夏休みの読書
感想文を書くことのない気楽な読書生活は素敵。
怒涛の六月を過ぎたら、仕事が過熱気味の七月へ。
文フリ文学短編賞にエントリした勢いでホラーを書こうとしたら、こけました。
どうにも納得できないものしか書けず、あーあー……と絶望気味でお盆を迎えようとしていました。
そんなとき、中三の娘が本を買いに行こうと私を誘いました。
「お盆中に読むんだ」と。いや、あんた受験生だし、部活もじつはまだ終わってないし、一学期の成績アレやったやん、という母のツッコミもものともせず、財布をつかんで譲らない娘と市内の書店へ。
娘のお目当ては、もっか夢中になっている『櫻子さんシリーズ』。ほくほくと文庫を二冊手に取ってあとはハードカバーを買うかどうか迷ってました。
私は、ここのところ旦那には本を買うなと言われていたので、どうしようかなあ……と棚の間をぶらついていたのですが、どうしても読みたかった新刊が目に入ってきました。
近藤史恵/著、『スティグマータ』。
大好きな自転車小説シリーズ、最新刊。おおおおお、またチカ(主人公、ほんとは誓・ちかう)がツールを走るんだ―、伊庭も出るんだ―、ぎゃーっっと辛抱たまらず買った次第。
それから、大好きな沢木耕太郎さんの文庫、『旅する力』。
娘もプラス、『アリス殺し』を購入。二人して
「おとうさんにはナショね」といいつつ帰宅。
ここのところ、読書から離れていました。書くのが精いっぱいで、読むものといえば資料になるものだけで、物語やエッセイ、ことに書籍といわれるものはほとんど手に取りませんでした。
読めるのかな、と正直不安だってのですが、『スティグマータ』の一ページ目を読み始めたら、そんなのは杞憂だったと知らされました。
相変わらずチカはナイーブだなあ……とか、おお、二コラ元気だったかーとか、伊庭は仏頂面がよく似合うとか懐かしい友人と再開した気分でグイグイと物語に引き込まれました。
お盆中は、そんなわけでツール・ド・フランスを走っていました(笑)
『弱虫ペダル』よりも先に、『サクリファイス』から入っていた私は、このシリーズが大好物なのです。
読んで良かった。ああ、風を感じたわー。続きはまた書いてくださるだろうか、それまでまた『サクリファイス』から読み直すか……とうっとりしました。
今は『旅する力』が終わろうとしています。夜寝る前に布団で読む最高のひと時。
もともと、わたしの筆名は猫の名前・たびと旅行のタビがかかっておりまして。インドア派なんですけど、一人でウロウロする旅が大好きです。
海外へバックパッカーで出かけるほどの度胸はないので、沢木さんの『深夜特急』にはどれほど憧れが詰まっていたか。また、そこから沢木さんの本をなめるように読みつくした日々はとても幸せでした。
読んでいる最中に娘から「その本、そんなに面白いの? どこが面白いの?」とさんざん聞かれました。
「えーとね、沢木さんの本はこの一冊でも充分に面白いけど、沢木さんの他の本も読んでいると、こぼれ話のように自著のことがポロリポロリと出てくるのが、なんともファン冥利につきるのだよ」と語り終えるまえに娘は姿を消していたのでした。
沢木さんの本を読んでいるといつも思う。
とても大きな、沢木さんの世界に包まれている、と←沢木さんふうにまとめてみました(笑)
ちょっとは元気がでたかな、じぶん。
読み終わったら、娘さん熱烈ご推薦の『君の膵臓を食べたい』を読む予定です。
ゆっくりとまいりましょう