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僕と僕の妻
「楽しかった?」
妻が僕にそうたずねる
「まあ普通かな」
「普通って何?」
ああ面倒くさいなあと思うけれど
僕はそれを顔に出さないように注意する
「あ、今面倒くさいって思ったでしょ?」
「そんなこと思ってないよ」
「嘘が下手ね」
嘘が下手なのは認める
でもそうではなく
妻が鋭すぎるのだ
その鋭さが僕を疲れさせる
「友達の奥さんと二人でお酒飲むってどんな感じ?」
会社の同僚と飲みに行ってきたとか
適当な嘘をつこうと思えばつけるのだけれど
それをしない僕というのは
正直者というか間抜けというか
でも僕にやましいことなんて無いのだから
正直に話したところで何の問題も無い