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あしたの糧  作者: たびー


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『フルサトRadio』をめぐる、あれこれ

息の長い作品となりますように。

 本作を書いたのは、2014年8月でしたから、すでに六年近く前になります。

 流れの早いネット上にあって、いまだに読まれる幸運に恵まれた作品のようです。

『フルサト』は、有志コンテスト「あなたのSFコンテスト」のために書きました。

 当時のわたしは、前年の四月にpixivにおいて二次作品を投稿して、みたび筆を執ったばかりでした。いずれ一次をまた書きたいと思っていたので、いちおうこちらのサイトのことも知っていましたが、当初は二次作品ばかりで、オリジナルとは無縁の世界。しかし、紆余曲折を通り抜け2013年秋からオリジナル作品『ソラとカナタ』を書き始めて、ようやくこちらに登録とあいなりました。


 コンテストは、2014年春からエントリー受付でした。

 いま思えば度胸があったと思うのです。なんせ、完結させていたのは前出のソラカナだけ! 続編の『かすかに光るもの一つ』を書き始めたあたりでした。

 とりま、エントリー。自己紹介のところの代表作の欄には、ソラカナと書いた覚えが。だって他にないから。


 その時、なにを書くか決めていませんでした。それで半ば行き当たりばったりで『銀の願い 青の想い』をスタートさせましたが、今現在も完結していません。ええ、頓挫しました。


 焦りました。すでに締め切りが近かったのです。というか、残り一週間。

 やると決めたのに、きちんと参加できそうにない……と混乱したわたしは、コンテストの規定が一人二作までというのに一縷の望みを託し、短編を書くことにしました。

 そして出来上がったのが、『フルサトRadio』でした。

 ※ 実際は、掌編カテゴリに参加。


 当時の我が家ですが。

 夫……無職、二度目の職業訓練校通い。

 娘……中学一年生、一学期の成績が下から数えた方が早かった。

 私……自営業。仕事・家事・育児を一人できりきり舞い。


 そんな最悪な状態でしたので、わたしの唯一の息抜きが小説を書くことだったのです。

 スキマ時間を使っての執筆でしたので、フルサトの大半も仕事の移動中、ハンドルを握りながら考えました。近所の、ことに農家の多い地域を回るときなど、周囲の様子を観察するようにしました。


 締め切りの8月31日日曜日の夜に、にようやくアップして、なんとかコンテストに参加を果たしました。

 ※ 正確な締め切りは翌日だったのですが、当時のわたし、テンパり過ぎていたようで、ちっとも気づかなかったのです。


 アクセス数を見るに、ふだんより読まれているなあーなんて、ぼんやりしていたら、専用の掲示板に感想がどんどん書きこまれるようになり、Twitterでも読了が流れるようになってきました。


 あれよあれよという間に、自己最高記録を次々に塗り替えていきました。

 そして、わたしの戸惑いも大きくなっていったのです。


 わたしは、ほんとうにただ身近なことを書いたつもりでした。

 りんご畑のことも、オトウサン・オカアサンの会話も、農村の風景も、ラジオの放送も、県外で暮らしたことのないわたしが、周辺雑記の延長……みたいな感覚で書いたものでした。


 しかし、読み手のみなさんの反応は、あの自然災害を作品から読み取りました。

 わたしは、ほとんど意識していなかったことです。一応、津波の放送のシーンがあるから、資料で読みましたが、決してあの災害のことを書こうと思ったわけではなかったのです。ここ、強調します。


 反響が大きいぶん、実際に被災した方からは、手厳しい声もきかれました。


 いや、違うんだ、違うんだ。 そう叫ぶことにも疲れたわたしは、もう半ばあきらめ


「ええ、そうなんです。これはあの災害をモチーフにしたんです」


 と、ある意味、迎合することにしました。ここに至るまで、悩みました。コンテストも途中で降りようかとも思いました。いっそ削除して、なかったことにしたいとも思いました。


 作品は世に出してしまったなら、「どう感じようとも、お好きに」ということなのだと、このとき痛感しましたし、自作で傷つく人もいるのだということを思い知らされました。


 子どもや動物を出せば、涙をさそう物語になるだろうと、「狙って書いたのでは?」というコメントもありました。

 何を言われようと、そう受け止められたら、その人にはそうなること。

 作者とはいえ、テーマを読み間違えないでください、なんて言えないのです。


 今は、当時のことも冷静に振り返ることができます。

 当時の辛さは、その後の自分のありようにも影響を与えたように思います。


 ただ、年々おばちゃん化している昨今、加齢と共に神経が図太くなっているので、わりとなんでもどんとこいです。

 むしろ、あの頃の繊細さが懐かしいです。


 

その後、旦那は就職し、娘は高校を真ん中くらいの成績で卒業しました。

わたしは、いまだにフルサトを超える作品を書けずに、もがく日々です。

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