曲者たち
01 曲者たち
王都
その中心を占有する広大な宮廷
その中に点在する多数の宮殿
その宮殿の一つを訪れる、一人の男がいた。
「どうもどうも、ご無沙汰でございます侯爵様。
お目通り感謝申し上げまする」
「やあコンパルスさん、久し振りじゃないですか。
元気そうでなによりだ」
「閣下に於かれましても、ご息災なご様子で大変よろしゅうと存じます。
いやぁ、いつ来ても美麗でございますな、このグリヨン宮は」
「堅苦しい挨拶はいいですよ。
それより、今日は何用でしょう」
「土産物を一つ持参致しました、こちらでございます」
「ほう、琥珀のパイプですか」
「北のゾルクロース帝国産にございます。
なんでも、元はゾルクロースのとある伯爵家からの特注の品やに伺っておりますが、それが故に、決して市場など
には出ない代物なれど、手前共の裏のルートを駆使致しまして、どうにかこうにか入手した次第でございます。
そちらの吸い口の金細工は、名工中の名工と謳われる匠の手によるものだそうでございまして・・・」
「分かった分かった、幾らです?」
「はい、毎度お買い上げありがとうございます」
「代金は後でフランバールの方から受け取るといいでしょう。
で、今日はいつもの世間話はお聞かせいただけるんですかな?」
「はい、もちろんでございます。
畏れ多き公爵家に纏わるものなどちらほら・・・」
「カンブルース公か」
「いえ、トゥルネブーレ公爵閣下の方でございまして」
「トゥルネブーレ?」
「時に、先だってのロジェ伯爵様の噂の件は如何様になりましたでしょうか」
「ロジェ卿には、ずいぶん前にどこかの茶会で一度お会いしただけなんだが、国王陛下の支持勢力の一人でもあるし、
気懸かりではありました。
まあ、その後継者と思しき孫には何かと問題がありそうですけど、噂の元は取り除けたようなので、後は教会側が
動けば解決に向かっていく事でしょう」
「そうですか、それは大変めでたい事でございますな」
「それで、陛下のご子息におかれては、ご健勝であらせられるのでしょうか」
サンソワン侯爵のグリヨン宮を訪れたのは、コンパルス・フェブラルド。
侯爵のお抱え商人であり、情報屋でもある。
彼のもたらす情報は、これまでにも度々侯爵の行動に相当程度の影響を及ぼしてきた。
サンソワン侯爵家の当主・シトルーユ・バストラング・エスブルフューズは、現王権の支持勢力の中核の一人であり、
まだ24歳という若さながら、枢機卿という次期国王の選定にも発言権を持つ重要な役職にある実力者でもある。
それだけに、敵も多い。
現国王の親族の中には、次期国王の座を狙う者達が陰で虎視眈々と蠢いている。
同様に、支持者を勝利へ導こうと奔走する者、勝ち馬に乗り遅れまいと迷走する者、或いは自ら下克上を画策する者、
更にその下では、様々な思惑を抱く貴族達が追随している。
侯爵は、どこかに簒奪を企てる者がいないか、国内各地の動向に常に神経を尖らせていた。
地方の民衆達が起こす暴動でさえも、あるいは貴族による謀叛、国家転覆を企む破壊工作などと関連していないかを
確認するまで調査させ、その後の材料として蓄積する。
コンパルスはその有力な情報源なのだ。
商人が退席した後、シトルーユは、室内に控える近侍のフランバール・ド・アンサンシュール男爵に話しかけた。
「今の話、どう思うね、フランバール」
「はい、すぐには信じ難い事ではありますが、作物の生育にはあまり良い話ではないかと」
「雲行きが怪しいと」
「多少の水分ならまだしも、あの二人が結託するとかなりの大勢力になります。
どこかに楔を打っておきませんと、いずれは大雨が降り出す事になるのではと考えます」
「その後は洪水か。
早めに雨漏り対策を講じておかねばならぬという訳か・・・」
「ところで、彼等はどうしているかな?」
「既にアラルに向かって旅立っています。
今頃は喧嘩の真っ最中かも知れませんが」
「彼等は、カンブルースの尻尾でも捕まえてくれるかな」
☆
「腹減ったぁ、もう飯にしようぜ」
「まだお昼じゃないですよ、ルーちゃん」
「お前なんか食い物持ってねえか、タミヤ」
「持ってないですよ」
「そりゃそうだ、大飯食らいのお前が持ってたら全部自分で食っちまってるよな〜。
ハァ〜、町はまだか〜」
「ドングリならあるですよ、1個」
「俺はリスか。
しかも1個って、リスでも腹の足しにもならんわ」
街道を進む一台の屋根付き荷馬車。
御者席に座る男女、ルーエイとタミヤは恋人同士のように仲がいい。
タミヤは、明るいブラウンのロングヘアーに、太いカチューシャと青味がかった大きな瞳を持つ幼顔が特徴の少女で、
その顔から受ける印象のままに茶目っ気があり、快活であっけらかんとしている。
素直で裏表のないその性格は、多くの人から好かれ可愛がられる一方で、寡黙を好む人からは敬遠され易い。
二人の後ろ、荷台の椅子からフィンクがルーエイを窘める。
「あんたが寝坊したから出発が遅れたんでしょ、我慢しなよ」
「朝飯食ってねえんだぞ、俺は」
「だから自業自得だって。
どうせ次の町まで行かなきゃ食べ物なんかないんだから、ここでごねたって何も出ないよ」
「次の町って、あとどのくらいだよ」
「知らないわよ、タミヤに調べてもらえば?」
「よし、タミヤ、調べろ」
「出来ないですよ」
「なんで」
「ポポちゃんはお昼寝中です、夜しか飛ばないですよ」
「前は昼でも飛んだだろ」
「今は勤務時間外なのですよ」
「くそ、使えねえ鳥だな」
「じゃあ、他の鳥さんに聞いてみるんですよ」
ヘソを曲げるルーエイを見かねて、タミヤは空を見上げ、右手を高々と上に掲げた。
待つこと暫し、青く晴れ渡った上空に、小さく一つの点が見えるようになる。
点は次第に大きくなり、見る見るうちに鳥の形を成してきた。
「おいで、おいで、お、い、でぇ〜」
人差し指を立てた手を振ってリズムを取り、妙ちくりんな歌で呼び寄せた彼女が差し出した右腕に留まったその鳥は、
両翼で1メートルを優に超える大きな翼をバタつかせる大型の猛禽類だった。
「で、でっか・・」
その大きさにビビって腰が引けるルーエイの横で、彼女は笑顔で鳥の頭を撫でながら普通に話しかける。
「こんにちわ鳶さん、ちょっと見てきて下さいですよ」
これだけを聞き、鳶は再び羽を広げて空へ向かって飛び立った。
普通に見れば違和感だらけの光景。
これはなんだ?
しかも、猛禽の鋭く強力な鉤爪は、彼女の腕に傷一つ付けていなかった。
タミヤは、あらゆる動物を意のままに操る特殊な才能を持っている。
虫を除くほぼ全ての動物、その脳を支配して行動を制御し、感情を理解し、記憶を読み取る、または書き加える。
この能力を使う事で、彼女は様々な情報を入手し、遠く離れた仲間に伝える役割を果たす。
以前、ルーエイとフィンクの連絡係として活動したコノハズクは、このタミヤのペットのポポちゃんだった。
数分後、彼女は、腕に舞い戻ってきた鳶の目を間近でじっと見つめて言う。
「もうすぐ着くですよルーちゃん、あと1時間もかからないですよ」
彼女の目には、鳶が上空から見た光景がそのまま映っている。
鳶は高い位置から地上付近の獲物を探すので、地上の様子を俯瞰目線で広く捉えている。
その景色を鳶の記憶の中から呼び出し、眼球を通して写真のように見る事が出来るのだ。
「ありがとさん、で、ございますですよ」
彼女が礼を言うと、鳶は立ち去り、青空の彼方へ消えて行った。
☆
町で空腹を癒やし、活力を取り戻したルーエイは、意気揚々と午後の旅路に望む。
「そういやぁさ、俺等なんていう湖に行くんだっけ?」
「ミズウミ湖ですよ」
「軽やかに嘘をつくな」
「フィンちゃん教えてですよ」
「アルテレ湖だよ。
ベシュデメル伯爵領のアルテレ湖、そこに浮かぶトルフィニヨン島が問題の島」
「悪魔の島か」
「あんたが持ってきた情報でしょ、可愛い悪魔女子から聞いてね」
「地名までは聞いてねえぞ」
「南方にある大きな湖で真ん中に小さな島、その情報で調べたら、ピッタリ合った場所がそこなんだってさ」
「で、俺達に退治しろってなったのか」
「退治じゃないって、調査だって。
あんた、前も勝手に任務内容変更しちゃったよね」
「臨機応変て奴だ。
それに、その島にあの女以外にも悪魔が封印されてるって話は聞いてねえぞ」
「でも、古い神殿がたくさんあるのは事実らしいよ。
しかも、今は誰も近寄らない。
一体何を祀ってるのか、いつ誰が作ったのか、知ってる人はほとんどいないのよ。
だから、調べておく価値はあるって判断したんでしょ」
ルーエイとフィンクが携わった前回の任務で、黒幕として暗躍していたサキュバスのアルダート・リルは、その島の
神殿の一つに封印されていたと語った。
そこから、では他の神殿には何がある、という疑問が生じるのは必然で、その確認のために再びの出番となった。
今回、その任務に加わったタミヤは、その内容や経緯についてはよく知らないし、たいして興味もない。
「ねぇねぇ、湖って泳げるですか?」
「泳ぐも何も、お前水着持ってねえだろ」
「裸で泳ぐですよ。
ルーちゃん見たいですか?、私の裸」
「見るだけか?、乳揉ませろ」
「いやん、ルーちゃんエッチいですよ」
「おお、愛いヤツじゃ、この、この」
「キャハハハッ」
ルーエイの下ネタにキャッキャと楽しげにはしゃぐタミヤ。
それを、鬱陶しく思っている男が後ろの荷台に乗っていた。
「うるせぇぞてめぇ等、黙ってろ」
振り返って荷台の中を覗き込みながら、ルーエイがフィンクに愚痴る。
「なんだ、いつにも増して機嫌悪いな、ベルエールのヤツ」
「昼ご飯の時、焼き魚注文したら売り切れだったんだってさ」
「それでふて腐れてんのか。
バカじゃねえの、飯が食えるだけありがたいと思え」
「うるせぇルーエイ。
誰がてめぇの分も金払ったと思ってんだ」
「自分のお金でもないくせに」
「てめぇも黙れフィンク」
「なによ、それでリーダー気取ってんの?
偉そうにしないで欲しいわね」
「やかましい、俺だって好き好んでてめぇ等と一緒に仕事やってんじゃねぇんだよ。
文句があるんならあの坊主に言え」
「坊主はあんたでしょうよ。
大体、この任務に不満なのはあんただけじゃないんだよ。
子供みたいに周りに当たるんじゃないわよ」
「俺に説教すんじゃねぇ」
不機嫌なベルエールという男は、ボサボサのブロンドヘアーで、祭服のスータンに似た黒い服装を身に纏って荷台の
奧でふんぞり返っている。
前髪に隠れそうな目つきは悪く、口には咥え煙草。
見てくれの悪い神父に見えなくもないのだが、その言動は戒律などとはとことん無縁だ。
一度機嫌を損ねると、まるで世の中の全てが気に入らないかのように悪態をつく。
更に、不満を持つ者が荷台にもう一人。
「全くです。
見たくもないのにずっと顔を突き合わせねばならない、こちらの身にもなって欲しいものです」
「ルルート、それあたしに言ってんの?」
「他に誰が?
悪魔を体の中に棲まわせるなんて下劣極まりない。
およそ人間のする事ではありません。
今すぐにでも神の裁きをくれてあげたいくらいです」
「スカートのスリットから太股丸出しのヤツが聖職者面するな、このニセ宗教家」
「正真正銘エクソシストです。
なんなら今すぐ証明してみせましょうか、あなたの体で」
「あんたを殺したら、さぞ快感だろうね」
「サ、サドが快感だなんて・・・、この変態」
「変態はお前だアホ」
こちらも、一見すると修道服っぽい黒い衣装を身につけ、黒いフードを被っていて、聖職者と勘違いしそうになる。
ただ、かなり着崩している上に、長い墨色の髪を隠していないので、このルルートもまた正規の修道女ではない。
さりとて、元々は超天才祓魔師として故郷では知らぬ者がいないほどに有名を馳せた修道女だった過去を持つ少女で、
ドロップアウトしたからといって神への信仰を失った訳ではない。
故に、体内に悪魔を憑依させているフィンクとはまさに水と油の関係で、事ある毎に反目し合っている。
この、ベルエールとルーエイの男性二人と、フィンク、タミヤ、ルルートという3人の女性が、今回の任務で活動を
共にする事になるのだが、その人間関係はお世辞にも良好とは言えない。
☆
その日の移動を終え、宿に着いた一行。
隣接する納屋で、一日馬車を牽いてきた馬の世話を終え、旅籠に戻ったタミヤに、ベルエールが指示を出す。
「おいタミヤ、定時連絡だ、ポポちゃんを飛ばせ」
「どこに飛ばすですか?」
「あの坊主の所に決まってんだろ」
「坊主?、アンちゃんですか?」
「ああ、そのアンサンだ」
「なんて伝えるですか?」
「適当でいい、晩飯のメニューでも伝えとけ」
「了解ですよ」
夕食の後、男性陣の泊まる部屋に集まった5人は、今回の任務について意見を述べ合う。
はずだったのに、タミヤはすぐにルーエイのベッドで横になって眠ってしまった。
悪魔が封印されているかも知れないという島へ行くのだから、目的はやはり悪魔に関する調査になるのだろう。
口火を切ったのは、任務に不満たらたらのベルエール。
「そもそも、悪魔の調査なら俺の出番はねぇ。
ルーエイとフィンクだけいれば用は済むはずだ。
悪魔に敏感に反応出来るのはてめぇ等だからな。
連絡用のタミヤと、万が一のためにルルートを加えるのは分かるが、俺に何しろってんだ」
フィンクが答える。
「あんただって元助祭なんでしょ、その辺で期待されてんじゃないの?」
「てめぇ、なんでそれを知ってる」
「アンサンが言ってた」
「あのクソガキ野郎、余計な事言いやがって」
「あんたの過去はどうでもいいのよ、詮索しないのがあたし達のルールだからね。
でも、この任務を任されたって事は、あんたにも役目はあるって事だよ」
「ケッ、めんどくせぇ」
ルルートの言葉には特定の個人を誹謗する内容が含まれる事が多く、フィンクの意見の方が至極妥当に思われる。
「私には分かりません。
私とルーエイなら分かりますが、穢らわしい悪魔憑きと一緒に仕事なんて信じられません」
「あんたとルーエイがペア組んだら仕事になんないでしょ。
お互い性格破綻者同士なんだから」
「失礼な、私は性欲満タン女子じゃありません」
「嘘をつけ、始終妄想だけ女のくせに。
スケジュールがグダグダになるのが見え見えなのよ。
片や女の子のお尻ばっかり追いかけてるし、片やちょっと雨が降っただけですぐ外出中止するし」
「スケベホールがグジュグジュの見え見え・・・、ああ、なんて破廉恥な」
「あんたどんな耳してんの、誰か一遍医者に診せてやってよ」
「どんな乳してるって・・、しかも誰かに見せてやれだなんて。
やっぱりあなたは最低です、最低の悪魔です」
「誰かお願い、こいつのドタマかち割って」
ルーエイは、相変わらず飄々と自分の都合だけを通そうとする。
「いいよ、ベルエールなんか要らねえよ。
こいつがいると酒が不味くなる」
「こっちこそ願い下げだ。
だが、今回はてめぇ等の失敗が直接俺の報酬に響くからな。
勝手な真似は絶対許さねぇぞ」
その言葉でフィンクが閃いた。
「なるほど、それで分かったわベル。
あんたの役目はルーエイの監視よ。
あんたがいなかったら女の操が守れないもん。
ルルートはどうなってもいいけど、タミヤは守ってやらなくちゃね」
「ふざけんな、俺は貞操帯じゃねぇ」
「フィンク、お前俺に何の恨みがあってそんな事言ってんだ。
こんな仏頂面に付き纏われてたまるか」
「あんたみたいな風来坊にはこれくらいの重しが必要なんだよ」
「てめぇ、何気に失礼だな。
どいつもこいつも勝手な事ばかりぬかしやがる」
「どんなに文句言ったって、あんたがこのメンバーのまとめ役だっていうのは変わらないんだよ。
立ててやってんだからちゃんと仕事しなきゃ、一番年上なんだし」
「アホくせぇ、こんな時だけ年功序列か。
それを言うんならアンサンを連れてこい。
ヤツは俺より年下だ、こき使ってやる」
「バカ、あっちは男爵様だって」
彼等は、これまでに与えられた任務の多くを、それぞれ個別に個人でこなしてきた。
ルーエイの場合、前回も含めて過去に数度二人でペアを組むケースがあったが、相手は決まってフィンクだった。
彼がどんなに女好きでも、フィンクにだけは手を出せない理由がある。
ベルエールがコンビで動く時はルルートがパートナーを務める場合がほとんどで、共に一度は宗教に関係した経歴の
持ち主であるため思想的に近く、他に比べて意思の疎通が図り易いのがその主因。
タミヤは連絡要員なので基本的に現場には出ないし、出ずともその役割を果たせるだけの技量を持っている。
ルーエイとベルエール、またはフィンクとルルートが組んだ事は未だ一度もないし、確実に今後もないだろう。
そんな5人が一同に揃う事に不自然さを感じるのは、フィンクだけではないはずだ。
「でも、全員揃って一つの任務って珍しいよね、初めてじゃないかな」
「全員揃ってねぇよ」
「そうなの?」
「ああ、あと一人いる、俺も一度も会った事ねぇのがな。
知っているのはアンサンだけだ、知りたきゃヤツに聞け」
「まあ、それはそれとして、今まで別個に活動してきたのが集められたんだから、よっぽどなんじゃないの?
やっぱり、その島の神殿全部に悪魔が封印されてるとかって考えてんのかな」
「悪魔に関する調査は何度かあったが、ほとんどは貴族や教会の汚ぇ奴等が淫行を隠蔽する騙りだった。
実際にルルートが悪魔祓いをやったのは1回だけだったな」
「そうですね。
あと、私一人の時に1回イキました」
「変態の経験談なんか聞いてない。
あたしは3回あったよ、この前のはルーエイが勝手に片付けちゃったけど」
「てめぇは、ルーエイ」
「俺はサキュバスちゃんだけだ。
悪魔なんて関わりたくもねえが、この前みたいなのだったら大歓迎だ」
「つまりは、今度は今までとは違うぞって事なのね」
「さぁな、本当に悪魔が封印されてる保証がどこにある」
「どういう意味?」
「要するに、侯爵は任務以上の収穫を期待してるって事なんだろうよ。
めんどくせぇ話だな」
チーム内に不和を抱えつつ、彼等はベシュデメル伯爵領を目指して、街道を南へ進む。
新たな任務が始まる。
続




