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あしたの糧  作者: たびー


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映画と映画館

最近、映画館へよく行くようになりました

 向田邦子は手を挙げてタクシーを止めるとき、運命論者になる、といった文章をどこかに書いてあったかと思う。

 わたしは、映画のチケット予約をするときの座席選びのときに、その一文を思い出す。

 できればスクリーンの正面当たりの席がいい。おお、真ん中の列の真ん中あたりがまだ売れていない。じゃ、ここにするか。いや、一番後ろでゆっくりしようか。二人掛けのところ、一人分だけ買ったら大人気の映画でない限り、隣に座らないだろう……いろいろと考えて座席をポチる。

 そして、いざ開演前に座席を探して座ろうとしたときの前後左右、メンツを確認。

 で、なんでおまえさんは他にも空いているいるのに、わたしのすぐ隣を選んだ?


 てなことに、なったりならなかったり。


 わたしが生まれ育った町には、映画館が二館・3スクリーンあった。けれど、「もののけ姫」の公開後あたりに、最後のスクリーンが閉じてしまった。

 その後、数年は盛岡まで見に行っていた。現在は北上にシネマコンプレックスがあるので、使わせていただいている。


 その昔、高校生だったときのことだ。当時からオタクのわたしは「月刊アウト」の情報コーナーから盛岡で「カリオストロの城」の上映会があることを知った。

「カリオストロの城」は公開当時、あまり動員数も売り上げもなかった作品だったはずだ(とくに、ルパンの顔といえば、テレビのほうが印象に強かったし、宮崎ルパンはちょっと異質に見えた※個人の感想です)。

 しかし、その後に「あれは名作」という声がちらほらと聞こえてきて、オタクだったわたしはぜひとも見たいと思ったのだ。

 上映会はたぶん、オタクのお兄さんお姉さん有志が開いてくれたものだったろうと思う。

 映画館ではなく、旧教育会館の会議室などで、スクリーンもさして大きくなく、パイプ椅子を並べただけの【劇場】だった。座席も50前後くらいじゃなかったかな。

 こぢんまりしたスペースで、見知らぬ人たちとカリオストロをみんなで笑いながら見た。

 今でも思う。あれは不思議な連帯感があった。

 どうしてもカリオストロが見たい、という人たちが集まっていたからだろうか。

 見知らぬ同士が一つ所、同じ時間に集まって、映画を観る。

 ただそれだけなのに、とても居心地がよく、まるで長年の友人と並んで映画を観ているような気持になった。

 その後も、そんな自主上映会があるたびに盛岡へ足を運んだ。ちなみにひとり。


 映画はひとりで見に行くことがほとんどだけれど、実のところ観客全員でなんていうか「この回を見るメンバー」の構成員で、一緒に泣いたり笑ったりのかすかな一体感があればいいなあと毎回思う。

 エンドロールは最後まで見て、場内が明るくなってから立ってくれたなら、あなたはわたしの仲間だ、なんて勝手に思う。


 だから、座席を選ぶときも慎重にさまざまに考え思いを巡らして選ぶ。


 さて、今日のお隣はどんなひとだろう。一緒にみるみなさんはどんな風だろう。

 二時間あまり、よろしくお願いいたします。

 

父は映画好き。

中学生の兄とわたしを連れて「スター・ウォーズ」(エピソード4)を花巻の中央劇場へ連れていってくれた。

中央劇場は、拙作「犬と老女と映画館」の映画館のモデルだ。エントランスの雰囲気とか、頑張て思い出して書いた。暖房設備、石油ストーブ×2台?だった。二階席もあったように思うが記憶違いか。

スター・ウォーズ、全作を封切り当時の映画館で観た。

エピソード9をわたしは娘と、兄は息子とそれぞれ観に行った。長い道程だった。

父は今でも、むかしの西部劇をBS放送で見ている。


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― 新着の感想 ―
映画館て少し狭いくらいの方が雰囲気が出るというか、他のお客さんとの連帯感が出る気がします。 入れ替え制の大きな映画館が大半になって、効率はいいのでしょうけど人情味と気楽さは無くなったなぁと。 映画館で…
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