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最近の悩みは。

ーーピピッ


室内に鳴り響くあの音。



「あー、うっさいな……」



と言いつつ俺は、左手を伸ばし目覚まし時計に触れた。


ゆっくりと体をベッドから起こし、リビングに向かった。

テーブルにはサンドイッチが置いてある。

きっと母さんが作ってくれたのだろう。手書きのメッセージも添えられているし。


俺はテレビをつけ、サンドイッチを口に運んだ。



今年から高校二年生。

俺、三咲(みさき) 奏斗(かなと)は一応このマンションで母さんと二人暮らし。一応というのは、母さんは全く家に帰ってこないから。……いや、帰ってきてはいるが顔を見せずまたどこかへ出掛けてしまう。



「まぁ、別にいい……けど」



最後の一口を口に入れ、俺は学校に行く準備をし始めた。


白いシャツに黒と白のストライプのネクタイに、グレーのブレザー。まるで喪服のような制服。

俺は、赤いリュックを背負って学校に向かった。しっかりと鍵を閉めて。




家から学校は30分程で着く。

俺が通う学校は、”私立白桜学園”。この学校は、学園都市をつくっており設備は充実していて結構いい。


……あることを除けばなんだけど。


いや、これは個人的な悩みなんだ。学校側にどうこうしてもらう問題じゃない。



「今日は会いませんように」



目をつぶって神にお願いことをした。……神などいないのに。



「あれ〜、キミは奏斗君かい? 」



ふと呼ばれたような気がして、後ろを振り返るとクリーム色の癖のある髪を一つに結んだ男子(?)がいた。


まるで、どこかの国の王子様って感じだ。




「そうですけど、誰ですか? 」

「あーボク? ボクは仁希(にき)だよ、初めまして奏斗君」



そう出された仁希の手は、まるで雪みたいに白く男子とは思えない綺麗な手だった。


俺は恐る恐るその手に触れようとした瞬間、なぜか俺は仁希の腕の中にいた。



「え、えっと……これはどういう事ですか? 」

「いや、キミに聞きたいことがあってね」



と耳元で囁かれくすぐったかった。


もしやこの人は、男の子が好きとかというホm……同性愛者か?

いや、ごめん。俺はノーマルなんだ。だからネクタイに手をかけるのはーー



「あら、そこの方。私の弟に手を出すなんて随分と度胸があるじゃない」

「ね、姉ちゃん⁉︎ 」

「あらあら、レナ先輩じゃないですか。相変わらずの弟好きで」

「気安く名前で呼ばないでくれる? 」



綺麗な黒髪のロングヘア。

上品な振る舞い。

すらっとした体型の美人顔。



「あーあ、レナ先輩が来なければボクは奏斗君と愉しめたのにさ。まぁ、いいや。じゃあね、奏斗君」



仁希は手をひらひらと振って、どこかへ行ってしまった。



「ねぇ、奏斗。アイツとは知り合いなのかしら? 」

「いや、違うけど」



不意に風が吹き、黒髪が左に流れる。それと同時に甘い香りがした。



白桜 レナ。俺の姉ちゃんであり、この学校の生徒会長でもあり、俺が一番会いたくない人でもあったりする。


両親が離婚し、母さんは俺を引き取り父さんは姉ちゃんを引き取ったから姉ちゃんとは高校が同じになるまでは、疎遠だった。


別に悪い人じゃないんだ。


ただ……

弟の俺が言うのもなんだが、姉ちゃんのブラコンを除けば何も問題はなかったんだ。



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