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むっつめ。
外の世界は自分の予想を上回る厳しさであった。昇り始めた太陽が、脳を焼くほどに眩しい。周りに身を隠せるような場所もない。時折吹く風に身体が持っていかれそうだった。
しかし、そんな状況に置かれているはずなのに気分は不思議と高揚していた。
ふと、自分の背中にあったくしゃくしゃのものに目をやった。膜の中にいた時は場所が足りなかったが、今ならば広げられる気がした。
自分は、急ぎつつも丁寧にくしゃくしゃのものを広げていった。急に広げて破れてしまうのは困るが、ゆっくりしすぎてしわになっても困るのだ。
何とか広げきり、気が付いた。背中にあったくしゃくしゃのものが、自分の羽であったことに。
自分の羽を乾かしながら、そっと考える。自分はずっと暗闇の中にいた。右も左もなく、自分がどこを向いているのかも分からない程の暗闇に。
いつからなのかは思い出せないし、いつまでなのかは分からなかった。何かを望みこうなったような気もするが、そのころの記憶などすでにない。
自分が何をしたとて何かが変わるものでもないし、何をすることも叶わない。ただ変わりたいと望み、心の中で涙をこぼす。
そんな時間をずっと過ごしていたのも、無駄ではなかったのかもしれない。