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#34 第33話 ゼロス再び

ずっと読んでくださっている方々も初めてお越しの方もありがとうございます!いいね、感想、ブクマ、評価してくださった方々、死ぬほど感謝していますm(_ _)m

「勇希くん、やりすぎよ、もう……」

 ご機嫌ナナメの久愛に勇希が頭を下げる。

「サーセン。先輩たちのかっけースキルを見ていたら興奮しすぎました。マジでスンマセン。以後気を付けます」


「洸もアヤト君も、回復スキルなしで実戦バトルするのは厳禁って約束したじゃない!?」


  挿絵(By みてみん)


 まだご機嫌ナナメの久愛に、洸とアヤトも苦笑を浮かべながら謝った。


「しかし、久愛のスキルもすごいよね。僕の龍では守り切れなかったのに」

 洸が言うとアヤトも続ける。

「あぁ、マジ防御力ヤバいなっ! 特性が植物だから木とか樹とかの文字なんだな、久愛は」


「まだ実戦で試したことがないから、どれくらいの攻撃に耐えられるか分からないけどね。でも今のところ、私の防御スキルの中では最強かな」

 久愛はさらに続けた。

「……って、話をそらしてもダメよ! 前のバトルと違って怪我したり死んだりするんだから、回復スキルなしでの実戦バトルは絶対禁止なんだから!」


「うん、約束する」

 ──アヤトが先に仕掛けてきたんだけどなぁ。その後、すかさず勇希くんも仕掛けてきたし……。

 洸は()()()()()感がぬぐえず、アヤトと勇気の方へ()()()()目をやる。


「久愛、俺が洸に勝手に仕掛けたんだ。今後は気をつけるから、すまない」

「久愛姉さん、全部オレの責任っす。オレもハイになって調子に乗りすぎました……」


  挿絵(By みてみん)


「はいはい、わかったわ。とにかく今日はお客さんがくるからね」


「「「お客さん!?」」」


「あとで、カリンが連れてくるからね。それまで特訓だね」


「うんうん。……にしてもさ、僕とアヤト、あと勇希くんもか、いまだに回復スキルは習得できないし……いや、そもそも僕らには回復スキルはないのかもしれない……。そうするとさ、常にいっしょにいないとダメっていうか、ばらばらになっただけでリスクが高くなるんだよね」


「たしかにな。攻撃は最大の防御って言っても限界があるしな。回復スキルがチート級だから、なおさら有るか無いかの差が大きいよな」


 洸たちは、攻撃力の成長には手応えあれど、回復スキルが皆無であることをずっと憂いていた。


「大丈夫っすよ。オレが先陣切ってガンガン攻撃するんで、やられる前にやっちまいましょうよ」

 勇希の言葉に、洸とアヤトは苦笑いを浮かべる。


「翔也さん譲りのポジティブシンキングなのか、ただの脳筋単細胞なのか……」

「ア、アヤトさん、ひでぇっすよ」


「あはは。まぁ、ポジティブってことで」


  挿絵(By みてみん)


 ──回復スキルのことだけじゃない……早く翔也君を助けにいかなくちゃならないのに、八方塞がりだ……。ゼロスって人に早くもう一回会わないと僕たちだけじゃ埒が明かない……。



 洸たち四人が訓練を再開して小一時間ほどした後──。


「ただいまニャ」

 カリンの声がバトルフィールド内に響く。

「梅佳たんも来てくれたニャ」

 カリンは、隣の梅佳とともに洸たちの方へと歩み寄った。


  挿絵(By みてみん)


 洸たちも訓練の手を止め、集まってくる。


「お客さんって、梅佳ちゃんのことだったんだね」

 洸が目を丸くしている横で勇希がおどけて言った。

「ウッス! 誰かと思えば、天才、弥生梅佳!」

「霜月勇希じゃな。同じクラスじゃの」


「梅佳ちゃん、わざわざありがとね」

「く、くるしゅうない、み、みな、ご、ご無沙汰しておったのぉ」

 急にしどろもどろになる梅佳。アヤトだけは不機嫌そうにそっぽをむいている。


 久愛は梅佳の様子を気にかけながら口を開いた。

「私ね、梅佳ちゃんにお願いしてたの。地底に行く方法とか、分かったら教えてねって」

「ち、地底へ行く方法は……ま、まだわからぬぞ。た、ただ……ゼロスと接触できる方法は……わかった」


「「「「「!!!」」」」」


 驚く一同を尻目に、梅佳は「コネクション」と言いながら、右の人差し指で空中に小皿ほどの大きさの円を描き始めた。円は完成すると薄紅色に輝く。そして梅佳が円の下側を親指で弾くと、コイントスのようにクルクルと回転しながら宙を舞った。


 …………。


 落ちてきた円は梅佳の胸の前で動きを止める。梅佳はそれをまた親指で弾く。舞い上がった円はまた何事も起こすことなく元の位置に戻る。


 洸たちが梅佳を見守る中、アヤトだけが再び()()()()そっぽを向いた。

「そんなことでほんとにつながるのか?」

「し、しばし待たれよ……せ、先方の状態にもよるのじゃ……」


  挿絵(By みてみん)


 七度目。宙を舞う円が梅佳の手に落ちずに、洸たちの頭上で止まる。


「よ、よし、これでアヤツとつながるはずじゃ……」

 円は、回転し始めるとブーンという音とともに徐々にモニターへと形を変えていった。


「こ……ちは……」


「あ、声がっ!?」


 空中に出現したモニターに銀髪の男が映し出される。

「こんにちは……みんな、久しぶりだね」


「ゼロスたん!?」


「そうだよ。なかなかコンタクトが取れず申し訳ない。まさかそちらから呼び出されるとは……」

「ゼロスよ、どのみちあまり長く話せんのじゃろう?」


「そうだね。呼び出しに応じられたのもタイミングが合っただけで、少ししか話せない」

「なら、重要なことから聞いていくぞ。地底へ行く方法がわからぬ。地底へ行く方法を教えるのじゃ」


「捕まっている極月翔也くんを助けに行きたいんだね?」


「しょ、翔也君、無事なの!?」


「うん、死んではいないはず。もし死んでいたら僕の方でも分かるから」


「そうなんだ!」

 洸とアヤトが安堵の表情を浮かべる。


「よかった……」

「よかったにゃ」

 涙ぐむ久愛の横で、勇希が顔をゆがめ涙をこらえている。


「して、地底へ行く方法は?」

 梅佳が早口で再びゼロスに問う。


  挿絵(By みてみん)


「ん……ここから地底へ行ける、というようなポイントがあるわけじゃないんだ。真の地球人たちは地底と地上との行き来が自由にできる。ぼくたちもできるんだけど、むやみに移動すると、あいつらに把握されてしまうんだよ」


「地上から地底へ行く方法はあるのじゃな?」

「うん、でもバレないように地底へ行くには、準備がいる」


「どれくらいかかる? 必要なものはあるのか?」

 梅佳は矢継ぎ早に問い続ける。


「必要なものはないよ。丸三日もあれば準備できる」

「三日じゃな!?」

「四日後からゴールデンウィークに入るから僕たちの学校も休みになるし」

「ちょうどいいな。俺、予定なかったし」

「……地底って、どんな感じなんだろ……私、想像したこともなかったな」


「地底も大して変わらないよ。街並みなんかは今の地上と大差ない。でも、地上より科学技術が相当進歩してるし……なにより……」


「「「「「!?」」」」」


「リスクが高いってことじゃな?」

「……うん。正直、今の状況で敵に見つかって全面対決になったら、全滅する可能性が高いね」


「わらわは少数精鋭の方が良いと思うのじゃが、ゼロスはどう思う?」

「そうだね。できるだけ目立たないように少数精鋭で目的を遂行してすぐに引き上げた方が無難だろうね」


「どれくらいの人数がいいと思う?」

 洸が問うた瞬間、勇希が口を出す。

「オレは絶対行くっすよ。何人になっても」


「人数だけじゃなくて人選もじゃな。わらわは行くとして……『血眼になる(チマナコニナル)』」


  挿絵(By みてみん)


 いきなりスキルを唱えられて()()()()洸たちを、梅佳は真っ赤になった瞳で凝視する。そして瞳に映る先刻の洸たちの残像を、ひとりで分析し始めた。


最後までお読みくださりありがとうございます。ブクマ、評価、いいね、感想をくださった方々、本当に感謝しております。かなり励みになっています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
梅佳はずっと活躍してますね!前作のラスボスが洸たちをどう導くのか楽しみです!
[一言] AIが人に転生する、という設定、きっと数百年も先にはそんなこともあるのかもしれませんね…僕は科学の発展にはかなり猜疑心を持っているのですが、うめかたち優しいAIが(厳密にはもううめかはAIで…
2023/09/10 09:36 退会済み
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