友達
前に比べるとちょっと短いかもです。
よろしくです!
6友達
「HPOの称号はその人の行動パターンから思考、性格を判定する。世界に名の通る心理学者達が作ったプログラムだ。間違うことなんてまずないんだ」
心理学者達の名前までは知らないからこう言うしかない。
すると明美という少女は当然僕に対して牙を剥く。
「だから!お前はなんなんだよ!」
「俺はさっきその子と武器屋で会った者だ」
「関係ねぇやつが口挟むんじゃねぇよ!」
「〈駒の動かし方を知る者〉か。たいした称号じゃないか。まるで女王様だな。」
「はぁ?だから口挟なっつってんだろ!お前そんなに沙羅に惚れたの?キモいんだよ!」
「あいにく、俺の好みは大和撫子なんでね。髪を染めてるような子はタイプじゃないんだ」
「そんなことどうでもいいんだよ!さっさとどっかいけよ!」
惚れてないって言っただけなのにこんなに罵倒されるのか‥‥‥。
「会話にならないな‥‥‥。別に良いじゃないか。そういう生き方、嫌いではないぞ」
「ち、違えって言ってんだろ!」
「ならその称号はなんだ?さっきも言ったが間違うわけが無いんだ」
とてもごり押しになってるけど構ってられない。
「‥‥‥知らねぇよ」
「‥‥‥そうか、しかし〈駒の動かし方を知る者〉を持ってるのはこの世界でお前だけだ。これは俺の予想だがお前、沙羅の他にも駒が、いるんじゃないか」
たかが1人を自分の為に利用したくらいじゃ〈性格〉として捉えるには弱い気がする。でもあくまで推測、人の事を馬鹿にしているのは事実だ。
「い、いねえよ!」
「‥‥‥お前、可哀想だな」
これじゃダメだ。もっと方法があるはず、と心でわかっていても僕の口は止まらなかった。
「‥‥‥もういい。沙羅もあんたも二度と私の前に現れないで」
「‥‥‥ああ」
ダメだ、もう完璧に悪役だ。
「ま、まってよ明美。わたしたち友達なんじゃ‥‥‥」
「‥‥‥沙羅も私のために動いてればいいのにさ。どっか行ってよ」
「じ、じゃあいままでは何だったの‥‥‥?」
「それこそ駒に決まってんじゃない。あんたがいれば逆ナンとかうまくいくしさ」
「そ、そんな‥‥」
沙羅が膝をつき泣きはじめる。
「はは、見事なクズっぷりだな。意外とこの世界でも立ち回れるんじゃないか?」
皮肉を込めて吐き出すように言った。違うだろ。クズは自分だ。他人の友情を崩壊させといてこの言いようだ。
「もちろんそのつもりだし、じゃね」
そう言って歩き出す。その足取りは迷いがまるでない。
「うぅ、もう、いい、見返してやる!明美のバーカ!」
泣きながら叫ぶその声が聞こえたかどうかは分からないけど、なんか吹っ切れたみたいだ。
「名前は?」
沙羅の言ったその言葉が僕に対しての言葉だと気づくのに少し時間がかかった。
「あ、高坂咲人だ」
「私は空音沙羅、武器選び手伝ってくれる?」
「もう、強制ではなくなった訳だし、怖いなら無理して戦うこともーー」
「違うよ」
泣き止んだのか、少し落ち着いた声で沙羅は言った。
「私、知りたいの、この世界の事。だから戦うの」
「まあ止めはしないけどさ」
ちょっと意外だった。このまま落ち込んで宿屋に篭るかと思ったが‥‥‥。あとなんでいきなり興味が出たのかわからん。
「なら戻ろっ?武器屋!ん?」
ニコッと笑う沙羅を見ると目は赤いものの、笑顔は輝いている。最後のん?はなんだ?
「あ、そーだ」
彼女は嬉しそうに手を動かす。すると一通の通知が僕に届く。
〈空音沙羅さんからフレンド招待が届いています。YES/NO〉
YESを押すと、俺と彼女はフレンド、つまり友達になるのだ。友達か‥‥‥いい印象があまり無いが、ニコニコと笑い続ける彼女に対しNOと言えるわけが無い。10分前の自分にこの気持ちを教えてやりたいよ。
〈空音沙羅さんとフレンドになりました〉
「よし、武器屋だー。あ、それと、この髪さ、地毛だからね?」
「へー、そうなんだ」
なんか素っ気ない返事になったが、そうなってしまったのは理由がある。おそらくさっきの「ん?」は称号が貰えたからだろう。〈決意の探求者〉それが沙羅の称号だ。どんなスキルがあるのか見当もつかないけど、この世界を知りたいと言った沙羅にピッタリだと思った。
あいつ、霧崎はどんな称号を貰うのだろうか。