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第六話

第六話 連合議会

ここは国際企業連合 ICAの意思決定を行う、

連合議会(AC)だ。

連合議会は総裁1人(議長)と

スズトニア、

フェザストュール、

ミネリヴ、

アニョハ、

プレイスランド、

コーランドの中から選ばれた554人の審議官。

計555人で構成されていて、基本非公開で行われている。



そこで、穏健派の重鎮、リニヴ・プランツェルは議会の動向を神妙な面持ちで眺めていた。


「現在、ボジルは我等が制圧化にあり、政府は機能不全を起こしています。ボジル国奇襲制圧作戦は成功したと言えます。」


軍服の将校は誇らしげに成果を報告する。

議会は拍手で活気立ち、立ち上がって歓喜の声をあげる。

だがしかし、それはイリエル・マルクルと穏健派議員、国家化計画並びに巨大経済圏構想漸進派議員以外で、イリエル・マルクルは額に汗をかき、挙動不審な様子だった。


そして壇上に巨大経済圏構想(Big Ring)急進派勢力筆頭のカルロス・マタドールが堂々と上がり、演説を始める。


「我々は世界の人々の幸福を経済の側面で大きく支えてきました。そして、究極的グローバル化を図る、巨大経済圏構想(BigRing)の実現にまた一歩近づきました。」


マタドールはここで間を置き、拍手を一身に受ける。


そして上機嫌そうにニヤリと笑ったあと、

さらに、続けて話を進める。


「我々はBigRingの実現に向けて、精一杯の努力をしてきました。ですが、宗教、政治的策謀、土着文化、生活水準、排他的思想によってそれらは阻まれてきました。ですが我々は、、、、、ICAはAPFの時とは比べ物にならない経済力と軍事力を手に入れました。世界を一つの市場で繋ぎ、世界を豊かにする。これに何の間違いがあるのでしょう。、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。このBRANP(BigRingAndNationnalizationPlan)が成功した暁には、ICAは一つの国として認められ、世界は新たな日の目を見ることになるでしょう。」


その演説が終わった瞬間、巨大経済圏構想急進派と国家化計画急進派の議員が立ち上がり、万雷の拍手を送る。他の少数の議員は不貞腐れたように席にもたれかかり、早く終わるのを待っているように見えた。


そこで一人の男がカルロス・マタドールに対して大声で呼びかける。


「こんなことは間違っている!!!」


カルロス・マタドールはゆっくりとイリエル・マルクルを見やり、優しく尋ねる。


「君に発言権は今無いはずだ。それにもかかわらず私に対して言いたいことがあるというのは何なのかね?」


「こんなの間違ってる!自分達の利益のためにこんな戦争を始めて、、、、、他国を占領して無理やり市場に組み込むなんてやりすぎだ!!それに私の国家化計画を乗っ取って、私の派閥の人間を丸め込むなんて、、、、、ふざけるのも大概にしろ!!!」


議場がシーンと静まり返る。


「そうか。そうか。君には誤解させていたんだね。」


カルロス・マタドールからでた言葉は思わぬものだった。


「だがね、君。世界は元々国境なんてなかった、それを一つに戻すだけなんだ。簡単な話だろう?それに私は君の派閥の人間を丸め込んだつもりはない。私は君達をBRANPを共に成功させるパートナーだと思っているのだよ。だから、君の意思もくみ取り、ICAを国にしてみせるつもりなのさ。私に任せてくれたまえ。」


かつて私を慕っていた者達がうんうんと頷く。


私は何も返せなかった。


リニヴ・プランツェルが私の肩に手を添え、共に議場の出口へと向かう。


(なんで、何でこんなことに。)

自然と涙が溢れてくる。目頭が熱くなり、裾で涙を拭う。


背後では議員達の歓声が聞こえ、強い無力感を胸に抱えながら、私は議場をあとにした。

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