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白い魔女と敬愛する賢者たち(ラフレスタの白魔女・第三部)  作者: 龍泉 武
第十二章 ボルトロールからの使者
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第八話 研修生達、集合

 サガミノクニ生活協同組合の開発した汎用型魔法陣。

 これは魔法陣にソフトウェアという概念を組み込んだ全く新しい代物だが、その汎用型魔法陣を普及させるため、技術供与という名目で希望者へ積極的に技術開示を行っていく。

 そんな方針の元、各方面から学習希望の研修生達が集められた。

 本日はその研修生達が初めて一同に介している。

 彼らが集められたのは生活協同組合敷地内エクセリア先進魔法技術研究所の最上階にあるプレゼンテーションルーム。

 研修生達を集めた前で、サガミノクニ生活協同組合の組合長ハルから歓迎の言葉が発せられる。


「私が、このサガミノクニ生活協同組合で組合長をしているハル・ブレッタ。研修生は全員集まったようね。私の見知った顔も少しいるようだけど、互いに初対面の人がほとんどです。順に自己紹介をしてくれるかしら?」


 ハルからのそんな求めに、集められた研修生達はひとりひとり挨拶を始めた。

 

 まずはフーガ魔法商会からのミスズ。

 

「私はフーガ魔法商会に所属するミスズ・ガザミヤです。汎用型魔法陣の勉強に来ました。一度はここから出て行った私ですが、よろしくお願いします」


 ミスズは丁寧に挨拶するが、その声は少し震えている。

 ここから出ていったカザミヤ派の彼女。

 居心地が悪いのは明白だ。

 そんなミスズの様子をハルはあまり気にせず、他の人の自己紹介を続けさせた。

 次に挨拶に応じたのは元ボルトロール王国の研究所に所属していたレイチェル。

 

「私はレイチェルです。ハルさんやこちらに居るサガミノクニの人々とはボルトロール王国の研究所で同僚として働いていた魔術師です。皆様、また、よろしくお願いいたします」


 ミスズよりも手慣れた様子で挨拶するレイチェルは元々研究所の同僚という事もあり、あまり疎外感はない。

 彼女にとってここの人達とは仕事仲間だという印象だ。

 

「私は・・・バリチェロ、ボルトロール王国の魔術師。ここには類稀な魔法技術があると聞いて学びに来た。よろしく・・・」


 あまり感情の起伏を示さない声で自己紹介してきたのは背丈の低い少女、彼女がマチルダ王女の推してきた才女である。

 高い魔法才能を持つとされている彼女はボルトロール王国の魔術師らしい先進的な魔術師の衣装を纏う幼い少女。

 まだ頭角は現していないようだが、それでもこのバリチェロ、サガミノクニの人々の噂を本国で聞かされていたようで、ここにいる人々や施設に興味津々なのは幼さ故に隠せていない。

 

「この場にボルトロール王国の者が居るのは聞かされておらんぞ!」


 初日からそんな文句を出したのが、シルヴィア・ファデリン・エストリア。

 言わずも、エストリア帝国の第一皇女である。

 

「シルヴィア様、我々エクセリア国はボルトロール王国とも和平条約を結んでおりますが故に・・・」


 ハルは白々しくそう述べる。

 不満の隠せないシルヴィアだが、それでもこの場での決定権は組合長ハルにあるのは理解している。

 

「敵国と同じ空間で学ぶのは癪だが・・・」

「嫌ならば、お引取り頂いても一向に構いませんが」

「グヌヌヌ。技術を盾にそんな事を・・・しかし、ここで私が去ってしまえば、ボルトロール王国に負けたようなもの・・・そんな事など認められぬ」


 そう述べるシルヴィアの口調には、当然、ボルトロール人も快く思わない。

 

「失礼な奴だ。技術の場では何人であろうと平等。学びたくない者は去れ」


 バリチェロは生意気にそんな口を吐く。

 当然、そんな喧嘩口調にシルヴィアは怒りを見せる。

 

「不遜な餓鬼め。私の名を聞いて驚け! 私はシルヴィア・ファデリン・エストリア、エストリア帝国の第一皇女ぞ!」

「ゲッ!」


 誰かからそんな驚きの声が漏れたが、シルヴィアが喧嘩を売る相手のバリチェロは無反応。

 

「だから何? アナタもここの技術を学びに来たのでしょ?」

「ぐ・・・このくそ餓鬼め!」

「ハイハイ、シルヴィア様。止めて下さい。バリチェロさんが言う事は正しいわ。大人しく学ぶという条件で研修生として認めたのよ。権力を傘に差別すると言うならば皇女様が帰って貰う事になるわ」

「グググ・・・ハルめ。お父様からの言いつけさえ無ければ・・・」


 美しい顔に青筋を立てるシルヴィアだが、彼女は帝皇デュランの命令でこの研修に参加している。

 帝皇デュランより「あ奴は遊びでなかなか帝都ザルツに戻る気が無いようだから、せめてサガミノクニの魔法技術のひとつでも学ばせよ」とはハルへ直々に魔法通信で要請があった。

 当然、同じような命令はシルヴィア自身も受けている。

 初日に問題を起こして研修終了になれば、帝皇デュランから叱られるのは目に見えて解る。

 結局、シルヴィアはハルの方針に従うしかなかった。

 

「そんなお姫様も今日からここの研修生の一員でーす。皆さん、仲良くやって下さ~い」


 ハルは白々しくそんな事を述べた。

 レイチェルのような一般人はエストリア帝国第一皇女のような雲上人の登場にどう接していいか解らず、頭がパンクしているようだが、それでも自己紹介の場面は進んでいった。

 

「私はナローブ。そして、彼女はノムン。互いにアストロ魔法女学院に所属する教官だ。帝皇様の命で汎用型魔法陣の技術習得のために派遣された。かつてはハルを教えていた身だが、今は立場が逆転したな。フフフ。とにかく、よろしく頼むぞ」


 ノムン、ナローブはアストロ魔法女学院の教官だ。

 所作や雰囲気だけでも一流の魔術師と解る。

 勿論、ハルとは魔法女学院時代に指導教官であったため、互いによく知っている仲である。

 

「そうですね。そして、ハルさんは結婚したのですね。あめでとう」

「先生方、ありがとうございます。何だか、先生方に教えるのはおかしな状況ですね」


 ハルはそう述べるがノムンは首を振る。

 

「いやいや、謙遜しなくてもいい。アナタはアストロの時から非常識の塊――あ、いや、失礼――抜き出た存在でした。優れた魔術に年齢は関係ない。優れた者から教えを乞う事、私達は敬意を持って接します」

「ノムン先生やナローブ先生にそう言われるのは何だかこそばゆいです。しかし、アストロの実力魔術師がここに来た理由は単なる技術習得だけじゃないのでしょう。帝国の思惑もいろいろと絡んだ政治的な側面もありると思います。しかし、シルヴィア皇女が参加しているから政治的な案件などは皇女に丸投げちゃってください」

「そう言って貰えると助かる。我らは魔法の現場職だ。どうも宮廷の政治力学は苦手でなぁ~」

「ハルめ。私を顎で使いよって・・・しかし、政治的な案件は私に任されよう。頼ってよいぞ!」


 一瞬小癪に思うシルヴィア皇女だが、それでも自分の政治力を必要とされるのは嬉しいようだ。

 彼女はノムン、ナローブに託された政治的案件を快く引き受ける事にする。

 まだ何を託されているかはよく解らない状況だが、それこそ皇女が張り切った。

 そんな皇女に呆れ顔なのは、とばっちりを受けた女性・・・レヴィッタである。

 

「あー。もう、なんで私が・・・私はレヴィッタ・ブレッタ。一応、魔術師協会からの派遣という形になっていますが・・・」


 口を尖らせて遠慮なく抗議の声を挙げるレヴィッタは被害者のひとりである。

 彼女はシルヴィア皇女から是非にと指名のあった女性のひとりだった。

 自分ひとりでは不安だという事でレヴィッタ達を指名したのだ。

 同じようにシルヴィア皇女から指名された女性達がこの紹介の後に続く。

 

「ご存じのように私達はエルフです。私がローラに、こちらが妹のシルヴィーナ。ハルさん、そして、皆さん改めてよろしくお願いいたします」

 丁寧な言葉使いで挨拶してくるローラに悲壮感はない。

 シルヴィーナから指名されたのはレヴィッタと同じなのだが、ローラは純粋にこの研修を楽しみにしているようだ。

 そのローラに続き物静かに目配せだけで挨拶を済ませたのは妹のシルヴィーナ。

 見た目から大人しそうな性格のシルヴィーナだが、過去に彼女と接していたレヴィッタからするとそんなシルヴィーナの状態は猫かぶりだとハルは聞いている。

 彼女は依然人間を警戒しているらしく、ここに来てもあまり心を開いていないようだ。

 しかし、そのシルヴィーナを何故かシルヴィア皇女が懇意にしているようで、今回もローラとレヴィッタを誘ったのはこのシルヴィーナを研修に引っ張り出すためであったらしい。

 

(これで、心を開いてくれるといいわね・・・)


 そんな期待の籠った気持ちになるハルだが、他の人間の研修生達は彼女達がエルフという事で興味津々である。

 

「本当はレヴィッタ先輩やローラさん、シルヴィーナさんは生活協同組合員なのに・・・」


 強権発動で彼女達を研修生に加えたシルヴィア皇女に軽く抗議してみるハルだが・・・

 

「ふふふ、どうせ学ぶのであれば一緒に学んだほうが楽しいではないか。エルフ達にも利益あるだろう?」


 今回の誘いは何も問題ないとシルヴィア皇女は言い切る。

 鋼の心である。

 ここの研修生が幸運だったのは、こんな無敵な皇女を諭せる存在がもうひとりだけいる事だ。

 

「シルヴィア皇女も相変わらずのお転婆です・・・おっと、私の名はセイシル。エストリア帝国の宮廷魔術師で、今はリリアリア大魔導士の付き人じゃ。元アストロ魔法女学院の教官だった事もある。そして、過去にシルヴィア皇女の魔法教育係を務めていた」


 そんな言葉に微妙に視線を外すノムンとナローブ。

 それはセイシルが一癖も二癖もある教官であった事を物語っている。

 そして、過去にセイシルより熱血指導を貰ったレヴィッタは逃げ出しそうだ。

 ハルはそんなレヴィッタのローブの裾を掴み、逃亡を阻止している。

 

「セイシルさんは私のこちらの育ての親のお弟子さんでもあります。私にとって姉弟子に当たる存在なのですが・・・」

「それも遠慮するな。それこそノムンとナローブが言っていたじゃろ。優れた魔法技術に敬意を払う。それがエストリア帝国の魔術師の気質じゃよ」


 フフンと清々しい事を述べるベテランの魔術師はこの時、余裕の姉御肌を見せている。

 そんな姿は彼女の本質をまだよく知らない一部の若い魔術師の研修生達を感激させた。

 

「素晴らしいお人です、セイシル様。そんなセイシル様の褒めるハルお姉さまの技術はやはり世界一。アストロからこちらに来て学ぶ価値あります。あっ、私はエリ―。アストロ魔法女学院の三年生で魔道具師を目指しています」


 エリ―は言わずともアストロ魔法女学院の学生。

 ハルの造った懐中時計に魅せられてアストロ魔法女学院に入学を決意した生粋のハル推しの女学生であり、自らをハルの一番弟子だと語っている。

 

「まったく、エリーも相変わらずね」


 変わらないエリーの姿に一瞬過去のアストロの日々を思い出すハルであったが、それでもあれは二年前の話だ。

 随分と前のような気もするハル。

 エリーは身体的にあまり成長しなかったようで、身長は低く幼いままに見える。

 バリチェロと同じ世代のように見えた。

 しかし、彼女は帝皇デュランの親戚だ。

 あまり油断もできない存在だが、そんな扱いをエリーに伝えれば、泣き出すかもしれない。

 ハルに対する憧れと愛情は変わっていないようだ。

 そんな意味も含めての「相変わらず」と言ったのは言うまでもない。

 そして、現在のエリーは友を得たようだ。

 エリーの横で挨拶するタイミングを計っていたとんがり帽子の良く似合う少女。

 彼女が口を開く。

 

「わ、私はビヨンド。アストロの二年生となります。あの有名なハル先輩に出会えて、また、直接教えを受ける機会を頂き、誠に感激しておりま、しゅ」


 たいそうな台詞で喋るビヨンドだが、最後の最後で噛んでしまった。

 少しおっちょこちょいのところがあるのかも知れない。

 

「このビヨンドは二年の学年筆頭の才女だぞ。ハルの偉業をいろいろ聞かされて勝手に憧れているらしい」

「ちょ、ナローブ先生っ!」


 顔を真っ赤に抗議するビヨンド。

 そんな彼女が初々しい。

 彼女達は純粋に興味ある学問を求めてここに学びに来たのだろうとハルは思ったた。 

 

「よろしくね、ビヨンドちゃん」

「あ、ハイ!」


 背筋を伸ばすビヨンドを見て益々彼女の事を気に入るハルであったのは言うまでもない。

 そして、ここにはかつてのラフレスタの仲間も参加していた。

 

「おう。ハルさんは人気者だなぁ。まあ、魔道具師からすれば神様のような存在だ。おっと、俺もそんなハルさんとは同級生だったからよろしくな、若いの。俺はフィッシャー・クレスタ、そして、妻のフランチェスカとヘレーナだ」


 フィッシャーの軽い挨拶に続く、ふたりの妻。

 彼女達は元ラフレスタ領主の娘らしく、公の場でも完璧な挨拶で続く。

 このようにクレスタ夫妻は同じサガミノクニ協同組合の敷地内で暮らしている。

 今回の汎用魔法陣は今後の仕事のチャンスを感じ、今回の研修に参加を希望した。

 勿論、ハルは快く許可していた。

 彼らに汎用型魔法陣を覚えて貰う事は長い目で見てプラスに働くだろうと思ったからだ。

 フィッシャーが善人であり、過去のラフレスタの乱で一緒に戦った仲でもある。

 現在、妻となったフランチェスカとヘレーナもフィッシャーの優しい心に救われて、彼を本気で愛しているのも解っている。

 彼らはハルにとって貴重な仲間でもある。

 

「フィッシャー、しっかりと覚えて汎用型魔法陣で魔道具を作れるようになってね。ふたりの美人な奥様を養っていくのは大変なんだから」


 ハルのそんな言葉にデレデレと反応を示すところは昔のフィッシャーから変わっていない。

 本当のフィッシャーはラフレスタ高等騎士学校の出身のエリートであり、ラフレスタの乱を鎮めた英雄のひとりでもある。

 しかし、こんな緩んだ様子の彼を見れば、一般人と変わらない気安さもあった。

 これによって残された人々も随分と挨拶し易い雰囲気になったと感じたようだ。

 

「私はレンドウ。エクセリア国の魔道具師です。私の友人が魔術師協会でこちらに出向していて、今回、汎用魔法陣の教育の話を聞きました。ひとつ、よろしくお願いします」


 レンドウは今回の研修生の中で少数派となる男性の魔術師。

 エクセリア国で魔道具師を生業にしていた職人だ。

 このレンドウ、魔道具師として自分の技術に行き詰まりを感じていた。

 今回、そんな自分を打開できないかとこの汎用型魔法陣の研修に応募し、魔術師協会からその熱意を認められて研修の許可を得た幸運な魔道具師のひとりでもある。

 

「私も同じく魔道具師よ。フィローニって名前さ。それなりに長くやってきたんで、経験だけはあるつもりだけど、人生の終盤にもうひと花咲かせたくなって来たんだ。よろしくね」


 フィローニは年齢を重ねた魔道具師であり、ベテランの魔女。

 今回サガミノクニ協同組合が発表した『電卓』に驚かされたひとりでもある。

 彼女の直感で彼らから学ぶ事は多いと、この研修への参加を決意した。

 人材不足のエクセリア国としても若者だけでなくベテランの魔道具師も活躍して欲しいと期待されているらしい。

 その魔術師協会からもふたりが参加している。

 

「僕はエルロン、彼女はジェンシー。ふたりともエクセリア国魔術師協会から推薦を受けて参加させていただきます。今回は名立たる優秀な皆さんと学べる事にとても興奮しております」


 ふたりは魔術師協会の中でも相当実力が高い実力派の魔術師だが、それでも今回この研修に参加した他のメンバーを見ると自分達は見劣りしてしまう。

 それほどに他の面々は魔力と個性が強すぎた。

 そして、最後のふたりの自己紹介となる。

 

「僕はロッド。そして、彼はアルツ。ふたりともボルトロール王国のマルーン商会所属の魔術師です。今回、汎用魔法陣の活用を覚えて、新しい商売に拡げていきたいと考えています。皆さんのお邪魔はしませんので、ひとつよろしくお願いします」


 若くて肌の黒い青年二人は南国出身だと一目で解る。

 ボルトロール王国に併合された南方諸国出身者だと想像できるが、マルーン商会に所属し、マルーン会長からの命令と言うよりもマチルダ王女の意思が強く働いて参加となった。

 やはり魔道具の商売となると商会が間に入って貰った方が商いとして都合がいい。

 彼らに期待されているのは汎用型魔法陣の技術を取得する側面よりも取り扱いやアフターサービスのための知識である。

 自分達にそれが求められているのも解るのか、出しゃばった真似はしない、そんな雰囲気を醸し出すふたりである。

 こうして、全二十一名の第一期研修生の自己紹介が終わる。

 濃い面々が集まったものだと思うハルだが、ここでハルは最初の指令を出す。

 

「まずは基本知識ね。明日から全員にサガミノクニの中高校程度の数学と英数字を覚えて貰いますからミスズさんも手伝って」

「へっ?」


 どうして自分がと思うミスズはまた眼を擦っている。

 少し時間が空くとウトウトとしてしまうミスズ。

 彼女に疲労が蓄積している事などハルはお見通しだ。

 彼女の心身を休ませるためにも、初めからハードなカリキュラムを課さなかった。

 

「今日はここの施設の使い方について紹介するわ。私について来て。そして、研修中、ここの宿泊施設を利用する人も案内するわ。ミスズさんはどうするの? フーガ魔法商会から通う?」

「ミスズさん、週四日はこちらに住み込みしましょう。通うのは時間的に非効率です」


 バリチェロから早くもそんな提案がなされる。

 どうしようか迷うミスズ。

 これにハルが助言した。

 

「ミスズさん、バリチェロさんが言うように住み込む方が効率的だわね。アナタがフーガ魔法商会から通いたいと(こだわ)るならば止めないけど、ここに住み込めば朝一から研修教育を進める事ができるわ。ミスズさんはサガミノクニ人。ソフトウェアだって基礎は解っているはず。魔法の部分さえ理解すれば、汎用魔法陣はコンピュータのようなもの、すぐに使えるようになるでしょう。それならば、アナタには教える側にも立って欲しいの。私だって全部はできないから・・・」


 悩むミスズだが、ハルから「ここに住めば通勤も楽よ」という台詞が決め手になり、結局、住み込みを選ぶ。

 彼女にしても休息が欲しかった。

 そんなミスズの欲求も心の読めるハルが理解して誘導したのは言うまでもない・・・

 

 

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