武器
ちょっと長いですが
よろしくお願いします。
5.武器
HPOでの武器は短剣、片手剣、細剣(刺突系統)両手剣、片手槍、両手槍、片手斧、両手斧、片手鈍器、両手鈍器、拳、遠距離が片手銃(2丁拳銃可)両手銃(アサルトライフル、マシンガン系統など)、弓など様々な種類がある。モンスターによって多少の弱点の違いがあるものの、基本は自分の使いたいものを使えばいい。
霧崎は次の街へ行くと言っていたが、街どうしが繋がっているわけではない。街と街の間にはモンスターフィールドが存在する。戦わずに切り抜けることも可能かもしれないが、霧崎はこの世界を攻略する気だろう。出会ったモンスターとは戦うはずだ。
それに、僕たちはまだ初期スキルしか覚えていない。武器を装備するとその武器の基本的なスキルを使えるようになるのだ。ちなみに今は何も装備されていない。しかし、〈称号〉を貰うと自分に合ったスキルが使えるため、初期スキルは使わなくなるのが普通だ。昔の僕以外は、だけど。
説明口調になりつつ足を動かし来たのは武器屋。まだこの世界に来て時間があまりたってないせいか、人は数人しかいない。みんなパニックになってるのだろう。
「〈ロングソード〉を」
初期金額の1500サンのうち1000サンを払い、両手剣のロングソードを入手した。簡素な作りでいかにも初期装備という感じだ。結構重いな。
すぐに心の中でメニューと念じ、メニュー画面を目の前に出す。そこからロングソードを装備する。よし、準備は完了だ。
ふとこの武器屋にいる人達を見渡す。この世界に送られまだそこまで時間がたって無いことを考えると、全員この世界の攻略を考えているのだろう。ん?
「んー‥‥‥んむぅー‥‥‥」
何の装備を買えばいいのか悩んでる女子がいた。制服から見て僕の知ってる学校ではない。あ、ちなみに1500サンしか最初は無いため、武器を買うと防具を買えなくなる。
「片手銃?なんか弱っちそー、両手銃?ゴツイなー持てるかなぁー、弓もなんかなぁー」
明るい茶髪をサイドポニーにしていて可愛い、という感じかな。いかにも男受けが良さそうだ。
「あー、もうどーしよー‥‥‥」
「最初は遠距離武器より近接武器のほうがいいよ」
できるだけ自然に話しかけたつもりだがちょっと早口だったかもしれない。
「へ?あ、教えてくれるの?ありがとー」
にへっと笑う。小動物みたいだ。
「あ、でもー、モンスター?に近づくのは怖いかなぁーみたいな?」
「遠距離武器は弾や矢が別売りなんだよ。初期で使うには少し予算がキツくなる。」
「そ、そうなの‥‥‥」
「そんなこの世界を攻略したいのか?」
「あぁ‥‥‥いや、友達に私は怖いからって言われちゃって‥‥‥」
「え、だから?」
「代わりに私が戦うしか、ないじゃん?」
じゃん?って言われてもな。何を言ってるのか分からん。
「さっき、モンスターに近づくのは怖いって言わなかったっけ?」
「こ、怖いよ。だけど仕方ないじゃん。友達に頼まれたんだもん沙羅、お願いって!」
あ、だめだ。イライラしてきた。
「‥‥‥そんな友情もどき、この世界じゃ邪魔になるぞ」
「も、もどきって‥‥」
自分でもきついことを言ってるなって気づいてる。別に他人だ。ほっとけばいいだろ。でも、僕の口からは別の言葉が出る。
「そんなに大事か、その友達は」
「大事だよ!きっと明美だってそう思ってる!」
周りがざわつき始めた。しかし、なぜかイライラしたままだ。
「お前だけをモンスターと戦わせようとしてる奴がか」
「だ、大体、なんであったばかりの人に酷いこと言われないといけないの!」
「‥‥‥HPOは性格がそのまま、称号となって手に入る。その称号は公開情報だ。早い人だと取得してる奴もいる頃だろう」
そう、称号は公開情報だ。まあ称号の名前しか分からないから性格のすべてを知れるわけじゃない。しかし、大雑把には分かるだろう。取得者はまだ少ないと思うけど‥‥‥。
「フレンドに登録してると、称号は今でも見れる。まあそいつが取得してたらの話だけど」
すると紗羅という名の少女は手を動かし始める。
「大丈夫だよね、明美、大丈夫だよね‥‥‥」
すると目を見開き
「〈駒の動かし方を知る者〉?‥‥‥これって?」
うわ‥‥‥まんまかよ‥‥‥。聞いていてむず痒くなる。
「まあ言いにくいが、お前だろう」
というかすごい分かりやすい称号だな。
「う、嘘だよ‥‥‥い、一緒に来て。絶対嘘だから!」
「あぁ」
おそらく今からその明美という名の少女のところへ行くのだろう。早歩きで涙目の少女を見てると余計なことをしたかなと胸が痛んでしまう。
「あ、明美っ」
最初にいた広場の近くのベンチにその少女はいた。げっ
「あ、紗羅ー、武器は買ったん?」
なんというか、ケバい。少しムラのある金髪に肌が少し黒い。
「ん?後ろにいる男だれよ」
「明美っ!称号はホントに明美の性格なの?‥‥‥」
「称号?なにそれ?」
すると沙羅は手を動かし、可視モードに変更する。他人でも自分のメニュー画面を見せれるようにしたのだ。
「これ、〈駒の動かし方を知る者〉この駒って、わ、私?」
「はあ?なわけないじゃん。わたしと沙羅は友達でしょ?」
明美、という女子は何言ってんの?という顔で僕と沙羅を見る。
ここで僕が、いや俺が一言言ってこの問題を解決させる。
解決なんてものじゃないかもしれない。きっと、僕が導こうとしているのは破滅なんだろう。
僕は、否定したかったんだ。友情の必要性を。