表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/30

デートというものは。


「俺……ここで過ごすことになるのかよ」

「別にスイは構わないよ。スイが、しっかり奏斗のお世話するから」



スイの真剣な表情からして、どうやら冗談ではないようだ。


まあね、スイみたいな可愛い女の子が毎日世話してくれるのは嬉しすぎることだが、それじゃあ彼女は出来ないだろう。それは、ごめんだ。



「……ん? スイ、あそこにある物は? 」



俺は何か光る物をみつけた。



「奏斗、これはーー」

「鍵じゃん! スイ、早く鍵を使って外して」

「……うん」



なぜか残念そうなスイ。


とりあえず、これで脱出できる。

ていうか今何時だ? 誘拐されたのは昼休み。とっくに学校は終わっているだろう。周りに何て嘘をつこう……?

”誘拐されました”なんて、誰も信じないだろう。





外に出ると、辺りはオレンジ色に染まっていた。



「奏斗……」

「何、スイ? 」

「お出かけの約束は……」



あー、そんな約束してたな。


チラッとスイを見ると、行きたそうな表情を見せている。

本当は休みたいけど……



「よし、じゃあ行くか」

「へっ? いいの……? 」

「あぁ。どこ行きたいんだ? 」



スイは俺の腕を掴んで、駅の方に走った。




駅の近くにあるショッピングモールに俺とスイはいた。


洋服を買ったり、雑貨を見たりとスイは楽しそうだった。



さっきまでは、俺も楽しかった。

今はーー



「え……、俺も入るの? 」

「だってスイ、よく分かんないから」

「お、俺も分かんねーよ‼︎ 」



スイは下着売り場に俺を連れて入ろうとしている。もちろん下着は、女性用。

こんな所に入れるわけがない。客は全員女性。絶対、嫌な冷たい視線を浴びることになる。



「お願い、奏斗」



上目遣いとか、卑怯だろう……。



「わ、分かった」

「ありがとう奏斗! 」



あーあ、言っちゃった。


もういいや。冷たい視線なら慣れている。大丈夫だ、俺。冷静になれ少年。



「奏斗、これがいいかな? 」

「え、あーいんじゃない」



横目で見ると、スイが見せてきたのは淡いピンク色に白いフリルにリボンをあしらった下着だった。



「本当? じゃあこれとー」



スイは楽しそうにショッピングしている。


早く、一刻も早く店を出たい。

出口に目を向けると、じっとこっちを見つめる人がいた。


嫌な予感……


も、もしかしてーー



「奏斗ーー⁉︎ 」

「ね、姉ちゃんっ⁉︎ 」



姉ちゃんは、全速力で走り思いっきり飛びかかってきた。そして、倒れこむ俺。

たった今、姉ちゃんに下着売り場で床ドンされている。これは、非常にまずい状況だよな。

周りの客は、俺のこの状況を引いた目で見ている。



「姉ちゃん、はなーー」

「奏斗、あなた午後の授業をサボって下着売り場で何してんのよ⁉︎ 」



ああー、どうしよう。

怒るのは無理もないよな。午後の授業をサボった奴が、女性用の下着売り場にいるなんて……


とりあえず、姉ちゃんを落ち着かせないと。



「姉ちゃん、あのな実はーー」

「奏斗、こっちはどうかな? 」



しまった!

姉ちゃんはスイを随分嫌っていた。


姉ちゃんを怒らすなんて、あってはいけないことだ。



「姉ちゃん、これにはわけがあって……」

「スイ、なかなかやるわね。奏斗に下着を選んでもらうなんて、私はスイを甘く見ていたようね」

「えっと……、姉ちゃん? 」



……あれ?



「まあ、いいわ。今日は、スイに奏斗を渡すわ」



姉ちゃんは、俺を無視してどんどん話す。

スイは、首を傾げるばかり。



「奏斗を、あなたは守れるでしょ? 」



突然、姉ちゃんは声のトーンを落とした。



「……はい」

「姉ちゃん、何言ってんだよ急にさ。スイも、真面目に返事なんかしてさ」

「私は奏斗が心配なのよ。じゃあね、2人とも」



心配って……、心配しすぎだろう。


でも、まあ何事も起きなくてよかった。







「奏斗、今日は付き合ってくれてありがとう」



暗い帰り道、スイは言った。



「うん、どういたしまして」



辺りは真っ暗で、一定の間隔で置いてある街灯の付近しか何があるのか見えなかった。


俺とスイの歩く音以外、何も聞こえない。


不意に冷たい風が吹く。



「ねぇ、奏斗」



スイは小さな声で言った。


そして、街灯の付近でスイは振り返えった。



「何? 」

「あのね、スイはーー」



バンと大きな音が聞こえた瞬間、スイの身体から赤いものが溢れ出た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ