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前編 「生産性の価値評価」が相対的だから「異世界転生」したい

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。

 

 前半では「生産性は相対的」であることや「給与決定権者」から評価されないことから「異世界転生したい方が多いのでは?」という事についてと、


 後半では政府などが推進する「企業の賃上げ促進」では日本は全く良くならないという事について触れていこうと思います。



質問者:

 でも、基本的に学歴が高い方は生産性が高く、学歴に比例していい大企業に就職するので給料が高くなる。

 そういった傾向があると思うのですが?



筆者:

 まず本稿の定義から説明させてもらいますが、ここでいう「生産性」は雇われている側だと思っていただいて結構です。

 なぜなら個人事業主や雇用主としてみれば生産性が上がればその分利益が上がるのは間違いないですからね。


 また、新入社員として入社する際に学歴などが会社の「基礎的な立ち位置」には比例することは間違いないですし、

 そこが生産性、社員のポストと給料に反映されることは間違いないでしょう。


 ただ、ここで論じたいポイントとしては「会社の生産性が向上するより、かなり下回るペースでしか給与と言うのは上がらない」という事を押さえなくてはいけないのです。


 そして、生産性の向上は日用品の場合は革命的な製品が出てこなければ大抵は「値上げ」になります。

 その値上げの分を給料が上回らなければ誰も相対的には豊かにはなりません。

 しかし、ここがどう見てもできていない! という事を僕は言いたいのです。


 生産性向上と収入が完全にリンクして比例するのは自らが社長か個人事業主に限られると思います。



質問者:

 確かに突出して他の国より良い製品を作って値段が上がったのならまだしも、

 最近日本の製品でそんなに劇的に何か良くなったのか? と聞かれると特に無いですからね……。



◇「給料の高さ=生産性が高いこと」を必ずしも示していない



筆者:

 そして皆さん誤解が一つありますが、「給料が高い」ことと「生産性が高い」は必ずしもイコールになりません。


 勿論、優秀な学歴や実績を持つ方ほど高い給料を得やすい相関関係は必ずあります。


 ですが、企業の生産性を上げても「社員の頑張りを評価してくれるシステム」が無ければ無駄なんです。


 例えば、神様が日本列島を作ってもお金で換算できないから0円=生産性0。

 (そもそも神様はお金がいらない疑惑がありますが)


 リアル社会でも天下りの役に立たない「老害」週3回来て年収1000万円、

 国会議員が本会議場で寝ていても数千万円の給料はそっくりそのまま入ると言った不可思議な現象が起きています。


 つまり「給料支払い決定権者」が評価してくれなければどんなに社会にとって有益な行いをしても、

ほとんどお金にならない「やりがい搾取」状態になるか、ボランティアになってしまうという事です。


 世界的にも評価されているアニメ業界の給料が低いことや農業、介護などと言った必須産業にも関わらず給料が低い(売価が海外などの要因で低く設定されている)ことで「生産性が低い」という事にされてしまっている本当に気の毒な産業と言うのも多く存在しています。


 逆に天下り役員や国会議員は自らが給料支払い決定権者とほとんどイコールになっていることから、仕事をせず“無能”と言われているような方でも「生産性が高い人間」になれてしまうわけです。



質問者:

 なんだか世知辛いというか理不尽と言うかそんな感じの社会なんですね……。



筆者:

 また、社会全体で同時に生産性が上がった場合「相対評価」のために評価されにくいという要素があるんですね。


 30年前にワード、エクセルなどを使える方はほとんどいなかったですし、スマートフォンなどは存在すらしていませんでした。

 しかし、今は使えて当たり前になっており「生産性の高い人間」にパソコンやスマートフォンが出る前よりほとんど全ての人間が間違いなくなっているわけです。


 ところが、そのころと比べて給料が上がっているわけではありません。

特に日本はそうだと思います。


 なぜなのかと言いますと便利になっている分人員がカットされてしまうために、

 企業レベルでの生産能力は上がっていても給料総額的には下がっています(一部の管理職のみが上がっている状態)。


 また、給料の決定の仕方や生産性の評価は「相対評価」になっており「どれだけ他の人物より優れた生産をしたのか」が重要になっています。


 例えば平均点が30点のクラスで70点を取ってトップだと表彰され給料が月100万の世界がある一方で、

 全く同じテストで平均点が80点のクラスで70点を取った場合給料が月20万円――そういった感じの世界で今動いているのだと思っていただければ想像がつきやすいのかなと思います。



質問者:

 「小説家になろう」などで「異世界転生」の作品が流行っているのも「平均30点の世界で賞賛されたい」という願望があるのかもしれませんね……。



筆者:

 それはあると思います。

 本来であれば、上の例であれば70点を取れば平均点が何点であろうとも収入は月100万円保障みたいな形が望ましいのですが、現実はそうはなっていないという事です。

 100点を皆が取ったとしてもレギュレーションが変わって200点満点になるとかそう言う感じになるのが将来的に考えられます。


 このように頑張りが評価されにくく“それだけやって当たり前だ”といった風潮があり、一部の突出した人間だけが評価される傾向があります。


 今現在においても企業レベルでの生産能力は上がっていても給料総額的には下がるということは、アメリカのビックテックが先行してそうなっていると言えます。


 例えば、アマゾンの管理の倉庫はロボットが管理しており包括的に管理する人間以外は人員はいません。その管理する極一部の給料は抜きんでて高いですが、それ以外の不要な人間はカットされていってしまうのです。

 そのためにビックテックでもリストラが多く、アメリカでは先進国では最も貧富の差が開いています。


 「AIが職業を奪うかもしれない」と時折言われていることもこの次のバージョンだと思われているためですね。


 ロボットやAIがさらに進むことによって「不要な人間」が多くなり、管理する人だけが残る状況が進めば「社会全体で見た場合は賃下げ」になる可能性すらあるのです。


※一方で学校の偏差値と言うのはある程度絶対的な基準であるために学歴と言うのは時代が変わっても一定以上の評価がされているという事です。



質問者:

 だから最初に筆者さんがおっしゃっていた「生産性向上と収入が比例するのは自らが社長か個人事業主に限られる」という事なんですね……。



筆者:

 この様な社会事情ですと「相対的に不要な人間にならない」ことが大事だと思うのですが、

 非常に残念なことに今の学校教育は前世代的な「工場人間」を作り出すための画一的な教育になってしまっています。


 このように日本社会全体のシステムが「制度疲労」のようなことを起こしており、抜本的な見直しが大事だと思います。


 ただ、一個人ではそのようなことが出来ないために「異世界転生」したい方が増えているのだと少なくとも僕は思いますね。

 かつてロボットが出てきて工場職員の仕事を奪っていったときにアメリカでは「スーパーマンがロボットを破壊していく」という作品がとても流行していました。


 やはり、社会全体で一定以上流行っているエンタメ作品と言うのは、社会の歪な部分や不安を映し出す鏡ではないか? と言う風に僕は思いますね。 


 後半では、現在の政府が行う「賃上げの音頭」がいかに問題かについて中心に語っていこうと思います。

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