#8 第7話 新たな出会い
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では第7話はじめます!
ミダスとのバトルの後、洸たちは学校を休んで久愛の家に集まることにした。三人とも突如身に着いたスキルのことや今後に関して話し合うべきだと感じたからだ。ただ、学年が1つ下のカリンは入学して2日目だということで学校に行かせることにした。
「カリンは学校に慣れたりお友達を作ったりしなきゃだからね」
「うぅ……あたしも久愛姉にゃと一緒に行くにゃ」
「だめよ。入学してしばらくは特に大事なんだよ」
「放課後、カリンちゃんの話も聞くからね」
「俺も聞きたいしな」
洸とアヤトもなだめるように優しく声をかける。
「わ、わかったにゃ……」
カリンには入学式だった昨日の記憶はない。厳密にいえば昨日の記憶はあの忌まわしき人類一掃計画の日の記憶だ。母であるタマヨリのことも気がかりで仕方がない。
ともあれミダスとのバトルのせいで遅刻だ。カリンはひとりで学校の前に着くと教室がどこかわからないことに気づく。校門をくぐったあとすぐにある建物の1階に職員室があるのだが、そんなことも知らずにきょろきょろしながら、とぼとぼと歩いていた。
──どこにゃ。どこにいけばいいにゃ……。
「あら。水無月霞凜さんね」
「にゃっ!?!?」
カリンの目に映ったのは一人の綺麗な女性。髪を1つ団子に編んだ金髪の女性教師だ。細身だが身長は久愛と同じくらい。2時間目の英語担当だった。
「今日は遅刻したのね。2時間目から受講するのでしょう? いっしょに教室に行きましょうか」
「は、はい……(にゃ)」
語尾の「にゃ」を押し殺して返事をするカリンは極度の緊張で顔は真っ赤になり、歩き方もぎこちなかった。それを見てニコリと微笑んだ女性教師が再び声をかけた。
「どうして遅刻したの?」
「えっ!? そ、それは……えっと……(にゃ)」
──あの話はおまわりさんも信じてくれなかったし、どうするにゃ……。
返答に困ったカリンは閉口してしまう。それを見た女性教師が言う。
「では、カリンさん、放課後、職員室に来なさい」
「え!? それは無理です……(にゃ)」
「あら、何か無理な理由でもあるのですか? すぐ終わりますよ」
「すぐ? それなら大丈夫です……(にゃ)」
カリンは久愛や洸たちにもう一度話ができる機会を逃すわけにはいかないと考えていたが、すぐ済むならと納得した。
そうこうしている間に教室前に着く。女性教師は、
「後ろの扉から入ってくださいね」
と声をかけて、自身は前方の入り口へ向かった。
カリンがおそるおそる扉を開くと、すでに着席している全クラスメイトの視線が自分に集まった。
──にゃ……。し、知らない人、いっぱいにゃ……。あたしを見てるにゃ……。
カリンは照れくささをごまかすように自分の座る場所を探す。空いている席が3つあったため、どれが自分の席なのか分からず立ち尽くしていると、最後列に座っていたひとりのクラスメイトが声をかけてきた。
「そなたの席はここじゃ」
赤髪のショートで、カリンと同じ猫耳の少女が隣の空席を指さしていた。
カリンは小走りでその座席に向かう。荷物を机の横に置いて席に座りつつ礼を言った。
「ありがとにゃ……」
──あっ! 「にゃ」をつけてしまったにゃ……クラスメイトだからいいにゃ?
「そなた、入学2日目にして遅刻とは、なかなか肝が据わっておるのぉ」
「い、いろいろとあったにゃ……あなたは何という名前にゃ?」
「ひ、人に名前を聞く場合は、まず自身の名前から名乗るものじゃ」
「あ、あたしは、水無月霞凜と言いますにゃ」
──こ、この人、なんか、へんな話し方にゃ……ヤバい人にゃ?
カリンは先ほどまでの感謝の気持ちとは打って変わって、目の前の少女が仲良くしない方がよい人なのかと勘繰り始める。
「カリンというのじゃな。わらわは弥生梅佳じゃ。梅佳と呼ぶが良い」
「ウメたんにゃ」
梅佳は顔を少し赤らめた。
「ウメたんではない、ウメカじゃ」
「ごめにゃ、ウメカたんにゃ」
「ウ、ウメたんでもよいぞ。 く、くるしゅうない」
「じゃぁ、ウメたんにゃ」
──こ、この人、大丈夫にゃ? 聞いたことない言葉にゃ……
「はーい、話すのをやめてくださいね。今日からあなたたちの英語を担当する、AI教師の伊集院白夜です。よろしくお願いしますね」
伊集院白夜は人ではなくAI教師だ。教師不足の問題がAI教師の導入で解消されて久しい。しかも一目では人かAIか区別のつかないクオリティだ。
「今から昨日のテストの返却をします。この学年はわが校史上もっとも優秀なクラスと言われています。満点だった人が6人もいます」
伊集院が小さなデバイスを操作すると、各クラスメイトの端末にテストが届く。テスト結果にざわつくクラスメイトをよそ眼に、梅佳が声をかけてきた。
「そなたも満点か?」
「あ、あたしは違うにゃ……」
「そ、そうか。まぁ、多少骨の折れる問題もあったからのう」
「ウメたん、満点にゃ?」
「わらわは満点以外ありえないのじゃ」
「す、すごいにゃ」
「さほどでもないぞ」
「そ、尊敬するにゃ……」
梅佳の頭の賢さに驚くカリンの頭から先ほどまでの疑念は消え去っていた。
「まぁ、分からないところがあれば、わらわを頼ってもよいぞ」
「ありがとにゃ」
その後、授業では解説がおこなわれたが、カリンはちんぷんかんぷん。昨日のテストを受けたのが自分ではないことだけは確信できた。
──こ、このテスト……あたしが受けたらボロボロにゃ……。
授業中、満点を取った者たちには、伊集院が関連した難問を出題したが、梅佳はすべて即答し、教師やクラスメイトを感心させた。
──ウメたん、すごいにゃ……。
目を輝かせながら梅佳を見つめるカリン。それに気づいた梅佳は再び顔を真っ赤にする。
「な、なんじゃ、わらわの顔に何かついておるのか?」
「にゃんにもついてにゃいにゃ」
「そ、そうか」
また赤面しかけた梅佳は思わずカリンから目をそらす。
そのとき授業終了のチャイムが鳴った。すると、クラスメイトがあわただしく荷物をまとめながら席を立ち始める。
──にゃ? 今日はこれで終わりにゃ?
きょとんとしているカリンに梅佳が声をかけた。
「そなた、何をしておる。体育館へ移動じゃ。バスケの試合ぞよ」
「バ、バスケ?」
「クラスメイトとの親睦を深めるバスケットボールの試合じゃ、昨日説明があったではないか、クラス対抗のバスケ大会じゃて」
「そ、そうなのにゃ!?」
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第8話は明日更新します!予約投稿を避けたいので更新時刻は未定です(仕事の都合です)m(__)m
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第9話まで連日更新予定です。どうぞよろしくお願い申し上げます。