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相棒の健康管理とジュエリーショップ

********


 そんなこんなで、彼女とオレが抱き合っていたらお腹が空いて我慢出来んようになった相棒が足元へ来て抗議の声を上げていた。


「チビちゃん。お腹空いたんやね。ごめん、ごめん!」

「こいつはきっちりこの時間に飯が出てこんかったら、ずっとオレの耳元で鳴いてるからな!」

「フフフ♪ 休みの日もゆっくり寝られへんね」

「そうなんや! まぁ、生き物と暮らしてる運命っちゅうやつやわ」


オレは膝から彼女を下ろして、部屋着を身につけて相棒の皿に缶詰を入れてやった。かなりお腹が減ってたらしくて、凄い勢いで平らげてからもっとくれと催促していた。


「去勢後は気をつけてあげんと、太りすぎる子が多いみたいやからご飯もやりすぎんようにせんとあかんよ」

「そうなん? そらあかんわ! チビ! 食い過ぎたら太るからお代わりは無しや!」


『ミャーン! ミャーン!』


彼女に言われてオレが缶詰にラップをかけて冷蔵庫にしまおうとしたら、相棒が足元でどうでもええからもっとくれと鳴いて訴えていた。


「こんな時はどうしたらええん?」

「缶詰やから、あと少しくらいはあげても良いと思うよ」

「後少しやったらええんやて! 良かったな♪」


『ミャーン! ミャーン!』


しまいかけた缶詰をもう少しだけ皿へ入れてやると、相棒は機嫌よく尻尾をゆらゆらさせながら、今度はゆっくり味わって食べているように見えた。


「猫のご飯も色々あるから、あれやったら去勢した後のカロリーコントロールが出来るご飯を今のご飯がなくなったらあげてみたらいいと思う」

「そんなんもあるんやな! 昔はご飯の残りもんとかを平気であげててんけどなぁー! こいつらも贅沢になったんやなぁー」

「フフフフ。ほんまやね♪ 病気の子用の処方食とかも最近、すっごい増えたしね」


彼女のアドバイスにオレが感心していると、缶詰を食べ終えた相棒がオレと彼女の間に座って満足そうに毛づくろいを始めた。


********


 相棒の腹が満たされて静かになったので、オレと彼女はシャワーをあびて少し遅めの朝食を食べていた。


「そや! 今日は病院は? 手伝わんで良かったんか?」

「うんうん。今日は休みをもらっててん。誠二さんとたまには日曜日も一日一緒におりたかったから」

「そやったんや! ん? 最初から泊まる気やったんか!?」

「そういうことになるかもね。フフフ♪ それよりも、昨日の話を蒸し返すみたいであれやけど、ほんまに絶対待ちくたびれて他の人を好きになるなんてことは、無いよね?」


昨日にも増して彼女は真剣な眼差しでオレの気持ちを確かめていた。


「わかった。わかった。そんなに不安やったら指輪買いに行こう!」

「えっ!? 指輪?」

「そうや! 婚約指輪や! いらんか?」

「いる! 欲しい!」


 なんかことが済んだ後にすぐに婚約指輪って、オレの罪滅ぼしみたいに思えて気が引ける気もしたんやけど。あまりにも彼女が不安そうな顔をするもんやから、オレは婚約指輪を彼女と買いに行くことにした。


********


 急いで出かける用意をして、相棒には留守番してもらって商店街の中にあるジュエリーショップへ彼女と向かった。日曜日の商店街はそこそこ賑わっていて、お店へ入るとけっこうカップルがショーケースの前で指輪や他のアクセサリーを吟味していた。


「ほんまにええん?」

「ええんや! 気にせんと選んでや!」


しばらく店内を見て回っていた彼女は何かを見つけたようで、ジッと立ち止まって動かなくなっていた。


「どうしたん?」

「指輪じゃないとアカン?」

「なんで? どうしたんや?」

「あれ……あれがええなぁって」


彼女が指差したショーケースには、大小の猫が二匹寄り添っているなんとも可愛い二つのペンダントトップが飾ってあった。


「あれにしよか?」

「ええの?」

「ええよ!」


 オレがすぐに店員を呼んで包んでもらおうとしたら、彼女はすぐに身につけるからと、小さいほうの猫のペンダントを手に取って嬉しそうに身につけていた。


「チビちゃんのお陰で知り合えたから、なんかこれがしっくりくると思ってん」

「そういうことか。確かにそうやな!」


 彼女の言葉に深く納得させられて少し恥ずかしかったけど、オレにも大きいほうの猫のペンダントを彼女につけてもらってから黙って手をつないで店を出た。


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