用の服が何種類か提示され、俺がそのひとつを選ぶと、手早く着せられた。

 服を着終えると他の用意も整えて、俺はすぐ謁見用となる王の間へ向かったのである。

 すると同じ様に手早く用意をし、着替えたマッケンジー公爵とエリックがぴたりと付き従って来た。


 部屋の入り口に居た侍従長が俺に気付くと……

 先ほどのマッケンジー公爵に負けないくらいの大音声を張り上げた。


「アルカディア王国第一王子、アーサー・バンドラゴン様の御成おなり~」


 俺が王の間を見回すと、アーサーの母王妃アドリアナが居り、安堵する顔が見えた。

 何故か、弟のコンラッド、妹のエリザベスの姿はない。


 そしてアドリアナのかたわらに控えた、宰相ガマリエル・オライリーの忌々しげな表情……

  

 ロキがくれたチートな身体だが、頑健さと魔力の異常な高さに加え、視力、聴力も常人の10倍。

 苛ついて舌打ちする音までが聞こえて来た。 


 さてさて、このオライリーは、53歳。

 貴族で爵位は同じ公爵なのだが、家格はマッケンジー家より上。

 それ故マッケンジー公爵よりも若いのだが、王国宰相を務めている。


 実はこいつが、反アーサー派の筆頭なのだ。

 

 アーサーの記憶によれば……

 今の所、証拠は全くない。

 

 だが、弟コンラッドを担ぎ、アーサーの廃嫡を狙っているらしい。

 普段から、何かにつけてアーサーには反抗的であり、まともに従った事などな

いようだ。

 まあ『元のアーサー』が超が付く草食系で、オライリーが「軟弱者め」と完全に舐めているのが原因なのだが。

 でも……

 今やアーサーの中身が、硬派な信長仕様の俺ブタローに変わったと知ったら、吃驚仰天するに違いない。


 見やれば……オライリーがのしのし歩き近付いて来た。

 無理に作った笑顔がバレバレだと、ひと目で分かる。


「これはこれは、アーサー王子。随分とお早いご帰還でしたな」

 

 先ほどの傲慢な態度などおくびにも出さずに、オライリーは揉み手をしていた。

 信長ワールドで言えば、素知らぬ顔をして陰謀を画策した織田家古参の武将、林佐渡であろうか?

 

 アーサーから受け取った知識でも相当に表裏のある男だそうだし、さらに嫌味まで、かまして来たので、俺は少々締め上げてやる事にした。

 

 ん、宰相を締め上げてやる?

 何故だ? 

 こんなに強気になるなんて、いつもの小心で八方美人な雷同太郎はどうした?

 やはり「信長の性格に変えた」というロキの言葉は、偽りではなさそうだ。


 そして、俺の口から出る言葉にまったく容赦はなかった。


「何? 早い帰還?」


「はい、さようで」


「それは嫌味か、宰相! 一体誰に向かってものを言っておるのか?」


「は!?」


 いつもの、穏やかで天然なアーサー王子とは全く違った切り返しに、オライリーは想定外。

 完全に戸惑ってしまっている。


 この戸惑いから、オライリーに『隙』が生まれた。

 瞬間!

 ロキのくれた『サトリ』の能力がさく裂する。

 奴の『心の声』がはっきりと聞こえて来たのだ。。

 

 この青びょうたんの若造め、くそ生意気な!

 いや、待てよ……

 まさか、こいつの部下に隠してある連判状を見られたのか?

 もしくは暗殺計画がばれたのか……

 

 暗殺の方法も漏れて来る。

 毒殺、闇討ち、他国への内通の反逆罪で斬首刑など、いずれも酷い方法ばかりだ。

 

 また俺の暗殺計画以外にも、汚職等々、バレたらいろいろヤバイものがあるという危惧の感情が噴き出ていた。


 こいつめ!

 やはり……とんでもない悪党だ。

 

 もう容赦はしない。

 動かぬ証拠を押さえれば、こっちのもの。

 後は、どう仕掛けるかだ。


「おい、宰相! もう一度言ってみろ! 誰に、お早いご帰還と言っておる! 一体誰にだ?」


「アーサー王子、お、お戯れを……、私は別に」


「俺はそんなくだらない冗談は嫌いだ。今度つまらぬ事を抜かしたら、容赦なく、すぱんと、そっ首刎ねてやるぞ」


「ひっ!」


 過激な言葉をいう自分でも吃驚した俺は、恐れおののくオライリーを放置して、アドリアナへ向き直った。


「母上、約束の時間に遅れて失礼した」


 片やいつもと大幅に違うアーサーの物言いを聞いて、アドリアナは吃驚している。


「え、ええ……」


 口をポカンと開けたアドリアナ。

 微笑んだ俺は再び声を張り上げる。


「オライリー!」


 いきなり呼ばれた? みたいな反応で、オライリーは相変わらず戸惑っている。


「?」


「何をぼうっとしておる! あるじが呼んだのだ、すぐ返事を致せ!」


「は、はは!」


「耳をかっぽじって良く聞けぃ! 俺は嫁に会った後、お前に話がある。暫し待機しておれっ!」


「は? で、でも私には大事な公務が……」


 ああ、やっぱりこいつ……逆らった。

 さっき、心を読んだ時に分かった。

 今日この後は、オライリーにさしたる公務はない。

 つまり真っ赤な嘘をついているのだ。


 だから、俺ははっきりと告げてやる。


「公務? この俺と話す以上に大事な公務などあるものかっ。すぐ全てキャンセルしろ」


「で、ですが……」


「ですが? この俺に二度、同じ事を言わせるのか? オライリー?」


「はい、国の為の大事な公務ですので……いきなり時間を作れと仰られても」


 まだ嘘を付くか?

 本音が見える。

 軟弱者の俺なんかとは、絶対に話したくないという本音が……


 俺は……完全に怒ったぞ。

 ちなみに、信長は……家臣に舐められるのが大嫌いなのである。


「…………」


 俺は黙って、つかつかとオライリーに近づいた。

 何をされるのか、全く分からないオライリーは、「へ?」という表情をしていた。


 瞬間!


 どぐあっ!

 重い肉を叩く音が響き、俺の振るった拳をまともに顔へ受けて、オライリーは軽々と吹っ飛んでいたのである。

東導 号作品、愛読者の皆様!

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『魔法女子学園の助っ人教師』


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皆様の多大なる応援のお陰です!

本当に、本当にありがとうございます!

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この度『コミカライズ』が決定致しました。

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店頭でぜひ、お手に取ってくだされば嬉しいです。

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何卒宜しくお願い致します。

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