表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さなぎ  作者: 早芹氷華
7/7

むっつめ。



 外の世界は自分の予想を上回る厳しさであった。昇り始めた太陽が、脳を焼くほどに眩しい。周りに身を隠せるような場所もない。時折吹く風に身体が持っていかれそうだった。



 しかし、そんな状況に置かれているはずなのに気分は不思議と高揚していた。



 ふと、自分の背中にあったくしゃくしゃのものに目をやった。膜の中にいた時は場所が足りなかったが、今ならば広げられる気がした。



 自分は、急ぎつつも丁寧にくしゃくしゃのものを広げていった。急に広げて破れてしまうのは困るが、ゆっくりしすぎてしわになっても困るのだ。



 何とか広げきり、気が付いた。背中にあったくしゃくしゃのものが、自分の羽であったことに。



 自分の羽を乾かしながら、そっと考える。自分はずっと暗闇の中にいた。右も左もなく、自分がどこを向いているのかも分からない程の暗闇に。



 いつからなのかは思い出せないし、いつまでなのかは分からなかった。何かを望みこうなったような気もするが、そのころの記憶などすでにない。



 自分が何をしたとて何かが変わるものでもないし、何をすることも叶わない。ただ変わりたいと望み、心の中で涙をこぼす。



 そんな時間をずっと過ごしていたのも、無駄ではなかったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ