ドッペルゲンガー事件
《連続自殺事件に進展か》
《被害者にあった共通点、ドッペルゲンガーとは》
「ふーん。ドッペルゲンガー事件・・・か。」
零は先日から追ってる事件の掲示板を見ながらそう呟いた。
そして、近くに居た探偵の彩葉に
「またお前じゃねぇの?」
と聞くと、
「さぁね。怪奇現象に関しては私でも分からないよ。神話生物さん達なら大体分かるんだけどね。」
と、苦笑いしながら答えた。
彩葉は神話生物や怪奇現象を呼び寄せてしまう体質(?)で、神話生物以外だと呼び寄せた感じがしないんだとか。
神話生物に関しては勝手に家に遊びに来てたり、彩葉もしくは零が呼べば代償なしに来てくれる。
そのため、仲の良い神話生物達は連絡手段を持ってたり、ゲーム出来たりと現代に染まりつつある。
そして、そんな彩葉の助手をやっているのがラノベ作家の零だ。
零は怪異にとりつかれやすかったする。
正直、彩葉が呼べる神話生物の殆どは一回以上零に取り付いたり従者にしたり、神話的体験に巻き込んだ事がある。
そのため零は不気味な体験をしたり、神話生物を見たりしても発狂するほど驚いたりすることは少なくなった。
「なぁ彩葉、このドッペルゲンガー事件?なんか近くでも起きる気がするんだが・・・」
「お?まじか。・・・んでその根拠は?」
「ドッペルゲンガー関係の自殺とか変死体とか最初は一転に集中してたからシンプルに自殺したい人が集まって次々にぴょーん。かと思ったのよ。ドッペルゲンガーは勿論嘘だと思ってたよ。だけど個人的に追っかけてるうちに、自殺したはずの奴にあったのよ。」
零はそこまで言うと地図とペンを取りだし印を付けながら説明を続けた。
「そんで、死んだはずの奴を見たのが県境ね。そしたら二日後県境近くの笠井市でまた集団自殺。その数日後には二つ先の金井市で同様の事件。そしてつい昨日、オレらの住む神代市に死んだ奴が歩いていくのを見たわけだ。」
そう言い終わると神代市を丸く囲んでペンをしまった。
「・・・毎回集団自殺が起こってるならドッペルゲンガー一体だけじゃないってこと?数体数十体単位で居るとか?」
「その可能性を視野にいれといて損はないと思うよ。ただそうなるととてもめんどくさいことになるんだよね。」
「そうなんだぁ。・・・って、クトゥルフさん!?また来たの~?来客いたら大変なことになってるよ。」
「すまない。すまない。・・・それと、零。これから余り外には出るな。ドッペルゲンガーにいつ出くわすか分からないんだから。良いな?」
少年の姿をしたクトゥルフが零に詰め寄ると、零は何度も頷いた。
編集の人と会う以外は出ないと約束した。
「まぁ僕たちも何かあったらすぐに駆けつけられるように頑張るから。」
「分かった。じゃぁ明日打ち合わせあるからクトゥルフさん一緒に来てくれる?」
「分かった。・・・んじゃぁ今日泊まるわ。零。お前の部屋て一緒に寝ような。」
「・・・本来の姿になったり、神話的体験に巻き込んだりしなければ・・・な。」
零が少し警戒しながらそう言うとクトゥルフは元気に頷いた。