男のプライド
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夕食の用意をしている彼女の真後ろに立ったオレは彼女の耳元にふっと息を吹きかけてから耳たぶを甘噛みしてやった。そして、少し服の上から発育中の形の良い乳房を両手に一つずつ優しく包み込んで軽く揉んでやった。もちろん、包丁を持っていなくて使い終わったまな板を流しで洗っている最中を狙ってだ。
「きゃっ!? やだ。誠二さんのエッチ!!」
「成り行きに任せてくれるって言うから……オレも少しは男の本能に忠実になろうかなぁて思っただけや。フフフ」
彼女の反応が初々しくて、調子に乗ったオレがついつい彼女のスカートの中へ右手を這わせて下着に手をかけようとすると、さすがに彼女は驚いたようでキュッと身を縮めて少し震えていた。
「せ、誠二さん?」
「フフフフ。冗談や! ごめん。ごめん。ちょっとな、オレもあのチカン野郎と同じ男なんやってことをユイちゃんに知っておいて欲しかったんや!」
「……ごめんなさい」
「謝ること無いんやで! これが普通の反応やねんから」
彼女と話しながら、オレは心の中で彼女が拒んでくれて良かったとホッとしていた。もし、彼女があのまま大胆にもオレを受け入れて行為に到っていたら、オレは確実に女性不信に陥ってしまったかもしれない。
「誠二さんが嫌とかじゃないから……ちょっと怖かっただけで」
「言わんでもわかってる。大丈夫やで、それでええねん。オレの方こそ、怖がらせてごめんな。その避妊具の意味をよくわかって欲しくてな。あとは、つまらん男のプライドのせいなんやけど」
「男のプライド?」
「そうや。ここんとこずっと、オレの方がユイちゃんに翻弄されてたからな(笑)少し意地悪してやりたくなったんや!」
正直な気持ちをオレが彼女に話してやると、彼女はほっぺたを膨らませてオレの胸を軽く叩いて怒っていた。
「酷い! 意地悪やったん? もう! 誠二さんのイケズ!」
「ごめん! ごめん! ほらっ! 鍋! 鍋! 吹きこぼれてしまうで!」
「あ! ほんまや! 失敗したら誠二さんの責任やからね!」
「はいはい。失敗しても、責任持ってオレが全部食べます」
彼女は慌てて火を弱火にして、手馴れた手つきで肉じゃがを味見をしてから、オレに顔を近づけて軽くキスをして「美味しいでしょ?」 と言ってニッコリ笑っていた。
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夕食を済ませて片付けはオレがするからと、彼女には相棒の相手をしてもらっていた。片づけをオレが済ませて、遅くならんうちに家まで送っていこうと思って彼女を見ると、疲れていたのか? 彼女は相棒とベッドで横になって寝てしまっていた。彼女が相棒とあまりにも気持ち良さそうに眠っていたので、オレは彼女の母親に今夜は泊まるとメールを送っておいた。すると、五分と経たないうちに返信されてきたメールの内容にオレは「なんでやねん!」と突っ込みをいれていた。
[了解しました♪ ユイもいよいよロストバージン? あ! でも、卒業まではちゃんとゴムはつけてもらってね♪ ママより]
開いた口が塞がらんってこういうことを言うんやなと思いながら、オレは自分の口をゆっくり閉じて、彼女のスマホをテーブルに置いてため息を吐いた。それから、オレは彼女に布団を掛けてやってから、いつもの様にシャワーを浴びて缶ビールを片手にテレビの音を少し小さくしてソファでくつろいでいた。
「誠二さん? 今、何時?」
「あ。起きた? もうすぐ日付が変わるで!」
「え!? そんな時間?」
「大丈夫やで! お母さんには泊まるってメールしといた。そやから心配はしてないわ」
オレが目を覚ました彼女にスマホを手渡すと、母親からのメールを確認して彼女も苦笑していた。
「ママからのメール見て、誠二さんも開いた口が塞がらんかったでしょ? フフフ」
「わかるか? ユイちゃんのお母さんってなんか常識離れしすぎや! 普通はその歳で男のとこ泊まるなんか言うたらえらい怒られるんやで!」
「多分、ママが私を産んだ歳が十八やからやと思うんやけど」
「マジで? えらい若く見えると思ってん。まだ三十代やん!」
彼女の母親が十八の時に彼女を産んだと聞かされて、これまでの母親の行動や言動をオレはやっと理解することが出来た。
「それで? やっぱり帰る?」
「あ。泊まってええんやったら、泊まります」
「オレが我慢出来んようになっても知らんで!」
「泊まるってことはそういうことやもんね。一応覚悟はしておきます。フフフ」
結局、彼女は泊まると決めてシャワーを浴びて、オレのYシャツをパジャマ代わりにすると。その夜は相棒とベッドでスヤスヤと気持ち良さそうに眠ってしまった。オレはその横で悶々としながら窓の外が明るくなるまで眠れなかった。




