表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/95

第2節~承~ 第94話 旅の神の末裔~東奔西走VS獅子奮迅✖獅子博兎

半年以上お休みしてしまい申し訳ありません。

事情等は活動報告で改めますm(_ _)m

※太陽の神の末裔アポロンと、極月翔也、霜月勇希の死闘の結末については少し後になります(文章は完成しています)。


さっそくですが、第94話、旅の神の末裔ヘルメスと、葉月洸之介、皐月久愛、文月紫水の死闘について始めたいと思いますm(_ _)m


挿絵(By みてみん)

 

「「「…………」」」

 ──何?

 ──な、何なの……?

 ──なんのつもりだ、コイツ……。


 葉月洸之介(はづきこうのすけ)皐月久愛(さつき く う)文月紫水(ふづきしすい)──。三人とも、突拍子(とっぴょうし)ないヘルメスの問いかけにただ黙り込むしかなかった。


  挿絵(By みてみん)


「ふぅ……説明してやろう。葉月洸之介は攻撃力で、皐月久愛は防御力で、覚醒した弥生梅佳(やよいうめか)をはるかに(しの)ぐ力を身につけた。さらに、文月紫水のサポートが加われば、お前たち三人組は、弥生梅佳亡き今、人類で最強の三人組ということになる」


  挿絵(By みてみん)


 ヘルメスがニヤリと笑みを浮かべる。


 紫水が不機嫌そうに口をひらく。

「で、おまえ、何が言いたいんだ?」


「ハハッ、つまりだ、お前らを()()()相手しようとする俺様は、お前ら()()()()()()力があるということだ。どうだ? わかったか?」


「うぜぇッ」

 紫水がヘルメスを睨みつけ、身構える。


  挿絵(By みてみん)


 一方、洸は慎重になっていた。


 ──確かに、アイツが僕たちを分断させた張本人だ……それだけ自信があるということか……。ゼウスの右腕、アポロンに匹敵する力をもつのか、それともただのブラフなのか……。


  挿絵(By みてみん)


 洸は久愛、紫水から距離を取り、静かに口をひらく。

「確かに君は強いのかもしれない……けれど、僕たちは負けるわけにはいかないんだ」


「ハハッ、万に一つも勝てないってこと、すぐ分からせてやるさ」


  挿絵(By みてみん)


「洸さん、そいつの話、聞く必要ないですよ」

 臨戦態勢に入った紫水の左掌から紫煙が立ち上る。


 後方に控える久愛も、洸に声をかけた。

「……洸、他のみんなのことも気になるわ……闘うしかない」


 久愛は左腕を突き出し、スキルを唱えた。

「『ザッソウダマシイ』」

 久愛の掌から、無秩序に生える雑草のような黄緑の光が溢れ出す。


  挿絵(By みてみん)


 光は幾重にも重なって渦を巻き、洸と紫水へと放たれた。


  挿絵(By みてみん)


 二人の体に巻き付いた光は、そのまま染み込むように消えていく。


「とりあえず、防御力アップさせたわ。早く終わらせるに越したことはないもの」

 久愛のスキル『雑草魂(ザッソウダマシイ)』。

 それは、スキル攻撃や物理攻撃など、あらゆる攻撃の威力を半減させる防御スキルであった。


  挿絵(By みてみん)


 ──久愛の言う通りだ。一刻も早く、他のみんなと合流しなければ……。

「ありがとう、久愛」


「うん、防御と回復は任せて」


「洸さん、攻撃のサポートは任せてください」

 紫水は、勇希(ユウキ)柊龍(シュウリュウ)と話すときとは打って変わって、洸たちには丁寧な言葉を使う。だが表情は険しい。敵の()()()()がため、紫水の警戒心は最高潮に達していた。


  挿絵(By みてみん)


「うん、よろしく」

 洸は紫水の言葉遣いに()()()()胸を突かれるような懐かしさを覚えたが、すぐに思考を戦闘へと切り替えた。


「いくよッ『獅子奮迅(シシフンジン)』ッ!」

 ──まずはアイツのスキルを見極める。

 洸が突き出した右拳に青紫の光が灯る。


  挿絵(By みてみん)


 その光が青紫の火炎へと姿を変え、渦を巻いて解き放たれると、燃え盛る(たてがみ)をもった十数匹の青紫の獅子へと形を変えた。


  挿絵(By みてみん)


 光沢のある毛並み、鋭い眼光。獅子たちは牙を剥き、咆哮(ほうこう)とともにヘルメスへ襲いかかる。


  挿絵(By みてみん)


 対するヘルメスは、顔色一つ変えず早口で唱えた。

「『トウホンセイソウ』」


  挿絵(By みてみん)


 杖の先から噴き出した黒煙が、周囲の光を捕食するように広がり、瞬く間に漆黒の闇でフィールドを覆い尽くした。


「さっきお前らを分断した黒煙が、獅子たちも()()()()飛ばしてくれるぜッ」

 杖先が青く光ると、漆黒の闇が刹那、群青に染まる。


  挿絵(By みてみん)


 ヘルメスの黒煙はすべての獅子たちに絡みついていく。黒煙に触れた獅子たちは体中を縛られたかのように()()()が、次第に動きは止まり、咆哮は苦悶(くもん)(あえ)ぎに変わる。


  挿絵(By みてみん)


 続けざま、ヘルメスが杖を振るうと、獅子たちは断末魔(だんまつま)をあげる間もなく、黒煙と混ざり合うようにして跡形もなく消え去った。


  挿絵(By みてみん)


 バトルフィールド内に明るさが戻る。


 ──この程度の出力じゃダメってことか……それなら……。


 洸は再びスキル『獅子奮迅(シシフンジン)』を放つと、今度は間髪入れずに、召喚された獅子たちに向けてスキルを唱えた。

「『シシク』『シシノハガミ』ッ!」


  挿絵(By みてみん)


獅子奮迅シシフンジン』で召喚された獅子たちが、『獅子吼(シシク)』スキルで鬼の形相(ぎょうそう)と化して荒れ狂い、『獅子の歯噛み(シシノハガミ)』スキルでむき出しの牙がさらに鋭い刃物のように変貌(へんぼう)する。


  挿絵(By みてみん)


 これら二つのスキルは獅子たちを強靭化(きょうじんか)、凶暴化させるバフスキルであった。


  挿絵(By みてみん)


 だが、ヘルメスは動じない。またもや黒煙が獅子たちを包み込む。


「これならどうだッ『シシハクト』ッ!」

 洸は、獅子たちに合図を送るように上に挙げた左の掌を振り下ろした。


  挿絵(By みてみん)


「いけぇーッ!」

 青紫火炎が勢いを増し、獅子たちは爆発的な力を漲らせた。


獅子博兎(シシハクト)』とは「ライオンがウサギのような弱い相手を狩るときでも手を抜かず全力を尽くす」ことから転じて「どんなに簡単なことでも、決して手を抜かず、常に全力を尽くすべきだ」という意味。


 洸は『獅子博兎(シシハクト)』スキルですべての獅子たちのあらゆる力を、最大限アップさせたのであった。


  挿絵(By みてみん)


「洸さんッ! サポートしますッ!『ホウエンダンウ』!」

 紫水は人差し指の先から噴き出す紫色の煙を操り、洸の獅子たちの数を増やした。


  挿絵(By みてみん)


「紫水君ッ!」

 ──なんてタイミングだ。以心伝心だ……。やはり彼は……。

 大気圏に突入した隕石のごとく燃え盛る無数の獅子たちが、ヘルメスに襲い掛かる。


  挿絵(By みてみん)


「だーかーらー、無駄だって言ってんだろッ? お前ら脳みそあるのかよッ!?」

 悪態をつきながらヘルメスが再び杖を振るい叫ぶ。

「『東奔西走』ッ『バツザンショウスイ』ッ!!!」


  挿絵(By みてみん)


 ヘルメスの杖先から噴き出す黒煙が獅子たちを再び包む。


 すると獅子たちは、先とは比べられぬほどもがき苦しみ始め、次々に消えていった。


  挿絵(By みてみん)

  挿絵(By みてみん)


「お前らバカどものせいで、ライオンたちが悶絶して死んだだろうがッ」


 洸は立ち尽くす。

 ──これじゃ「獅子王」になる前に消されてしまう……。


  挿絵(By みてみん)


 ──ヘパイストス戦で召喚した「獅子王」は、無数の獅子たちを集結させることが絶対の前提条件……。集結する前に消し去られてしまえば「獅子王」を呼び出せない……。


 後方にいる久愛も驚きを隠せなかった。

 ──あの猛攻が全く通用しないの……!?


  挿絵(By みてみん)


 紫水の表情がいっそう険しくなる。

「……一発で……あの数、あの力の獅子を、すべて消せるのか……ウザすぎる……」


 紫水は黒煙の対抗策を巡らせる。

 ──あの黒煙をなんとかしないと……目には目を歯には歯を……試してみるしかない……。


  挿絵(By みてみん)


「『ジョウザンノダセイ』」

 紫水が両腕を前方に伸ばし、開いた両の掌に力を込めると、シューという空気が漏れるような音とともに紫の煙が立ち上る。


  挿絵(By みてみん)


 紫水が両掌を突き出すと、紫の煙が蛇のようにうねりながら立ち上った。その煙は意志を持つかのように、ヘルメスの黒煙の動きに同調し始める。


 ──あの黒煙……絶対、相殺(そうさい)してやるッ!!!


「フンッ。俺様のまねごとかい? 無駄だぜ~ハハハッ」


  挿絵(By みてみん)


 嘲笑するヘルメスは再び杖を振るい、さらに黒煙の量を増やす。


 紫水も対抗してさらに紫煙を放出させる。


 紫煙が黒煙と全く同じ形、同じ濃度になった瞬間、シューッという音とともに、双方の煙が消滅していく。


 ──よしッ。いけたッ!

 確かな手応えを覚えた紫水は右拳をぎゅっと握った。


  挿絵(By みてみん)


 反対に、ヘルメスは悔しさを(にじ)ませた。

「……あぁ~だりぃ……マジでムカつく……うぜぇことしやがって……」


  挿絵(By みてみん)


「洸さんッ! もう黒煙は大丈夫ですッ!」


 紫水が洸に向かって叫ぶと、間髪入れず洸は両拳を前方に向け、スキルを唱える。


「紫水君、グッジョブ! 『風雲龍虎(フウウンリュウコ)』ッ!」

 洸の両拳に灯った青紫色の光が膨張するや、小さな爆発音とともにボワッと弾けた。


  挿絵(By みてみん)


 両拳から放たれた光は青と紫の火炎と化し、めいめい激しく渦を巻くように燃え上がる。青い火炎は青龍へ、紫の虎は体色が淡くなり白虎へと変貌していった。


  挿絵(By みてみん)


 紫水が声高に叫ぶ。

「洸さん、そのまま攻め続けてくださいッ!」


「OK!」


 ヘルメスが『東奔西走(トウホンセイソウ)』を唱え、杖を振るうと、紫水は即座に『常山蛇勢(ジョウザンノダセイ)』を発動させる。紫煙が黒煙はぶつかりあい相殺され消えていく。


 焦りを滲ませるヘルメスに対し、洸の青龍と白虎が数倍ほど巨大化し、咆哮を上げた。


 青龍は青い火炎をまとい、空を割くように旋回しながら口を大きく開く。そこから放たれたのは、青白く輝くエネルギーの奔流(ほんりゅう)であった。


  挿絵(By みてみん)


 白虎は全身から白煙と淡い紫光を放ち、鋭い牙を剥き出しにしてヘルメスへ飛びかかる。


  挿絵(By みてみん)


 青龍と白虎がヘルメスへと接近する──。


  挿絵(By みてみん)


 そのとき──。


最後までお読みくださりありがとうございます(´▽`*)


□語句・スキル解説


雑草魂(ザッソウダマシイ)

意味: 踏まれても抜かれても、たくましく生えてくる雑草のような、困難に屈しない強い精神力のこと。

スキル効果: 物理攻撃およびスキル攻撃の威力を半減させるスキル。


獅子奮迅(シシフンジン)

意味: 獅子が荒れ狂ったように、ものすごい勢いで奮闘すること。

スキル効果: 青紫の火炎を纏った獅子を複数体召喚し、敵を攻撃するスキル。


東奔西走(トウホンセイソウ)

意味: 目的を達するために、あちこち忙しく走り回ること。

スキル効果: 敵をあちこち走り回らせる、という意味で、触れたものをいろんな場所へ空間転送させることができる。相手からみると、バトルフィールドから消滅させられる恐ろしい黒煙を操るスキルとなる。ヘルメス自身は対象を意図した場所へ転送させることもできるが、意図せずどこかへ転送させることもできる。


獅子吼(シシク)

意味: 獅子が吠えて百獣を恐れさせること。転じて、雄弁に真理を説くことや、権力者が威圧すること。

スキル効果: 召喚した獅子の形相を変化させ、気性を荒くさせるバフスキル。


獅子(シシ)歯噛(ハガ)み』

意味: 獅子が激しく怒って歯ぎしりをすること。

スキル効果: 獅子に歯ぎしりさせることで牙を磨き鋭利な刃へと変貌させるというバフスキル。


獅子博兎(シシハクト)

意味: 獅子はウサギのような弱い獲物を捕らえるときでも全力を出すということ。容易なことでも油断せず全力を尽くすたとえ。

スキル効果: 獅子たちの力を限界まで引き出し最大化させるスキル。


砲煙弾雨(ホウエンダンウ)

意味: 大砲の煙が立ちこめ、弾丸が雨のように降り注ぐこと。激しい戦場の様子。

スキル効果: 味方の攻撃を増殖、増強させる、紫水のサポートスキル。


跋山渉水(バツザンショウスイ)

意味: つらく苦しい経験をしながら長い旅をすること。「跋山」は山を越えること、「渉水」は川を渡ることを意味する。

スキル効果: 黒煙の密度と出力を高め、対象を苦しませた上で消滅(空間転送)させる、ヘルメスのバフスキル。


常山蛇勢(ジョウザンノダセイ)

意味: 孫子の兵法に登場する、常山の「率然そつぜん」という蛇のごとき陣勢のこと。頭を撃てば尾が、尾を撃てば頭が、胴を撃てば双方が応戦する、隙のない完璧な連携のたとえ。

スキル効果: 本来は紫煙で攻撃や防御をする紫水のスキルだが、黒煙を排除、無効化したい紫水がイメージして応用させた。黒煙と紫煙を完璧に同調させ、その性質を相殺して無力化する。ぶっつけ本番、一か八かという側面もあったが、紫水の高いバトルセンスが証明された。


風雲竜虎(フウウンリュウコ)/風雲龍虎(フウウンリュウコ)

意味: 似た者同士が相争うこと。また、時代の流れに乗って英雄たちが活躍すること。龍は雲を呼び、虎は風を呼ぶとされる。

スキル効果: 青龍と白虎を同時に召喚する、洸之介の強力な攻撃スキル。


※その他の語句解説

ブラフ

虚勢を張ること。ハッタリ。


悶絶(もんぜつ)

あまりの苦しさに、失神しそうになること。


奔流(ほんりゅう)

勢いよく激しく流れる水。ここではエネルギーが激しく流れ出す様子。


刹那(せつな)

きわめて短い時間。瞬間。


以上になります。ここまでお読みくださり感謝しております。

第95話もほぼ完成していますのでできるだけ早くアップしますm(_ _)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お待ちしていましたー! 続きも楽しみにしています! 紫水は元AI、でしたよね。やはりサポートがうまいのかな? このまま皆生き残って欲しいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ