称号
引き続きよろしくお願いします。
7.称号
あれから武器屋に戻った僕と沙羅は沙羅の武器選びを始めた。
「で、なんだっけ近接武器の方がいいんだっけ?」
最初は確かにそうだ。しかし、
「その前に、沙羅の称号のスキルを教えてくれないか?今は名前しか分からないから」
本当は他の人の称号スキルを聞くのはマナー違反になるのだが、この世界で生きて行くためにはそんなこと言っている場合では無い。
「んーと、武器スキルが2つ、〈ラストスナイプ〉、これは両手銃だねー。〈スワンストローク〉これは細剣スキルだね。」
「パッシブスキルは?」
パッシブスキルとは覚えたら常に発動する能力のことだ。
「えーと、〈探求者の心得+〉だよ。AGIが+5されるね。AGIてなに?」
「AGIは簡単に言うと素早さだよ。しかもそれは+スキルだ。そこからスキルが進化することもある。」
どうも説明口調になってしまう。もう少し女子とかと話しとけば良かった。まあ同性の友達すらいなかったから出来るわけないか。
「素早さかー、スナイプで素早さってなんか矛盾してない?」
「あくまでもスナイプは両手銃の攻撃方法の一つでアサルトライフルのようにも撃てるよ。まあスナイプしかできない銃もあるけど、基本は大丈夫だ。」
AGIに両手銃に細剣か‥‥‥
「武器スキルの詳細を教えてくれる?」
「んと、ラストスナイプがスナイプモード時ヘッドショットすると稀に相手の残HPに関係なく、HPを0にする、だね。でもボスモンスターは対象外みたい」
‥‥‥なるほど。
「細剣は?」
「えとね、スワンストロークが白鳥座の形に細剣を瞬時に突き刺すんだってー」
白鳥座、え、白鳥座って10の星からなるんじゃなかったっけ?嘘、10連撃?えー、強すぎない?これ。
「つ、強いなそれ。それに武器スキルはこれから追加されることもある。相当強いぞ、それ」
すると沙羅は嬉しそうに微笑んだ
「えへへー、良かったぁー」
「まぁ、これで沙羅の最初の武器は決まったな」
「細剣、だね」
「うん、どうしても両手銃がつかいたいなら話は別だけど‥‥?」
あくまでも強制する気はない。沙羅が両手銃がいいと言うなら止めはしない。
「ううん、私は細剣にする。」
「そっか、じゃ早速買っちゃおう」
「すいませーん、この〈レイピア〉くださーい!」
沙羅が1000サン使い、細剣の初期武器レイピアを入手した。よし、
「これで武器選びは終わりだ。僕は次の街へ向かう。じゃ」
やはり少し早口になってしまう。喋るのは大丈夫じゃなかったのか、僕!
「ちょい待ち!」
「ぐえっ」
沙羅が急に僕の襟を引っ張った。
「えぇ、別々に行くつもりなの?!」
「え?うん」
そりゃそうだ。
「今の沙羅はおそらく飛ばされた高校生の中でもトップクラスのスキルを取得した。僕と行動したら僕が足手まといになっちゃうからね」
沙羅はポカンとした顔で僕を見た。
「へ?そんな理由?」
「そんなって、これ相当大事なことなんだ。経験値効率とかも全然違うしさ」
沙羅はよく分からないと言った顔で言った。
「経験値効率?とか関係なく、私が高坂くんと一緒に行きたいって思うの。」
「え、いや、ですから、僕と行くと色々と不便にですね?」
なんで敬語になってるんだ僕!
「高坂くんは私と一緒に行きたくないの?そうならそう言ってくれたらいいのに」
あれ?なんか怖いんですけど
「いや、俺からすると一緒に来てくれた方がありがたいなぁと」
「なら決まりだよー、何を難しく考えてんのさー」
ケタケタと笑う沙羅。
「まぁとにかく、よろしく」
「うん!よろしくね!」
こうして新しいパートナー沙羅と次の街へ行くことにした。