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紅茶から始まる恋もある?

作者: かさのきず

ゴールデンウィークあたりに書いたと思われるデータを加筆修正しました。時期的にはゴールデンウィークと変わりませんが、量が二倍から三倍ほどになってます。

それとギャグシーンのほとんどは、最近読んだ化物語のノリをぱくろうとしてやってます。あ、これ、同じギャグじゃん! とかはなしの方向でお願いします。

「ほれ」

「おお、ありがたき幸せ」

 僕は彼女のカップにペットボトル入りの紅茶を注いでやる。

「ミルクティー?」

「甘いのが好きなんだよ、俺」

 それに、紅茶を味わえる舌を持ってるわけじゃないんだから、飲みやすいほうがいいんだ。と半分程残った紅茶をペットボトルのままラッパ飲みして、僕は言う。

 夏が近づいていた。

 そんな中で、日の当たる屋上はたまらなく暑く、僕も彼女も日陰には入っているのだけど、照り返しでくる暑さが堪らない。

 まあでも、そろそろ夏服に制服が変わる。そうすれば少しは涼しくなるんじゃないか。

「ゴールデンウイーク、終わっちゃったなあ」

 カップの紅茶をちびちび飲みながら彼女が言った。

 あまりにも残念そうに言うから、僕も残念になってきて、おもわず事実から現実逃避して未来のことを考えざるを得なくなってしまう。

「次の大型連休は夏休みだな」

「気が早いと思いますよ?」

 小首を傾げる彼女に、そうだなと笑いかけて紅茶を一口。

 甘い味。少なくとも僕にはそのくらいにしか感じられないけど、僕はとりわけこの飲み物が好きだった。

 それと同じように、僕は彼女のことを、ただ可愛いとしか思えないけど好きだ。

 彼女といるこの時間も、この場所も。なにより彼女といる自分自身まで、僕は好きになれたんだ。

「なあに? そんなにこっち見て」

「今年の夏、どこか出かけない?」

「え? それはデートのお誘い?」

「でででデート…………いや、デュエットのお誘いだ!」

「カラオケに行くことは決まってるんだ」

「俺、ラップパートな」

 いやいやいや、カラオケなんかより、もっといいところあるでしょ。たとえば、海とか、海とか、海とか。

「俺は君の水着が見たい」

「カラオケでその恰好はちょっと……したくない」

 うん。僕もそれは嫌だ。

「そんなに水着が見たいなら、海にでも連れてってくれればいいじゃない」

「たしかに!」

「もちろん、それ相応の物質的誠意を見せてくれるなら、いつでも見せてあげるけど」

「物質的誠意?」

「福沢氏が三人くらいでしょうか」

「自分の体をそんな風に売っちゃいけません!」

 ちくしょう。今日は二千円しか持ち合わせがないぞ。今すぐコンビニで下ろしてくるか?

「スケベなんて死ねばいいのに」

 僕は財布をしまった。僕は紳士なのだ。

「変態と言う名のな!」

「俺は変態じゃない!」

「ロリコンと言う名のな!」

「ロリコンでもない!」

「トマトと言う名のな!」

「………………」

「……………………」

「もう思い付かなかったんだろ」

「I kiss you」

 唇を塞がれた。これが僕のファーストキスだ。

「よし、死のう」

「早まらないでー!」

 屋上から飛び降りようとしたけど止められた。

「放せ! 俺を誰だと思ってやがる!」

「神?」

「え? 意外とランク高い」

 思わず動きを止めた瞬間に、クワッと彼女が僕に覆いかぶさってくる。彼女が僕を押し倒しているような構図だ。

「それはそれ、これはこれ」

「何がだ!」

「キスはキス、付き合うかどうかは別」

「俺、告白する前に断られてたのかっ!」

「しかし、どうしてもと言うなら仕方あるまい。大枚はたいてタイ米を購入するくらい仕方あるまい」

「なあ、段々寒くなってきてないか?」

「付き合ってあげよう」

 ………………。

 今、告白すれば付き合ってくれるということなのか、これって。

「ただし土下座ね」

「動けないしっ!」

 押し倒されてて、身動き一つ取れません。

「仕方ないね、人生には諦めも肝心だよ」

「理不尽だー!」

「諦めて、私の彼女になりなさい」

「え、これって喜べばいいの? 万歳って手を挙げていいの?」

「絶望すればいいと思う」

「君と付き合うって、どんだけ不幸なことなんだ!」

 というか、自分をおとしめているのに彼女は気付いているのか? 気付いてないような気がする。

「夏目二人か……」

「え? なに今の不穏なつぶやき」

「気にしないで」

 彼女が立ち上がる。これで僕も動けるようになった。

「好きです」

「お、俺も」

 いきなりだけど、なんとか合わせる。恥ずかしい。けどこれは僕の偽りない気持ちだから。

「諭吉が」

「俺の羞恥心を返せ!」

「金、LOVE!」

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