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本物の公爵令嬢  作者: Na20


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8/13

8

 

「何か特別な理由でもあるのかしら?……いえ、私には関係ないこと……ってあら?」



 本を眺めていると、ふとある言葉が目に留まった。



「『祝福の一族』?」



 聞いたことない言葉だ。

 だけど不思議と気になり、ページをめくる手が止まる。

 どんなことが書かれているのかと文章の始まりを読んでみると、どうやらランカ帝国に実在する祝福の一族について書かれているようだ。



「えっと……『祝福の一族』には、特徴がある」



 この本は帝国語で書かれている。

 帝国語は習得しているが、いかんせんこの本は古い言葉や難しい言い回しが多く、読むのは一苦労だ。

 なので少しずつ訳して読み進めていく。



「その特徴は、産まれながらにして、身体的に、現れる」


「一つは、輝く、銀の髪」


「そしてもう一つは、新緑、の瞳……?」




 ーードクン



 心臓が跳ねた。

 銀の髪に新緑の瞳……自然と手が髪に触れる。

 今はくすんだ色をしているが、昔はたしかに銀髪だった。

 それに瞳だって新緑かは分からないが、緑色をしている。


 そしてページの最後にはこう記されていた。



「祝福を、与えられし者。繁栄が、約束される……」



 ……ああ、だから私なのか。

 恐らく公爵は、これをどこかで知ったのだろう。

 そして色味の似ている私を見つけ養子にした。そう考えればあの時の会話にも納得がいく。


 もしかしたらあの娘は、本物の祝福の一族なのではないかと。


 本物か偽物かどうかは、もちろん私自身ですら分からない。

 だけどこの色味が珍しいというのは、間違いない。

 新緑ではなくても、緑の瞳を持つものはそれなりにいる。学園でもちらほら見かける程だ。

 でも髪の方は違う。

 銀の髪も持つ人間を、私はこれまで一度も見たことがない。

 たしかに昔なら私も胸を張って自分の髪の色は銀だと言えただろうが、今や銀というよりくすんだ灰色。

 いつから色が変わったのかも分からない。

 気づいた頃にはもう今の色だったから。

 だけど公爵は見たと言っていた。

 だから私が本物だと思い、養子に迎えたのだろう。


 きっと最初の頃の生活は、本物である可能性を考慮した結果だったのかもしれない。

 しかし髪色は一向に変わらず、力に目覚める兆しもない。


 そしてようやく公爵は偽物と判断した。

 けれどその判断を下した時点で、すでに私は王太子殿下の婚約者。

 だからすぐに私を追い出すことができず、今に至るのだろう。

 でも時が来れば、婚約者をリリアンに替えるはずだ。

 このまま私を王太子殿下と結婚させるような真似はしないだろう。


 そして用済みとなった私は、追い出されるのが妥当か。

 この生活から解放されたいと何度も思った。

 けれど実際に追い出されたところで、私には行くあても帰る場所もない。

 きっとお金も、荷物すら持ち出すことは許されないはず。


 まさか長年の疑問が、たった一冊の本で解決するなんて。

 それはまるで、パズルの最後のピースがぴったりとはまったかのよう。

 しかしその後のことを考えると、憂鬱な気持ちになる。


 今日初めて知った『祝福の一族』。

 自分がその一族と関係があるかは分からない。だけどとても気になる存在なのはたしかだ。



「……いつか行けるかしら」



 はたしてこの願いが叶う日は来るのだろうか。

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