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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

そのときオタ史が動いた ~太陽の使者と愛の金字塔~

作者: 一光屋KY

 のっけからアレな話題で恐縮だが、皆さんは


 『シ ョ タ コ ン』


 という単語をご存知だろうか? (知らないとは言わせない)

 これは所謂『ロリコン』ことロリータ・コンプレックスと対になる概念にして、

 対象が少年/男子について萌な感情をかき立てられ(検閲)というヤツのことである。


 ところで、ロリコンがロリータ・コンプレックスの省略形であるのなら

 ショタコンのほうは何の略であるかはご存知だろうか?

 ここで多少オタ的事物に詳しい人ならば、それは


 『ショウタロウ(正太郎)・コンプレックス』


 であるという正解を述べるだろう。



 では、その『正太郎』って誰やねん、という点には皆さん答えられるだろうか?



 この疑問に回答出来るかどうかで、オタの中でも『古参』がどうかが決定される。

 つまり『正太郎』は、オタ界隈に於ける試金石、もしくはベンチマークである、

 とすら断言出来るのである。(異論は認める)


 これ以上はオタ特有の話が長くなる傾向にはまってしまうので先に結論を述べよう。




 ――『正太郎』とは『金田 正太郎』君のことである。



 そして『金田 正太郎』とは、横山光輝先生原作『鉄人28号』の主人公の名前である。


 皆さん、この事はしっかりと記憶しておいて頂きたい。





――オタ特有の閑話休題――――――――――――――――――――――――


 余談になるが、語源が日本語である『ショタコン』は当然として、

 もう一方の『ロリコン』についても、これは事実上『和製英語』の一種である

 ことはご存知だろうか。

 勿論、**コンと日本語的に略しているからというのも理由の一つなのだが、

 それ以外にも


 ロリータ・コンプレックス {Lolita complex} :

  『年齢の割に大人びた少女に対して』劣情・恋愛感情を抱くこと、もしくは

  その有様。

  ロシア出身の作家ウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』が元となっている。

  なお、この言葉が世に広まったのはスタンリー・キューブリック監督による

  同作の映画化が契機となった面も大きい。



 といった具合に、原義に於ける『ロリータ・コンプレックス』というものは

 日本に於いてのロリコンの意味するところ、すなわち


 ――『年若い、幼い少女に対して』以下略そして検閲


 というソレとは少々意を異にする存在であるからだ。

 言葉として、もはや別の概念と呼んだほうが近いのである。



 ちなみに英語でこの辺のアレをより正確に表現する単語はズバリ、


 ペドフィリア {Pedophilia} :幼児性愛嗜好


 となってかなーり身もフタも無くなるのでご注意。



 ただ、困ったことにこの辺の単語類は、昨今の『日本語の国際化』に伴って

 諸外国でも普通に通じるようになって来ているのが恐ろしい……。


 要するにアレです、『ヘンタイ Hentai』は世界の共通語。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――




 前置きがずいぶん長くなってしまったが、

 とりあえず『ショタ』と正太郎君の関係についてはご理解頂けたかと思う。

 ところで、ここで疑問に思った方は居られないだろうか。



 何で鉄人28号の金田正太郎君が、『ショタ』の代表格になったのだろうか?



 という点である。

 というのも、そもそも原作漫画の鉄人28号は横山先生の作品においては

 比較的初期のものに分類され、現代的視点から見ると


 はっきり言って『かなーり絵柄が古臭い』と感じられる


 からである。


 コレにそのまま『萌えられる』のは、オタの内でも割と上級志向になるのでは

 ないだろうか。(横山先生すいません)

 これがもう少し時代が下って、『三国志』とか『バビル2世』とかなら

 まだ分からないでもないのだが。

 (実際オ腐レ様向け『三国志』の同人は見たことがある。アレは衝撃でした)


 だが実際には、『ショタとはすなわち金田正太郎君の略』となっている。

 それは何故か。

 そこには、少々複雑な事情と相応の歴史的背景があるのであった……。



      ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 と云ってもまあ、ちょっと勘の良い人ならば直ぐに気が付くかと思う。

 つまり、原作そのままでは無くこれが『アニメ』ならばどうか、ということだ。

 という訳でようやく本題に入ることが出来る。





 ――そのときオタ史が動いた。

  鉄人28号はいかにして歴史の転換点となったのか。


  出来事は、1980年にまで遡ります……。





 1980年、東京ムービー、現在のトムス・エンターテインメントは

 前述のように横山光輝先生原作の漫画『鉄人28号』をアニメ化することとなった。


  ちなみにこのアニメ化は当作では『2度目』にあたる。初のカラー。

  (1度目はなんと1963年で当然白黒)

  また、鉄人28号自体はその後も何度かアニメ化されており、この『2度目』の

  アニメについては通称『太陽の使者 鉄人28号』とも呼ばれている。

  (太陽の使者、の元ネタは主題歌より)


 そしてこの際、設定、メカニック、キャラクターについては(当時の)現代的な

 大幅アレンジが施され、見た目にも随分と洗練されたものになっている。


 特に主人公の金田正太郎少年に関しては『如何にも』な美少年風にまとめられ、

 そちらの趣味の方々に殊に好評を博した。(半ズボン装備)

 当然オタ界隈でも順当に話題になっている。



 ところで同じ1980年代、アニメ界には一つの暗黒が発生している。

 その詳細について書くと色々と憚られるものがあるので敢えてボカさざるを

 得ないのだが、とりあえず一言


 ――この時代、アニメは『子供だけが見る』ものでは無くなった。


 ということである。分かるかな?


 そう、アレだ。『く○い○れ○ん』が丁度この頃誕生したのである。

 おそらく、というかほぼ間違い無く世界初の『成*向け商業アニメ』。

 当然コレもオタ界隈で非常に、激しく、熱く、話題になった。


 そしてこのアレについては、メーカーが言い出したのかお客が触れ回ったのか

 もう覚えていないが、とにかく一連のコレらを指す符牒として(よりにもよって)


 ――『ロ*コンアニメ』!!!!


 というのが代名詞として採用されてしまったのだ。

 今だと、とてもじゃないけど公衆の面前では口にできないような代物である。




 さらに話変わって当時、未だパソコンは黎明期であった。

 8ビットや16ビットCPUなんてものがバリバリに現役の時代で、

 当然インターネットなんて影も形も存在しない。

 (厳密に言うとアメリカ辺りでは動き始めていたらしいが)

 そんな時代、オタのコミュニケーションは専らアナログ的な形で行われていた。


 ここで、ある『伝説のアニメ雑誌』に言及しよう。その名は……


 『ファンロード』


 である。

 当時沢山刊行されていたアニメ雑誌の中で、これはまさに異色の存在であった。


 読者からの『投稿』とそれに対する編集部のリアクション、

 それらをそのまま掲載し、一番の『売り』とする編集方針。

 この雑誌は、今で言うところの『コミュニケーションの場を提供する』ことを

 主目的としていたのだ。

 当時活躍していた読者(投稿者)の中には、後に漫画家・アニメーターその他諸々、

 時代を代表するような創作者へと成長した者も少なくない。

 或る意味、そこには一つの『理想郷』があったようにも思える。




 話を戻そう。

 ともあれ前述のファンロード誌上に於いて、ある一つの質問が成される。



「少女を対象にした萌えに勤しむことがロリコンならば、

 それが少年相手の場合は何と呼ぶべきか?」

 (せんせー、ろりこんの反対はなんていうの?)



 ここで、これまた伝説となっている当誌の編集長『イニシャルビスケットのK氏』は

 こう回答した。

 ……してしまった。



「美少年と云えば金田正太郎君でしょう。ならばここは


  『正太郎・コンプレックス』!!


 略して 『シ ョ タ コ ン』!!!!」



 これが、『ショタコン』という言葉が世に送り出された瞬間である。

 まさにそのとき、オタ史は、動いた……。


 皆も覚えておいてくれ


 ショ*コンという言葉の由来を


 そこに込められた思いを


 そのとき、なにが、あったのかを……


 歴史の真実は、いつだって意外なものであるのだ。




 と、いう訳で実はオタクの歴史的に(妙な意味で)重要な一石と言えるのが、

 この『太陽の使者 鉄人28号』なのです。

 ここ、試験に出ますからね。(大嘘)




      ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 さて、場外の騒動はさておき『鉄人28号』は相当な好評を博したと云えよう。

 ここで、気を良くした製作会社は横山光輝先生原作のアニメを続けて世に送り出す。


 そして次回作(の原作)として選ばれたのが、なんと『マーズ』であった。


 ……原作を知らない人のためにさわりだけ説明すると、

 このマーズはかつて『週間少年チャンピオン』にて連載されていたSFマンガで、

 ある意味最大の特徴ともいえるのが『バッドエンド』であること。

 主人公のマーズ君、醜い争いをする人類に絶望して最後に地球を滅ぼしちゃうのだ。


 こんなものをアニメ化してどうするんだと思ってたら、実際に出来上がったのは


 『キャラの名前と一部設定を流用しただけの全然別物』


 な作品であった。

 それこそが、ある意味オタ業界に決して滅びぬ愛の金字塔を打ち立てた


 『六身合体 ゴッドマーズ』


 なのである。



 いや、これの人気はホント凄かった。特に女性に。


 キャラデザの本橋秀之氏による流麗なキャラクター、カッコいいメカ。

 今で云う(男性)アイドル声優人気のさきがけみたいな要素もある。


 主要登場人物の一人『マーグ』という御方が特に人気で、

 確か死亡の際にはテレビ局に献花台が作られた程だったと記憶している。

 (あしたのジョーの力石徹以来の待遇だ)


 気になるのなら40代以上のアニメが好きそうな御婦人に聞いてみてくれ。

 きっと、それはそれは熱ーーく語ってくれると思うから。

 ともあれ、これは時代を代表するぐらいの作品だと言える。

 言えるんだけど……




 これのある意味最大の『負の功績』は、『腐』の方々に多大なエサを与えてしまった

 ことに尽きるのだろう。


 日ノ本における『腐』の歴史は、竹宮恵子先生の『風と木の詩』に端を発する。

 これは、ロボットアニメにおける鉄人28号的な存在だ。

 では、同様に『マジンガーZ』に当たる存在は何かと問うたならば、



 自分はほぼ間違い無く『六身合体 ゴッドマーズ』がそれだと思っている。




 ……やっっぱりアレがいけなかったんだろうなあ、

 明神タケルことマーズ、演じるのは水島裕さん、が高いキーの澄んだ声で、




「兄さんは、ボクのものだ! 兄さんーーーん!!」




 なんてやってしまったんですよ、ええ。

 もうオ腐レ様たち、大歓喜。

 イケない内容の薄い本が、もの凄い勢いで生産されておりました。







 というわけで、若い皆さまにご提案です。

 あなた方のお母様、40代以上の年齢、アニメ好きもしくは好きそうな疑いがある、

 そういう方がいらっしゃいましたならば


 ――こんな質問をしてみては如何でしょうか?



「ねえお母さん、○ーズ×○ーグ、ってどういう意味?」

(ねえおかあさん、まーず かける まーぐ ってどういういみ?)




 恐らくそのリアクションは、以下の何れかになるとおもいますよ……



 1.「はうっ」と叫んで胸の辺りを押さえ、そのまま……


   → 衛生兵! 衛生兵ーーっ!!



 2.「馬鹿モノ! 貴様にはまだ早い!」と言われて殴られる。


   → すいません、理不尽でしょうが耐えて下さい。



 3.「なななな何のことかしら!? お、お母さんには分かりませんよっ!」

    と明らかに挙動がおかしくなる。


   → そっとしておいて下さい、触れないであげて下さい……。



 4.「ふふふ……そう、アナタも世界の真実を識るときが来たのね……」

    とあやしい微笑と共に……


   → ウェルカム、トゥ、ザ、ニューワールド!!



 5.「たわけ! そこはマーグ×マーズに決まっているだろうが!!

    これだから近頃の若い者は――」

    と子一時間説教をくらう。そのあと強化合宿。


   → お勉強、がんばってね!





 ……ホントにやった人がいて、家庭争議の元になったらどうしよう。



しまった。ゴッドマーズのリアルタイム視聴者(50代すらありえる)なんて

下手すると孫がいたりしかねんのだよな……

私もトシ取ったものよ……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私の地元である関西では、2010年代にも「太陽の使者・鉄人28号」が再放送されていたので、黄色いジャケットを羽織った正太郎君は実に馴染み深いです。 そういえば映画「鉄人28号・白昼の残月」…
[良い点] ……何もかもが懐かしい…………(ガクッ) wwwwww ありがとうございました〜♪
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